突然ですが、「見えないところに気を遣う美」って、素敵だと思いませんか? 日本では江戸時代、着物の裾の裏側のデザインにこだわり、風で裏側がひらりと開いた時だけに見える柄をそっと仕込むなど、見えない部分の”粋”を昔から楽しんできました。日本の現代女性もまた、上下お揃いの柄の下着を好んだり、ストラップが見えると恥ずかしいからと「ストラップレスブラ」を着用したり、また特別な日には”勝負下着”など、見えないからといって”気を抜かない”マインドセットがあります。
しかし、ここシンガポールは良い意味でも豪快。薄着の国ですが、良くも悪くも他人の目を気にしないところがあります。そのため、シンガポールで購入できる下着はデザインやサイズが限定的で、筆者を含めた外国人たちは下着探しに大変苦労しています。今回は、”下着難民”歴9年の筆者がシンガポールの下着事情をリアルレポートしていきます。
サイズがない! ストラップレスがない! 可愛いデザインがない!
ローカルブランド「Our Bralette Club」
筆者は個人的に下着集めが好きでこだわりもあります。そのため、シンガポールでの商品展開やサイズには正直に言うと満足できていません。例えばサイズ。アジア人の体型向けなのか、ブラジャーであればサイズCまでしか展開がない店が多いです。伊勢丹や高島屋の下着売り場には日系からヨーロピアンブランドまでさまざまなブランドが揃っているため、筆者もよく訪れるのですが、「これ可愛いな」と気になるデザインを見つけても「D以上のサイズは仕入れていません」と店員に言われることが、殆ど。これは、日系ブランドで日常的に経験していることです。
日系だけでなく欧米の人々も多く住むダイバーシティであるにもかかわらず、限定的なサイズ展開では女性にとってフラストレーションが溜まるのではないでしょうか。下着の”上下お揃い”にこだわるとなると、そのハードルはさらに高くなります。店員はたいてい、同じ色でデザインや素材の異なる商品を持ってきて、”同じ色だから、いいじゃないですか?なぜ上下同じデザインのセットにこだわるの?”というような接客の始末。真剣に美しい上下セットを探していた筆者にとっては、こだわる理由から説明しなけばいけないようなこの”ゆるい”接客に、正直憤慨してしまったような経験もあります。そして極めつけに筆者が感じるもっとも残念な下着事情があります。