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日本未発売「Ray-Ban Meta(レイバン・メタ)」スマートグラスをニューヨークで使ってみた! 【後編】ミニマリストも唸る? “良いとこどり”の万能サングラス ~AIL編集部ニューヨーク視察コラム~
2024年10月10~11日の二日間、アパレルウェブ・イノベーション・ラボが主催したニューヨーク視察研修では、「二次流通」「リブランディング」をテーマに、ニューヨーク・マンハッタンエリアを中心に、ファッション・小売・ライフスタイルのさまざまなブランド店舗やサービスを視察。
その一環として、ソーホーにある「Ray-Ban(レイバン)」の店舗で、日本未発売・未展開のスマートグラス「Ray-Ban Meta(レイバン・メタ)」の装着体験をしてきました。
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“音楽が頭全体を包み込む”という新感覚に感動
「Ray-Ban」ソーホー店の外観と内観 📍116 Wooster St.(編集部撮影)
店内は奥に広く、エントランスを入るとすぐ正面に広がる階段を下ったスペースでは、「Ray-Ban Meta」が大々的に展開されています。試着ができるスマートグラスの専用台が前方に2台設置されており、台にはスマートフォンが用意されていて、専用アプリ「Meta View(メタ・ビュー)」とスマートグラスがBluetoothで連携されています。
早速、編集部スタッフが日本未発売のスマートグラスを体験。装着すると、近くにいる店員が、音楽再生方法や撮影方法など、丁寧にスマートグラスとアプリの使用方法をレクチャーしてくれます。店頭で試着できるラインアップは、サングラスタイプと調光レンズタイプの2種。
最初に試したのは、音楽再生です。“サングラスから音楽が聴こえてくる”という、これまで一度も経験したことのない現象には、かなり驚きと最新性を感じました。それだけでなく、音質もさながら。さすがMeta社と言わんばかりのクリアで心地よい音楽が頭全体を包み込むような感覚で流れ、思わず装着したまま街歩きをしてみたいと思ってしまったほどです。
一方で、音楽再生機器の懸念点といえば周囲への“音漏れ”ですが、スマートグラスで音楽を再生中、隣にいた別のスタッフには一切音漏れはなかったとのこと。音楽再生アプリ「Spotify(スポティファイ)」と連携でき、音楽再生ガジェットとしては申し分ないクオリティだと感じました。
「Ray-Ban Meta」スマートグラスのデモ体験(編集部撮影)
また、これまで、イヤホンなどの音楽再生機器を使用する際、例えば、「形状が耳に合わなかった」「使用中に片耳分を落として紛失してしまった」など、筆者自身も経験がありますが、誰もが一度は“買い直し”をした経験があるのではないでしょうか。そうした懸念は、スマートグラスを手にしてしまえば、一切不要。それだけでなく、サングラスとイヤホンが一つに集約されたことで持ち歩くアイテムが減るのはもちろん、調光レンズをカスタムすれば、ファッションアイテムとしての利用の幅も広がります。まさに“良いとこどり”といっても過言ではない、文句なしのアイテムでしょう。気になる装着感に関しても、フレームは通常の「Ray-Ban」商品となんら変わらないため、自身にフィットするモデルを選べば、重さや装着感には特に違和感を感じませんでした。
スマートグラスの操作方法については、右側のグラスとテンプル(耳にかける部分)のつなぎ目=丁番の辺りに埋め込まれている1.5センチメートルほどの操作ボタンを使います。スマートフォン上に専用アプリをダウンロードし、スマートグラスとBluetooth連携した上で使用したいメニューを選びます。操作ボタンを一度押すと写真撮影、2秒以上長押しすると動画撮影(もう一度押すと録画停止)などができます(動画参照)。
【動画】「Ray Ban-Meta」スマートグラスで写真・動画撮影や「Meta AI」を試してみた!
