Topics
Report

未来はNYの街中にある:”ネクスト小売”を先取りするAIウェアラブル体験――Meta Ray-Ban Display・最新体験型ストアtm:rw(トゥモロー)【Coffee Talk from NYC Vol.37】

RINA Yoshikoshi|AILメディアパートナー
執筆者

 ニューヨーク現地より、小売×テック関連の旬なトピック・体験レポートをお届け。アメリカのコーヒーブレイク中に行われるカジュアルミーティング、“Coffee Talk(コーヒートーク)”にちなんで、気軽にインプットいただけるレポートを定期配信していきます。 

 Vol.37では、2025年初頭のカンファレンス「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー、通称シーイーエス)」を皮切りに、ニューヨークのリアルシーンで注目を集める“スマートグラス”などを中心としたAIウェアラブル体験のアップデートを紹介。

 特に、今夏タイムズスクエアに新オープンしたテック系セレクト・体験型店舗「tm:rw(トゥモロー)」や、10月にオープンしたMetaによる最新の体験型ストア「Meta Lab NYC(メタ・ラボ・ニューヨークシティ)」では、AIウェアラブルデバイスが日常生活へ浸透しつつある様子が実感できました。

 2026年にニューヨークを訪れる方にぜひ押さえていただきたい最新事例を交えながら、現地レポートをお届けします。

CESでスマートグラスが一気に注目された2025年の始まり

 毎年、年明けにラスベガスで開催される「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー、通称シーイーエス)」。筆者は未だ同イベントへの参加を叶えたことがありませんが、毎年オンラインレポートやソーシャル上の投稿から最新情報を欠かさずチェックしています。今年のCESでは例年以上に“スマートグラス関連の新製品”が際立っていました。Meta(メタ)が展開するスマートグラスの進化もあってか、今年は明らかに「AIウェアラブルが生活領域に近づくフェーズに入った年」だったと感じます。

■CES2025 での注目商品「スマートグラス」特徴

  1. ・ディスプレイ搭載モデルの増加
  2. ・日常使いできる軽量&ファッション性
  3. ・AIアシスタントとの連携強化
  4. ・スタートアップから大手まで参入拡大

CESで感じた予兆が、夏のNYリアルとして姿を現す ―― 「tm:rw」

 そうした流れを踏まえ、私自身、AIの日常生活への浸透をより強く実感したのが、今夏にタイムズスクエアにオープンした新店舗 「tm:rw(トゥモロー)」 を訪れた時でした。

 「tm:rw」 の店内の様子(筆者撮影)

 

 「tm:rw」 は、“The store of Tomorrow=未来の店舗” を掲げる、Smartech Retail Group(スマ―テック・リテール・グループ)による大型旗艦店です。約20,000平方フィートと広大な店内は、3フロアにわたって未来型のデバイスがいくつも陳列され、まさにセンサリアル・プレイグラウンド(感覚の遊園地) という表現がふさわしい場所でした。


【店舗情報】tm:rw(トゥモロー)

  • 店名:tm:rw(トゥモロー)
  • 住所:1568 Broadway, New York, NY 10036 (エリア:タイムズスクエア)
  • 営業時間:月〜木 10am – 9pm, 金〜日 10am – 10pm
  • 公式サイト:https://seeyoutmrw.com/pages/plan-your-visit
  • ※来店前は必ず公式サイトで営業情報をご確認ください。

3フロアに広がる未来の生活

 店舗内には、レーシングシミュレーターやホログラム、ロボット綿菓子といった体験型コンテンツに加え、美容、キッチン、ガジェット、ゲームなど、多様なカテゴリーの最新製品が並びます。時には「未来的すぎて本当に使いやすいのだろうか?」と思わせるようなプロダクトもありますが、こうした技術が実際に開発され、市場に現れている事実を生活者の目線で実感できる場として、非常に価値があると感じました。

 実際に売り場を見て回ると、日本の生活者にとってはすでに“日常の延長線上”にあるような利便性の高い実用的な製品もあれば、明らかに“未来の入口”を感じさせるような体験型デバイスなど、多彩な製品が混在しており、まるで私たちの“未来の生活”をグラデーションのように目にする感覚に陥ります。

特に印象に残ったスマートグラス――“リアルタイム翻訳”

筆者が実際に試着体験をした「iTour」

 

 「tm:rw」には多種多様なウェアラブルが並んでいましたが、中でも私の印象に強く残ったのが、米国シアトル発のスマートグラス「iTour(アイツアー)」でした(来店時期によっては取り扱い製品が異なる場合があります)。「iTour」はリアルタイム翻訳に特化したスマートグラスで、言語の壁をなくす“コミュニケーション拡張ツール”といえるでしょう。

 店舗スタッフに声をかけ、日本語設定が可能とのことで、筆者も実際に「iTour」を試してみました。会話をすると、話した内容が「瞬時に視界に字幕のように表示される」という衝撃の体験で、“映画の字幕を追うように会話が進む”感覚に驚かされました。その翻訳精度は高く、商品の説明から雑談までが自然に理解できる日本語で表示されます。“言葉の壁はいずれ本当に無くなるかもしれない”とまで思わせてるような未来的な体験でした。価格帯が「Ray-Ban Meta(レイバン・メタ)」程度まで下がれば、海外カンファレンスや多国籍メディアイベントでは相当便利だと思います。

