2019年に米国上場を果たしたものの、間もなく不正会計が発覚した中国の「Luckin Coffee(ラッキンコーヒー)」は、一定の時期にユーザーや機関投資家から見放される「敗者」のレッテルを貼られていました。しかしその後、コロナ禍で経営陣を刷新し、約4年をかけてついに「敗者復活」の奮闘を見せています。
中国での主なカフェチェーンのラテ価格の比較。
「Starbucks」だけが中国コーヒーブランドの3倍以上の価格設定で苦戦
「Luckin Coffee」は2017年に設立されて以来、いち早く中国進出を果たしていた「STARBUCKS(スターバックス)」を猛追する勢いで成長を遂げてきました。創立翌年には中国国内で2,000店舗を展開し、2018年末には企業価値が22億ドル(現在のレートでは約3,500億円)に到達、わずか1年でユニコーン企業となったスタートアップです。その後、2019年5月には米ナスダックでIPOを果たし、とんとん拍子で快進撃をみせていました。一方で、「Luckin Coffee」はよく「STARBUCKS」の”コピー”と揶揄され、比較されてきました。同社は徹底的に「STARBUCKS」のビジネスモデルを研究し、コーヒーデリバリーと店舗受け取りのビジネスモデルに特化し成長を遂げています。
「Luckin Coffee」のオリジナルアプリ(公式サイトより)
近年、中国においてもコーヒービジネスの競争は激化しています。その中で「Luckin Coffee」は、顧客が商品の受け取りを待つ時間を大幅に短縮するために、独自のモバイルアプリを開発し、積極的に法人向けのデリバリー利用なども開拓していきました。さらに、低価格商品や顧客の好みに合わせた商品開発を強化。そうした多方面での業務効率化やブランディングが奏功し、2024年1月~3月の売上は前年比48%増を記録。一方で、「STARBUCKS」は8%売上減となりました。
直近の「Luckin Coffee」の店舗数は1万8,500店を超え、2023年から約2倍と急拡大しています。上海や深圳などの1級都市だけでなく、「STARBUCKS」がまだ進出していないような内陸部を中心に、戦略的に出店を増やすことで包囲網を形成しています。この「Luckin Coffee」の快進撃はどこまで続くのでしょうか。引き続き注目していきます。
参照:
https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-06-06/china-s-luckin-coffee-lkncy-is-back-and-beating-starbucks-sbux?embedded-checkout=true
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