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中国発「Luckin Coffee(ラッキンコーヒー)」ついに米国進出 マンハッタンに2店舗同時オープン

ケルビン・アウ|AILメディアパートナー
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 2025年7月、世界で2万4,000店舗を展開する中国最大手のコーヒーチェーン「Luckin Coffee(ラッキンコーヒー)」は、米国・ニューヨークのマンハッタンに初の米国店舗となる2店舗(755 Broadway/800 Sixth Avenue)を同時開業しました。店舗は、マンハッタン中心部に位置するミッドタウンと、ニューヨーク大学(NYU)に隣接するワシントンパーク近隣など、観光客や学生が多く訪れるエリアに位置しています。初日はアプリ注文限定で1.99ドル(約300円)の割引キャンペーンを実施し、ポップアップやSNSを活用したプロモーションも積極的に展開しました。


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米国・ニューヨークのマンハッタン ‐ ミッドタウンに開業した「Luckin Coffee」の内観
800 6th AveGoogleMap公式画像より)

 

 「Luckin Coffee」は2017年に中国で設立後、わずか数年で中国国内のみならずシンガポールやマレーシアにも急拡大し、全世界で合計24,097店舗を構えるまでに成長を遂げています。今回の米国進出は、同社がベンチマークしてきた「Starbucks(スターバックス)」の牙城に挑むグローバル戦略の一環であり、同社CEOのGuo Jinyi(グオ・ジンイー)氏は、アメリカを「最重要戦略市場」と位置付けて新たな消費体験の提供に意欲を示しています。

「Luckin Coffee」内観(755 BroadwayGoogleMap公式画像より)

 

 米国店舗モデルでは、現地消費者のニーズを考慮し、「Apple Pay(アップルペイ)」や「PayPal(ペイパル)」など現地の主流なアプリ決済手段を導入することで「オンライン注文+店舗受け取り」を実現。店内には最新のスマートデバイスを配置し、スタッフがドリンクを効率的にカスタマイズできるよう設計されています。また、定番のアメリカ―ノやカフェラテだけでなく、中国で人気のココナッツラテやベリーフレーバー、米国限定の新作コールドブリューなど、幅広いメニュー展開で差別化を図っています。

 価格面においては、中国での低価格展開とは異なり、米国では3~5ドル(約440~740円)台のドリップコーヒーや、6.5ドル(約960円)のココナッツラテなど、クラシックとトレンドを融合させたメニュー展開で「Starbucks」と同程度の価格帯を設定。開業前後には99セント(約145円)のクーポンや、限定グッズの配布、無料コーヒーが当たる抽選などの集客施策も実施されました。また、同社は米国内で「Grab&Go(グラブ&ゴー)」形式の直営主義を貫き、現地のカフェ感覚や規制に合わせた商品・サービスの調整を進めています。ただし、マンハッタンはキャッシュレス専用営業が禁止されているため、今後は現金対応や現地法令への適応も課題となります。

GoogleMap公式画像より)

 

 「Luckin Coffee」は主に中国(香港を含む)、シンガポール、マレーシアなどの地域で急成長し、2025年第1四半期には新たに1,757店を開店。総商品取引額(GMV)は104億人民元(約2,150億円)を超え、その圧倒的な躍進はとどまることを知りません。世界最大のコーヒー消費国・米国において、同社が強みとする「低コスト・デジタル運営モデル」はどこまで浸透していくのでしょうか。今後の店舗拡大や戦略の動向が注目されます。


参照:https://news.futunn.com/en/post/58691203/luckin-coffee-opened-its-first-two-stores-in-the-united?level=3&data_ticket=1756738613808276