 「tm:rw」を訪れて感じたことは、“「現在、どのような未来が日常生活まで降りてきているのか」を可視化することができる場所”だということです。スマートグラスによって、目の前に文字や地図が浮かぶ体験や、異なる言語が瞬時に理解できる仕組み。そうした最先端技術は、正しく活用されることで、私たちの未来の生活をより便利に、より豊かにしてくれる存在だと改めて感じました。

 カンファレンス「CES」から今年の注目トピックを得て、今夏に実際に「tm:rw」で市場に現れているスマートデバイスに触れたことで、AIを活用したウェアラブル体験への関心が一段と高まりました。そして、その関心をさらに強めるきっかけとなったのが、今年10月にニューヨーク・マンハッタンにオープンしたMeta Lab(メタラボ)」のポップアップです。

AIウェアラブルの“いま”を一堂に体験――「Meta Lab NYC」

「Meta Lab New York City」ポプアップストアの外観(筆者撮影)

 

 2025年10月、マンハッタンの中心地、フィフスアベニューにオープンした「Meta Lab New York City ポップアップ(メタラボ)」は、いま世界中で最も“AI型スマートグラスの未来”をリアル体験できる最新体験型ストアと言っても過言ではありません。

 「Meta Lab NYC」では、「Ray-Ban Meta(レイバン・メタ)」をはじめとしたMetaの最新AIグラスや、ディスプレイ搭載型の新モデル、「Meta Quest 3(メタクエスト 3)」「Neural Band(ニューラルバンド)」などの試着体験ができます。

 同ポップアップはLAなどの他都市でも展開されていますが、小売業全体が常に最新のアップデートをし続けるニューヨークの地で体験するとことに価値があると筆者は考えます。

 2026年1月にニューヨークで毎年開催されるカンファレンス&エキスポ「NRF Retail’s Big Show(NRFリテールズ・ビッグ・ショー)」へ参加する方にとっては、「Meta Lab」は絶対に外せない訪問先の一つでしょう。ニューヨークでAIウェアラブルを体験するということは、単なる製品デモにとどまらず、街の空気、スピード感、競争性、そして消費者の熱量などから「未来のリテールが、どの方向に進むのか」を肌で理解することに近い体験となります。

 1月に「NRFリテールズ・ビッグ・ショー」に訪れ、展示場やセッションで知識を得る。その後に、ニューヨークの街中で最新店舗を巡り「Meta Lab」で最新のテクノロジーを体験する。こうした、ニューヨークでしか得られない刺激と学びに満ちた一連の体験を筆者は強くオススメします。


【店舗情報】Meta Lab NYC 

  • 店名:Meta Lab New York City(メタラボ ニューヨークシティ)
  • 住所:697 5th Avenue, New York, NY 10022 (エリア:ミッドタウン)
  • 営業時間:毎日 10am – 7pm
  • 公式サイト:https://www.meta.com/meta-lab/new-york-city/
  • ※来店前は必ず公式サイトで営業情報をご確認ください。

「Meta Lab New York」店舗体験ポイントチェックリスト

 店内各所で取り扱われる「Ray-Ban Meta」「Oakley Meta」。限定スタイル「Ray-Ban Meta Mayfair Limited Edition」も忘れずチェック!気さくで親切なストアスタッフの説明を受け、ぜひ最新デバイスを体験してみてください。

■1Fフロアの見どころ

  • 「Meta Quest」を体験しよう!

  • スマートグラスケースのカスタマイズサービスを体験しよう!(すでにケースを所有している場合は、持参すると無料でカスタマイズ可能)

■2Fフロアの見どころ

  • 限られた店舗でしか試すことができない最新スマートグラス「Meta Ray-Ban Display(メタ・レイバン・ディスプレイ)」 は体験必須!エレベーターで2階へ上がったら直ぐに「受付カウンターで体験予約」を。(オンライン予約も可能だがほぼ予約は埋まっている。開店と同時に訪れ、現地で体験予約するのがベスト)

  • 2階「Sticker Slam(ステッカースラム)」で、AIを使った自分だけのオリジナルステッカーを作成しよう!

多方面で活躍するクリエイター、Evan Mock(エヴァン・モック)氏がクリエイトする、ニューヨークのスケートカルチャーをめぐるインタラクティブギャラリー(2階)も是非チェックを。

 


参照:
https://www.ces.tech/
https://nrfbigshow.nrf.com/
https://www.meta.com/jp/ai-glasses/meta-ray-ban-display/
https://www.itourtranslator.com/
https://seeyoutmrw.com/pages/plan-your-visit

執筆者

  • RINA Yoshikoshi

    NYC在住ブランド、テクノロジー系ライター / コンサルタント|AILメディアパートナー

    NYを拠点にブランド、リテール、ウェルネス、D2CのCPGブランドの現地市場を調査。店舗で導入される最新テクノロジーや米国での先進事例なども研究。執筆活動、リソースを元にしたマーケティング&ビジネスコンサルティングやアドバイザリーも行う。
    関心: #ファッション #フィットネス #ウェルネス #スーパーマーケット+CPG