
中国スポーツ用品大手のAnta Sports(アンタスポーツ)は2026年1月27日、ドイツのスポーツブランド「Puma(プーマ)」の株式29.06%を取得し、筆頭株主となることで合意したと発表しました。取得額は約15億ユーロ(約18億円)で、株式はフランスの実業家フランソワ・アンリ・ピノー氏(「GUCCI(グッチ)」「Balenciaga(バレンシアガ)」を擁するKering(ケリング)会長兼CEO)一族が保有する投資会社Groupe Artemis(グループ・アルテミス)から現金での取得が決定しています。
今回の動きは、Anta Sportsが長年推進してきたグローバル展開の加速を象徴するもので、中国資本による欧州スポーツブランドへの大型出資として、業界再編の流れを象徴する動きといえるでしょう。
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シングルフォーカス×マルチブランド×グローバリゼーション
Anta Sports 公式サイト
Anta Sportsはこれまで「シングルフォーカス、マルチブランド、グローバル化」を経営方針に掲げ、積極的なM&Aを推進してきました。これまでに「FILA(フィラ)」や「Descente(デサント)」のほか、「Arc’teryx(アークテリクス)」「Salomon(サロモン)」「Wilson(ウィルソン)」などの有力ブランドを擁するAmer Sports(アメアスポーツ)を傘下に収めてきました。
■Anta Sportsの主な傘下ブランド
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FILA(中国事業)
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Descente
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Kolon Sport(コーロンスポーツ・韓国発)
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Amer Sports(傘下ブランド:Arc’teryx、Salomon、Wilsonなど)
特に、同社によるAmer Sports買収(2019年)における「Arc’teryx」などのブランド再成長戦略は高く評価されており、今後の「Puma」の成長戦略へどのように寄与するかが業界内で注目されています。今回の「Puma」出資は、フットボール、ランニング、モータースポーツなど、Antaが比較的弱いカテゴリーを補完する意味合いも大きいといわれています。
完全買収は否定、独立性を維持
現段階でAnta Sportsは「Puma」の完全買収や経営統合を否定。ドイツ・ヘルツォーゲンアウラハに本拠を置く「Puma」の独立性と自律的経営体制を維持する方針を明示しています。「Puma」は2026年を「移行の年」と位置づけ業績回復を目指しており、中国市場での成長加速が重要テーマとなります。一方で、Anta Sportsは「Puma」の監事会へ代表を派遣予定であり、資本提携を通じた中長期的な戦略連携は確実だといわれています。両社のノウハウを融合させながら2026年末までの取引完了が見込まれています。
中国発スポーツブランドが再編するグローバル勢力図
近年、スポーツ業界ではLVMHグループやNike(ナイキ)、Adidas(アディダス)などの欧米勢力が存在感を示してきましたが、中国企業によるグローバルM&Aは新たな潮流となっています。
Anta Sportsは中国国内市場での圧倒的基盤を持ちながら、欧州プレミアムブランドを傘下に収めることで「ローカル×グローバル」の両輪モデルを構築してきました。今回の「Puma」への出資では、「欧州でのブランド資産強化」「中国市場でのPuma再成長」「グローバルスポーツ市場での競争力補完」という三層戦略が浮かび上がります。スポーツブランドのグローバル勢力図は、いま再編のフェーズに突入しています。
参照:
https://www.cnbc.com/2026/01/27/chinas-anta-puma-deal-arcteryx-sportswear-outerwear.html
https://www.sttinfo.fi/tiedote/71764260/anta-sports-to-acquire-29percent-stake-in-puma-further-strengthening-globalization-strategy?lang=en&publisherId=58763726
執筆者
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ケルビン・アウ|Kelvin Au
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