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【独自取材】越境ECからリアルへ――「SOÉJU(ソージュ)」の挑戦 ニューヨークで海外初のポップアップを開催

RINA Yoshikoshi|AILメディアパートナー
AIR Vol.75転載記事・一部編集
執筆者

 “米国市場を切り拓く日本ブランドのリアル戦略”を特集テーマに、米国市場進出に挑戦する日本ブランドへ独自取材を行いました。本記事では、レディースアパレルD2Cブランド「SOÉJU(ソージュ)」によるニューヨークでのポップアップ開催の取り組みをご紹介。モデラート株式会社 海外事業責任者の馬 理恵(ま りえ)氏への取材を通じて、越境ECやポップアップ展開を起点に仕掛ける海外戦略と、顧客体験を軸にしたブランド設計について紐解いていきます。


●こちらはアパレルウェブ・イノベーション・レポートVOL.75の転載記事です。
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「SOÉJU POP UP STORE in NY」
実施期間:2025年5月22日(木)~5月26日(月) 
会場:251 Elizabeth St New York, NY 10012 US

 

 “本当に必要な服だけあればいい”――そんな想いから始まった「SOÉJU(ソージュ)」が2025年5月22日~26日の5日間、米国・ニューヨークで海外初のポップアップを開催しました。 

 「SOÉJU」は、2018年9月に日本で創設したレディースアパレルD2Cブランドです。「自分自身を表現しながら社会と心地よくつながる」ことをブランドの原点に、パーソナルスタイリングサービス「SOÉJU Personal(ソージュ パーソナル)」から得られた知見や蓄積された販売データを活かし、大人の女性のライフスタイルに寄り添うスタイルを提案し続けています。2024年9月に、米国向け越境ECサイトを開設。それから1年後、リアルの場で顧客と向き合う貴重な機会として、ニューヨークでのポップアップを実現しました。 

 “長く着られること”、そして“着る人の人生に寄り添うこと”を大切にしてきた「SOÉJU」は、どのような想いで海外ポップアップ開催という新たな一歩を踏み出したのでしょうか。そして、この挑戦を通じて何を感じ、何を学んだのでしょうか。

■今回はこの方に聞いた!

馬 理恵氏
モデラート株式会社 マーケティング部長 兼 海外事業責任者


ま りえ●日本生まれ日本育ち、中国籍。上海で青春期を過ごし、多文化的な感覚を培う。スタートアップや総合コンサルティングファームでの勤務を経て、現在はレディースアパレルブランド「SOÉJU」でマーケティングとグローバル展開を担当。EC運営やブランド戦略に加え、海外事業を通じて日本発ブランドを世界に届ける活動に注力している。
 
「SOÉJU」グローバルサイト
*対応言語:英語・中国語 配送対象国:米国・香港・台湾(2025年8月現在)

 

グローバルサイトを開設 “関心”から“購入”へとつなぐ施策

 「SOÉJU」のグローバルサイトにおける挑戦は、オンライン広告の展開からスタートしました。想像以上に良い反応が得られ、トラフィックも順調に増加していきます。しかし、海外の人々にとって「SOÉJU」は全く新しいブランドであり、関心を持たれてもなかなか購入へ結びつかなかったそうです。そこで同社は次に、“関心を購入へと繋げる”工夫へと踏み出しました。

 「SOÉJU」では、外国人モデルを起用した商品撮影や、レビューを蓄積するための施策など、一つひとつを丁寧に実行していきました。こうした姿勢は、同社が大切にしてきた“服作り”そのものにも重なるように感じられます。その積み重ねの結果、「次第に手応えを感じ始め、特にロサンゼルスやニューヨークといったファッション感度の高い都市から徐々に注文が寄せられるようになった」と、馬氏は当時を振り返ります。

決断力がビジネスチャンスの扉を開いていく

ニューヨークのポップアップ店舗の外観の様子(モデラート社提供)

 

 ニューヨークでポップアップを開催する際の主な舞台は、マンハッタン23丁目以南のダウンタウン、特にSoho(ソーホー)周辺が中心です。今回「SOÉJU」が選んだのは、隣接エリアの「Nolita(ノリータ)」でした。ノリータには、海外ブランドでも比較的出店しやすいポップアップ向けの物件が点在しており、そのひとつ、エリザベスストリートの店舗スペースでの出店が決まりました。

 東京から約12時間かけて辿り着くニューヨーク。“チャレンジしてみたい”という思いが芽生えてから、わずか2カ月程で準備を進めました。開催にあたっては、コレクションを実際に見てもらいながら、どのようなライフスタイルを持つ人が「SOÉJU」に共感してくれるのか、事前に丁寧なリサーチを行ったといいます。

5日間にわたるポップアップ――確かな手応えと、今後のグローバル展開に挑む想い

 東京と同様に、ニューヨーク・マンハッタンでのポップアップも、ショッピングに特化したものから体験を楽しむイベント型まで、スタイルはさまざまです。近年は開催件数も増加しており、人気のロケーションや出店に適したスペースがいくつも存在する認識は人々の間でも広がっています。

 今回「SOÉJU」が選んだ物件は、高感度なファッションブランドが多く出店するストリート沿い。周辺には、ニューヨークに6店舗目を構えた「Buck Mason(バック メイソン)」、環境負荷を最小限に抑えたモノづくりを行う「Industry of All Nations(インダストリー オブ オール ネイションズ)」、パリ発の「Sézane(セザンヌ)」「Aesop(イソップ)」「LeLabo(ル・ラボ)」など、落ち着いた雰囲気を好む大人に支持されるブランドが軒を連ねています。

「SOÉJU」のニューヨークポップアップ店内の様子(モデラート社提供)

 

 筆者はポップアップ2日目の5月23日に店舗を訪れました。季節の変わり目で天気が不安定なニューヨークでは、突然の雨に見舞われることもしばしば。ダウンタウンエリアとはいえ、客足が伸びるか少し気がかりの中での訪問でした。

 しかし、店内でブランドスタッフと談笑していると、そんな心配をよそに、一人また一人とウィンドウに飾られたウェアに興味津々の様子で足を止めるお客様の姿が見られました。店内は徐々に、しかし確かに、商品を手に取り眺めるお客様で賑わいを見せていました。

来店客で賑わうポップアップ店内(筆者撮影)
 

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【VOL.75】Breaking into Global Markets ― 海外市場を切り拓く日本ブランドのリアル戦略<2025 AUTUMN>

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執筆者

  • RINA Yoshikoshi|AILメディアパートナー

    NYを拠点にブランド、リテール、ウェルネス、D2CのCPGブランドの現地市場を調査。店舗で導入される最新テクノロジーや米国での先進事例なども研究。執筆活動、リソースを元にしたマーケティング&ビジネスコンサルティングやアドバイザリーも行う。
    関心: #ファッション #フィットネス #ウェルネス #スーパーマーケット+CPG

  • APPARELWEB INNOVATION LAB.|アパレルウェブ・イノベーション・ラボ

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