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中国大手「JD.com」 独 家電量販大手Ceconomy(セコノミー)を買収 欧州の家電市場に本格進出か

ケルビン・アウ|AILメディアパートナー
AIL編集部により一部編集
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 中国のアリババグループ、テンセントグループと並びEC三大御三家として知られるJD.comは、ドイツの家電量販大手のCeconomy(セコノミー)の買収に向け、最終交渉に入っていることが明らかとなりました。JD.comは、Ceconomyが所有する全普通株式を対象に、1株あたり4.60ユーロ(約800円)の現金買収案を検討しています。これは、Ceconomyの直近の株価3.75ユーロ(約650円)に対して約23%ほど高い価格で、この買収が成立した場合、Ceconomyの企業価値は約22億ユーロ(約3,700億円)に達する見込みです。

 

ドイツに本社を置く、欧州最大の家電量販店のMedia Markt(メディア・マルクト)
デジタル家電のほか、音響機器や白物家電、パソコン等を販売している(Media Markt公式サイトより)

 

 Ceconomyは、欧州各国で1,030店舗を展開し、従業員数は5万人にのぼります。家電小売のMediaMarkt(メディア・マルクト)やSaturn(サターン)を傘下に持ち、2023-24年度の売上高は224億ユーロ(約3兆8,000円)、うちオンラインの売上は51億ユーロ(約8,500億円)に達しています。JD.comによるCeconomyの買収が実現した場合、同社はリアル店舗とオンラインの両面で欧州市場に本格的に進出することになります。その背景には、中国国内における需要鈍化があり、グローバル展開を強化したい狙いがあります。

 Ceconomyの筆頭株主は、MediaMarktとSaturnの創業家であるKellerhals(ケラーハルス)家、Haniel(ハニエル)家のほか、Freenet(フリーネット)をはじめとする複数のドイツ系ファンドが名を連ねています。これら大株主の支持が買収成立のカギを握る一方で、一部の株主は、JD.comによる拘束的な契約内容に慎重な姿勢を示しているとも報じられています。

 JD.comは昨年、英国の家電量販大手Currys(カリーズ)の買収を試みましたが、合意には至りませんでした。今回のCeconomy買収交渉についても、株主の意向や規制当局の判断が成否を左右する可能性があります。今回のJD.comによるCeconomyの買収は、同社にとって欧州の家電小売市場における大規模な店舗網とブランドを獲得する絶好の機会となります。買収が実現した場合、JD.comはCeconomyに対し、物流やデジタル技術を導入し、顧客体験の向上や業務効率化によるシナジー効果を目指す考えだといいます。


参照:
https://finance.yahoo.com/news/ceconomy-enters-talks-china-jd-092611825.html?guccounter=1
https://news.yahoo.co.jp/articles/f7f061c8abdeb705d8c1b7725ba301bde09f01ce