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TikTok運営元・中国ByteDance(バイトダンス)、アジア史上最大1.5兆円の資金調達に成功 米国ホリデー商戦はTikTok Shop一強か
2024年9月27日、中国発のByteDance(バイトダンス)は、新規で108億ドル(約1.55兆円)の大規模な資金調達を確保したと発表しました。これは、日本を除いて、アジアにおけるドル建て企業向けの融資として史上最大規模となります。
9月26日時点で、同社の企業評価額はすでに2,250億ドル(約31兆円)に達しており、米国の宇宙・航空企業のSpaceX(スペースX)社や、「ChatGPT」で著名なOpenAI(オープンAI)社を抑え、世界最大のユニコーン企業の座を獲得しています。今回の資金調達を含めると、企業価値は35兆円以上に引き上げられる見通しです。今回の融資には、海外銀行と中国の銀行を合わせて約20の金融機関が参加しており、直近の中国ITプラットフォーマーの中でも異例の規模です。
Despite recent jumps in valuation for generative artificial intelligence company #OpenAI and Elon Musk’s aerospace company #SpaceX, #ByteDance is still the highest-valued #unicorn worldwide with a valuation of $225 billion. pic.twitter.com/B21mHiUNqp
— Statista (@StatistaCharts) September 27, 2024
世界ユニコーン企業の評価額トップ8。
SpaceX社、OpenAI社を押さえて、バイトダンスが首位に(Statista社公式X参照)
今回同社が調達した新規の資金は、米国以外への市場進出やEC事業拡大のほか、AI、自動運転、フィンテックなど、先端技術への投資にも活用されるとのことです。
2012年に設立されたByteDanceは、中国で広く利用されているソーシャルサービスの「Douyin(ドウイン、TikTokの中国版)」で大規模なユーザーの獲得に成功し、上述したようなEC、フィンテック、AIといった新しいビジネス分野に進出しています。グローバル市場においても、「TikTok」は特に欧米市場でも有数のソーシャルメディアとして成功。ソーシャルメディアだけでなく、ライブショッピングプラットフォームとしての展開を加速させています。
参照メディア:
https://www.businesstimes.com.sg/companies-markets/bytedance-sign-us10-8-billion-corporate-loan-asian-record
【アンケート調査結果】米国年末商戦スタート Z世代の半数超が「TikTok Shop」だけで買い物予定
米国発ビジネスマッチング企業Fiverr(ファイバー)社が2,500人以上を対象に実施した、グローバル規模での米国の年末商戦に関する調査によると、比較的消費が軟調な中でも、Z世代(現12~27歳前後の若者世代)の43%が、年末商戦で通常よりも予算を充てて買い物する予定だということが分かっています(現28~42歳前後のミレニアル世代は、37%)。
また、同Z世代における購買動機としては、34%が「TikTok Shop(ティックトックショップ)」、25%がインフルエンサー投稿、14%が生成AIによるレコメンデーションといった情報源を挙げています。
特に注目すべきポイントは、Z世代の54%が「TikTok Shop」だけで買い物を済ます予定だという点です。このように、オンラインでのショッピングやEギフトの購入・消費をいとわないZ世代が増えているため、ソーシャルメディアを中心としたデジタルマーケティングおよびライブコマースやAIといった最新のテクノロジーの活用は、小売・EC企業にとっては需要かつ成功のカギとなるでしょう。
「TikTok Shop」公式サイト※日本では未展開のサービス
一方、調査によると、調査対象の米国の小売業者は以下の項目に投資しているという結果もあります。
- 39% がソーシャル メディア広告に投資
- 35% がインフルエンサー マーケティング キャンペーンに投資
- 33% がメール マーケティングに投資
- 29% が製品ページの更新と SEO 機能の改善に投資
米国では、「TikTok」禁止令を巡る訴訟の最中で「TikTok Shop」が上陸。同サービスが正式にローンチされてから2年弱にもかかわらず、すでに多大な若者層のシェアを獲得しています。その要因は、マルチエンターテインメントとソーシャルコマースを上手く融合し、あらゆるジャンルや方面からユーザーの可処分時間の確保を目指し、実現してきた点にあると考えられます。今後も、「TikTok Shop」を中心とした、ソーシャルメディア上で展開されるショッピングプラットフォームの成長は見逃せません。