(「Ray-Ban」NYソーホー店にて編集部撮影)
また、バッテリー持続時間については、店頭スタッフによると、4時間~最大13時間程度とのことで、頻繁に使用しない場合はかなり長持ちするようです。付属のケースがスマートグラスの充電器を兼ねているため、ケースに入れて持ち歩くことで外出時も常に充電が可能です。
「Meta AI」機能も実装 「視覚情報」でリアルタイムアシスタントが利用可能に
「Meta AI」搭載のスマートグラス(「Meta Quest」公式YouTubeチャンネルより)
スマートグラスでは、音楽再生、写真・動画撮影、通話(注1)などが可能なほか、最近のアップデートで最新AIの「Meta AI(メタAI)」機能も実装されています。新たな音声機能の追加によって、スマートグラスでも、より自然なやり取りが実現。”Hey Meta(ヘイ メタ)”と話しかけて、例えば、「近隣のオススメのレストランは?」といった質問や、アプリ内の画像に関して「これは何?」という問いかけをすると、応えてくれます。他にも、物事を記憶する手助けをする機能も追加されています。例えば、外出先などで「駐車場のどの番号に駐車をしたのか」を記憶してくれます。または、「テキストメッセージを送るよう、音声を使ったリマインダー」の設定も可能だといいます。
現時点では日本語には未対応ですが、言語面のアップデートは比較的そう遠くない未来に実現するのではないでしょうか(同社による日本市場への展開が視野にあればの話ですが…)(注2)。また、スマートフォンにはないリアルタイムでの「視覚情報」を利用することから、スマートグラスは今後さまざまなアップデートが期待できるでしょう。現時点で、英語とスペイン語のみの対応ですが、「Meta AI」が実装された「Instagram」と「Facebook」の両方では、リールに表示されるコンテンツの自動吹き替えが試験的に開始されているとのこと。そうした機能が転用されることで、今後は、例えばスマートグラスを使用しながら、リアルタイムで自動翻訳しながら書籍を読む、映画を鑑賞するといった日常が当たり前になるかもしれません。
(注1)通話機能はメッセンジャーアプリ「WhatsApp(ワッツアップ)」との連携が必要
(注2)現時点で「Meta AI」音声機能のアップデートは、英語のみ。展開国はオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、米国のみ。
企業コラボが市場や日常を活性化していく
店内1Fの「Ray-Ban Meta」スマートグラス売り場の様子
「Meta AI」がPRされている(編集部撮影)
今回、2社のコラボレーションにより、「Ray-Ban」の王道かつスタイリッシュなデザイン性と、Meta社によるガジェットとして謙遜ない機能性が、「Ray-Ban Meta」のスマートグラス一台に集結しました。製品としての有能性は、一度スマートグラスを体験するとすぐに実感できる優れもの。限定好き・スマートガジェット好きには堪らない、そして、他ブランドや他商品が羨み、ミニマリストも唸るであろうこうしたコラボレーションは、市場に新たな競争力やさらなる進化を生んでいくでしょう。オープンAIである「Meta AI」が導入された「Ray-Ban Meta」の機能面のアップデートはもちろんのことですが、こうした各領域のトップ企業によるコラボレーションにより、今後も市場や日常が活性化されていくことを期待します。
参照:
https://www.ray-ban.com/usa
https://about.fb.com/ja/news/2024/09/connect-2024-keynote-recap-quest-3s-llama-3-2-ai-wearables-mixed-reality/
https://www.meta.com/ja-jp/blog/quest/ray-ban-meta-glasses-collection-news-updates-connect-2024/
執筆者
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小川 祐佳|Yuka Ogawa
APPARELWEB INNOVATION LAB. コンテンツディレクター
おがわゆか●1990年、北海道帯広市出身。横浜市立大学国際総合科学部卒。繊維専門商社、PR・広告企業での法人営業職を経て2020年アパレルウェブ入社。現在は、企業経営層に向けビジネスヒントを発信する会員制サービス「アパレルウェブ・イノベーション・ラボ(AIL)」にて、セミナー・イベント企画、オウンドメディア編集、企業取材などのコンテンツ運営業務全般を担う。趣味は旅行・辛いもの。
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