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Instagram(インスタグラム)から「Reels(リール)機能」が独立?! 新アプリ「Reels+(リールプラス)」はTikTok(ティックトック)への対抗策か

2025年2月27日、米ニュースサイトTechCrunch(テッククランチ)によると、「Instagram(インスタグラム)」の親会社であるMeta(メタ)社は、「Instagram」のショート動画機能「Reels(リール)」を単体アプリとして切り離す計画を進めていることがわかりました。この計画の背景には、中国のByteDance(バイトダンス)社が運営するソーシャルコマース「TikTok(ティックトック)」との間の競争激化と、EU(欧州連合)が制定したデジタル市場法(Digital Markets Act、DMA)への対策が関連しているとされています。
新アプリの暫定名は「Reels+(リールプラス)」とされ、次の3つの戦略目標が掲げられています。
- 1. 「TikTok」ユーザーの獲得
「Reels+」では、動画機能に特化することで、写真や動画の投稿など多くの機能を持つ「Instagram」では最適化が難しいとされる動画専用のインターフェースを実現し、Z世代の利用時間の拡大を図ります。
- 2. 縦型動画専用の広告枠を設け、広告単価(CPM)の20%向上を見込む
- 3. EUによる「支配的プラットフォーム指定」を回避する狙い
それぞれのアプリで機能を独立させることで、EU(欧州連合)が制定したデジタル市場法による法規制リスクを分散させる狙いがあります。
「Instagram」のショート動画機能「Reels」(Instagram公式サイトより)
開発中の「Reels+」では、大幅な機能拡充が予定されています。AIによる編集ツールが刷新され、50言語に対応した字幕の自動生成や、ユーザーの動きや表情に反応してさまざまな演出を楽しめる「3D ARエフェクト」のリアルタイム適用が可能になるといいます。また、「Instagram」とはAPIで連携し、既存のアカウントやコンテンツの相互共有を維持する方針とされています。
クリエイター向けには、サブスクリプション課金の90%を還元する制度や、NFT(非代替性トークン)連動型コンテンツの配信機能など、新たな収益モデルが導入される見込みです。
米国の市場調査会社Sensor Tower(センサー・タワー)の分析では、「Reels+」が単体アプリとなることで、2026年までに月間アクティブユーザー(MAU)は3億人、年間広告収益は45億ドル(約6,600億円)に達すると試算されています。特に東南アジア市場におけるアプリ利用時間は、約35%の増加が期待されています。
一方で、アプリの切り離しに関するMeta社の自社調査では、約57%のユーザーが「アプリの移行に抵抗感がある」と回答。これまで利用していた「Instagram」から新アプリ「Reels+」へ移行する際の混乱が懸念されています。さらに、広告主に対しては計測ツールの再構築が必要となるため、諸対応コストの増加も指摘されています。
これらの指摘に対し、Meta広報部は、「複数の戦略オプションをテスト中」とコメント。「Reels+」が正式に単体アプリとしてリリースされるかどうかの最終決定は2025年第2四半期に予定されており、6月以降、米国でβテストが開始される可能性があるといわれています。業界関係者は、“TikTokによる動画投稿の収益化支援「Creator Fund 2.0(クリエイターファンド2.0)」との競争激化が成否を分ける”との見方を示しています。