次世代のメイン消費層として注目が集まる「アルファ（α）世代」という言葉をご存じでしょうか？アルファ世代とは、2010年以降に生まれた12～13歳までの世代で、ミレニアル世代を親に持つ層です。彼らは2025年に全世界で20億人に達すると言われ、2030年に成人を迎える頃には、Ｚ世代に代わり今後の社会、経済に多大な影響を及ぼす世代へと育っていきます。

　「高度なデジタルネイティブ」「AIネイティブ」と称され、社会・環境課題に強い責任感を持つといわれるアルファ世代とは、一体どのような未来の消費者なのでしょうか？

　今回、国内におけるアルファ世代のリアルを探るべく、アルファ世代、Z世代をターゲットに、コスメの体験に特化した体験型美容テーマパーク「Tierland（ティアランド）」を運営するトレンドキャスケットのCEO兼共同設立者の二階堂 京介氏（以下、二階堂氏）にAIL編集部が独自取材。「Tierland」の魅力や、国内のアルファ世代の消費動向、マーケティング戦略について二階堂氏にお聞きしました。

■今回お話を聞いた方

二階堂 京介氏
株式会社トレンドキャスケット
CEO & Co-founder

株式会社ファーストリテイリング、トヨタ自動車東日本株式会社、株式会社ピアズを経て現職。大学卒業後、株式会社ファーストリテイリングにて店舗管理を担当。その後、トヨタ自動車東日本株式会社にてカローララインをはじめとした生産技術プロジェクトに従事。株式会社ピアズに第二創業メンバーとして参画。コーポレート統括本部長として東証グロース市場へ上場を成し遂げた後は、リモートワークボックスやリテールテックプラットフォームといった新規事業を手がける。

株式会社トレンドキャスケット（ティアランド）公式サイト

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■『アパレルウェブ・イノベーション・レポートVol.67』デジタル版を読む！（AIL会員様限定）

APPARELWEB INNOVATION REPORT Vol.67
2030年、彼らは20歳　未来の消費者、アルファ世代っていったい何者？

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「Tierland」原宿店

—まず、「Tierland」の創業の経緯をお聞かせください。

二階堂氏：

　前職で小売関連のDX事業に携わっていた時に、米国、中国の小売企業に比べて国内企業のDXが遅れていることを痛感していました。そして創業にあたり、自社のビジネスモデルを構築していく過程で国内外のD2Cブランドが躍進する状況や、ビックデータを駆使した巨大テックプラットフォームがリアル店舗事業を再拡大している傾向を分析したところ、RaaS（Retail as a Service）（注２）業態にポテンシャルを感じ、自社のビジネスモデルの軸として定めました。RaaS業界自体もまだ多くの課題を抱えており、それらをクリアできれば、大きなビジネスチャンスが手に入ると思ったのが創業のきっかけです。

　また、パートナーシップのアライアンスを構築していく過程で、国内の日用品卸最大手の株式会社あらたと意気投合したことも大きなポイントです。

　コミュニケーションを深めていく中で、国内の新興コスメD2Cブランドには成長性が見られるものの、年商1億程度に達すると頭打ちとなってしまうケースが多いことを知りました。新たな販路にドラッグストアチェーンとの取引を望むブランドは多くあり、その際に判断材料として、売上実績、顧客データ、マーケティングデータといったビックデータが求められます。そこに、RaaSの仕組みを生かしたサービスに対するニーズがあるのではないか。そう思い、ブランドとエンドユーザーを繋ぐ架け橋となり、エンドユーザー側、ブランド側双方の体験価値を向上させるソリューションとして「Tierland」を創業しました。

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（注2）「Retail as a Service」とは、直訳すると「小売業のサービス化」。小売を運営するために必要となる店舗、決済システム（POS など）、物流、人員、マーケティングといったノウハウをワンストップで提供するサービス名称。

 

「Tierland」のビジネスモデル

―「Tierland」はエンドユーザーに対して、どのような体験価値を提供しているのでしょうか？

二階堂氏：

　「Tierland」は、アルファ世代とZ世代をターゲットにしたコスメの体験型テーマパークです。現在東京・原宿と埼玉・大宮に店舗を構えており、ご来店のお客様には店舗の体験をSNSに投稿して頂く、あるいは顧客体験のアンケートに協力して頂くだけで、さまざまなサービスをお楽しみいただけます。

　例えば、常設コーナーとして展開している、中国系、韓国系、一部国内ブランドを合わせた約30ブランドのフルメイクアップ体験、ネイルの施術、パーソナルカラー診断といったサービス。さらに、就活メイク対策講座など期間限定のイベントも含め、全て無料でご利用いただけます。体験の流れとしては、会員アプリのダウンロード後、来店の予約をしていただく形となります。

 

「Tierland」での取り扱いブランド例。日本、韓国、中国の新鋭コスメブランドが集結

 

　原宿店を2022年11月にオープンして以来、2023年7月の時点で来店者2万人、アプリ登録者1万6千人を突破しました。コアユーザーの44%が10代、40％が20代です。