Topics
Report

ワービーパーカーがターゲットと提携 「Warby Parker at Target」【Coffee Talk from NYC Vol.28】

RINA Yoshikoshi|AILメディアパートナー
NYC在住ブランド、テクノロジー系ライター / コンサルタント
執筆者

 ニューヨーク現地より、小売×テック関連の旬なトピック・体験レポートをお届け。アメリカのコーヒーブレイク中に行われるカジュアルミーティング、”Coffee Talk”にちなんで、気軽にインプットいただけるレポートを定期配信していきます。

 Vol.28では、米総合ディスカウントチェーン「Target(ターゲット)」が発表した、ニューヨーク発のアイウェアD2Cブランド「Warby Parker(ワービーパーカー)」との新たな提携について紹介。2025年2月27日に提携が発表され、これにより、「Warby Parker」が手掛けるデザイナー品質かつ手頃な価格帯のアイウェアが、ショップ・イン・ショップという形で「Target(ターゲット)」の店舗に並び、さらに多くの人々への商品・サービス提供が叶うことになります。

 

「Warby Parker at Target」(「Target」公式プレスリリースより)

 

 ショップ・イン・ショップ「Warby Parker at Target(ワービーパーカー・アット・ターゲット)」では、眼鏡、サングラス、コンタクトレンズといった物販だけでなく、視力検査など「Warby Parker」が従来より提供してきたエクスペリエンスも展開されるようです。ショップ・イン・ショップの展開は、2025年後半からまずは5店舗―Willowbrook(ウィローブルック)、IL , Bloomington(イリノイ州ブルーミントン)、MN, Brick(ミネソタ州ブリック)、NJ, Columbus(ニュージャージー州コロンバス)、OH, Exton(オハイオ州オクストン)、PA(ペンシルベニア州)―で開始され、顧客対応は「Warby Parker」の従業員が担当するそうです。

「Warby Parker at Target」ショップ・イン・ショップの内観イメージ(「Target」公式プレスリリースより)

 

 初のショップ・イン・ショップでのサービス提供に合わせて、「Target」が運営するオンラインストア「Target.com」でも「Warby Parker」の商品が展開されるといいます。また、2026年にはさらなる出店計画があり、それ以降も続く可能性が高いでしょう。

 アメリカのD2Cブランドを語る上で、「Warby Parker」を知っている方は多いでしょう。2010年にニューヨークで誕生したこのブランドは、EC上で簡単な質問に答えた後、気になるスタイルの眼鏡を5つ選べば、自宅にいながらにして眼鏡の試着ができるという「Home Try-On(ホーム トライオン)」サービスで、眼鏡業界に新風を吹き込みました。

 「Warby Parker」のビジネスは、単に高い品質のスタイリッシュなアイウェアを手頃な価格帯(〜95ドル:~約14,000円)で提供するだけでなく、ミッション(使命)とパーパス(存在意義)を持っています。同社は社会貢献の取り組みとして「BUY A PAIR, GIVE A PAIR」を掲げており、これは、アイウェア商品を「1本購入する度に、1本寄付する」というものです。

 

リニューアルされた「Warby Parker」グリーンストリート(ソーホー)店(筆者撮影)

 

 この10年間にニューヨークを訪問した方ならば、ソーホーエリアにある同ブランドのグリーンストリート店に立ち寄ったことがあるかもしれません。グリーンストリート店は、昨年11月に10年ぶりのリニューアルが行われました。売り場の構図は大きく変えずに、側面に設置される商品棚やフロア中央に設置されていた接客用のテーブルを新調。より明るく、過ごしやすいスペースにリフレッシュされました。さらに、これまでブランドがコラボレートしてきたイラストレーターなどに敬意を表し、彼らの作品をギャラリー風に展示しています。

 「Warby Parker」のブランド創設から15年。デジタル面では、自社アプリをローンチし、現在も「Home Try-On(ホームトライオン)」のサービスを提供しています。一方で、フィジカル面においては、勢力的な出店を続け、現在は米国及びカナダで276店舗まで拡大しています。2024年の第3四半期の決算報告では、販売チャネルの中で最も多く顧客を獲得しているのは「店舗」だと報告していました。そのことからも、中心街にあるグリーンストリート店の改装や「Target」との提携は納得できます。

 

「Target」と「Warby Parker」ブルックリン店

 

 一方で、「Target」のプレスリリースによると、現在2,000近くの店舗を運営しているそうです。その中でも「ターゲット・オプティカル事業」を提供する店舗は500を超えます。 「Target」では、すでに米国最大のビューティーチェーン「Ulta Beauty(アルタビューティー)」や「Apple(アップル)」のショップ・イン・ショップ事業も行っています。特に、2021年夏から出店を開始した「Ulta(アルタ)」は2024年10月頃には500店舗まで増えています。

 そうした動きを見る限りは、ターゲット・オプティカルを提供する「Target」全店での「Warby Parker at Target」サービス展開が、ひとまず両者のゴールだといえるでしょう。


参照:
https://corporate.target.com/press/release/2025/02/target-and-warby-parker-team-up-to-bring-stylish,-affordable-eyewear-to-more-consumers

執筆者

  • RINA Yoshikoshi

    NYC在住ブランド、テクノロジー系ライター / コンサルタント

    NYを拠点にブランド、リテール、ウェルネス、D2CのCPGブランドの現地市場を調査。店舗で導入される最新テクノロジーや米国での先進事例なども研究。執筆活動、リソースを元にしたマーケティング&ビジネスコンサルティングやアドバイザリーも行う。
    関心: #ファッション #フィットネス #ウェルネス #スーパーマーケット+CPG