Topics
Report

2025年春・初夏 4月は気温上昇 シーズナルアイテムが好調【スタイルクリップ|フラッシュレポート】

山中 健|Takeru Yamanaka
株式会社アパレルウェブ コンサルティングファーム主席研究員、apparel-web.com編集長
執筆者

 株式会社アパレルウェブが月別にEC売れ筋情報をお届けする「スタイルクリップ」フラッシュレポート。2025年5月のレポートでは、春の実売期(3月31日~4月27日)における、カジュアル&コンテンポラリーブランドのEC売上データから、トップス・ワンピース・スカートの動向を読み解きます。

 

2025年4月の売れ筋アイテム
左から、デニムチュニックシャツ、ラップスカート、ポロニット

 

 2025年4月は、月初に寒の戻りがあったものの、月の後半は気温が上昇し、結果として平年よりも高めの気温となりました。アイテムキーワードでは「Tシャツ」が首位となり、前年比120%と大きく伸長。そこから「パンツ」「シャツ」「ワンピース」「ニット」「スウェット」と続きます。いずれのアイテムも前年を上回っており、対象ブランドの多くで好調だったことが見受けられます。

■アイテムキーワード出現率ベスト15

※出現率=売上データでのキーワードの出現数/全体の売上点数

 

「アメカジシャツ」が女性向けに進化

 前年および先月と同様に、トップスのニーズが集中しています。関連キーワードでは「Tシャツ」が依然として上位を占めていますが、「シャツ」や「ブラウス」関連のキーワードにも伸びが見られます。特に「チェックシャツ」「ネルシャツ」「デニムシャツ」などのアメカジの定番アイテムが、オーバーフィットや変形デザインといったレディース向けのアレンジによって、売れ筋アイテムとなっています。

■トップス出現率ベスト10

※出現率=売上データでのキーワードの出現数/全体の売上点数

 

ワンピース・スカートはシルエットの新しさがキーに

 ワンピース・スカートでは、普段着として活躍する「キャミワンピ」「シャツワンピ」「オールインワン」が引き続き人気を維持。一方で、「ミニワンピ」や「Tシャツワンピ」など、シルエットに新鮮さを加えたアイテムも注目を集めています。さらに「ティアードスカート」「マキシスカート」「ドッキングワンピ」「デニムスカート」など、スタイリングのキーとなるアイテムも順調に売れ行きを伸ばしています。

■ワンピース・スカート出現率ベスト20

※出現率=売上データでのキーワードの出現数/全体の売上点数
※「-」はサンプルが少ないため計測不能

 

デザイン足しができるラップスカート

シンプルなスタイルに華やかさをプラス

 

 シンプルな「ジャケット」や「パンツ」「シャツ」がトレンドのベースとなる中で、そこに華やかさを加えるアイテムとして人気なのが、シアー素材の「ラップスカート」です。大胆な柄もチュール刺繍などであしらうことで、品よくレイヤードできる点が評価されています。また、洗濯可能なイージーメンテナンス仕様であることも、売れ筋となる理由の一つです。

ヘルシー&ユースなルックにニットポロ

日常のスタイリングに取り入れやすい「ニットポロ」

 

 Y2Kトレンドはユースマーケットにすっかり定着し、日常のスタイリングにも取り入れやすいアイテムとして浸透しています。体にフィットするミニマムなトップスに、「フレアボトムス」を合わせたスタイルはすでに定番化。「Tシャツ」や「ポロシャツ」では、気温の高低差があるシーズンに適した「ニットポロ」が注目の人気アイテムとなっています。ダブルジップ仕様などでシルエットの調整が可能なデザインも売れ筋になっています。

ジャケット代わりになるデニムチュニックシャツ

春アウターの代替アイテムとして人気の「デニムチュニックシャツ」

 

 リアルトレンドとしては、エフォートレスなオーバーフィットスタイルが引き続き支持されています。特に、ワークデザインを取り入れたリラックス感のある「デニムチュニックシャツ」は、春アウターの代替アイテムとして売れ筋に。ステッチが際立つマニッシュなディテールに、ヘンリーカラー(クルーネックの首元にボタンが付いたデザイン)などの要素を組み合わせた、ジェンダーフリーな印象のアイテムに人気が集まっています。

執筆者

  • 山中 健|Takeru Yamanaka

    株式会社アパレルウェブ コンサルティングファーム主席研究員、apparel-web.com編集長

    大手百貨店、外資系ブランドメーカー、大手経営コンサルタント会社を経て、コンサルタントとして独立。アパレル業界を中心に、雑貨などのライフスタイル、百貨店、SCなど、幅広い業態に対しマーケティングやMD、リテール、海外進出のコンサルティングを手掛ける。トレンド分析、市場調査、戦略策定などのマクロなテーマから、個店支援、研修などの現場へのブレイクダウンまで様々なテーマのコンサルティングに対応可能。また、欧米、アジア、国内のコレクション取材やファッションマーケット調査を数多く行っており、国内外のファッションビジネスの動向を語ることができる貴重な存在として注目されている。2009年にアパレルウェブコンサルティングファーム主席研究員、2011年にapparel-web.com編集長就任。