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2024年 初夏5月 ユースな主役トップスが人気に【スタイルクリップ|フラッシュレポート】

山中 健|Takeru Yamanaka
株式会社アパレルウェブ コンサルティングファーム主席研究員、apparel-web.com編集長
執筆者

 株式会社アパレルウェブが月別にEC売れ筋情報をお届けする「スタイルクリップ」フラッシュレポート。2024年6月のレポートでは、初夏の実売期(4月26日~6月8日)における、カジュアル&コンテンポラリーブランドのEC売上データから、トップスの動向を読み解きたいと思います。

2024年初夏 売れ筋アイテム
左から、ロゴTレイヤード、ワンポイントタンクトップ、ロングチェックシャツ

韓国ファッションの影響がリアルマーケットに広がる

 ほぼ平年並みの気温となり、天候に恵まれた5月。前月と同様、トップスへのニーズ集中が続き、「Tシャツ」に関するキーワードが多くランクインしています。「クルーネックT」や「ポケットT」など、普遍的なアイテムが並ぶ中、「ロゴT」に注目です。オーセンティックなアイテムが人気ですが、今シーズンでは「ロゴもの」の人気が復活しています。ハイファッションでは「ロゴもの離れ」が謳われて久しいですが、リアルマーケットではなぜ復調しているのでしょうか。

 売れているアイテムを見ると、ブランドロゴというより、アートやモチーフをロゴのように使用しているパターンが目立ちます。これらは韓国ブランドが多く取り入れている手法で、韓国ファッションの人気の波及とも言えそうです。また、「タンクトップ」ではウエストゴム付きのユースアイテムが売れ筋に。Y2Kファッションのキーアイテムが、カジュアルブランドやセレクト系でも支持されており、リアルマーケットへの定着ぶりがうかがえる結果となりました。

■カットソートップス出現率ベスト10

※出現率=売上データでのキーワードの出現数/全体の売上点数

ヒットアイテムの分化が進む

 布帛トップスでは、「シアーブラウス」と「チェックシャツ」が大きく伸びました。これは、同キーワードのアイテム分化が広がっていることが要因と言えるでしょう。「シアーブラウス」はフェミニンなトップスだけでなく、ジャケットのように羽織るものを始め、さまざまなデザインや用途に広がりを見せています。「チェックシャツ」も同様です。一方、トレンドアイテムとしてロングヒットとなった「オープンカラー」「バンドカラーシャツ」などは大きく後退しています。

■布帛トップス出現率ベスト10

※出現率=売上データでのキーワードの出現数/全体の売上点数

ロゴのようにあしらったモチーフものが人気に

ロゴTレイヤード

 

 リアルトレンドでは、先述したように「ロゴT」の人気が復活しています。ただし、それは「ブランドロゴ」というよりも、メッセージやアートをロゴのようにデザインしたものです。これらは、タイポグラフィーやモチーフとも呼びます。若い世代をターゲットとしたブランドは、それらを主役のトップスとして着こなす、また、大人の女性をターゲットにしたブランドでは、プリーツや切り替えのテクニックをあしらって、モードな表情を加えて提案しています。

肌見せアイテムをメンズライクに着こなす

 
ワンポイントタンクトップ

 

 Y2Kファッションのキーアイテム「腹見せタンクトップ」の人気がカジュアルブランドやセレクト系に広がっています。ウエストゴムにロゴを入れたユースなデザインのタンクトップに、ルーズなスラックスやフレアデニムなどと合わせてメンズライクに着こなすという、スポーティでヘルシーな提案が行われています。

フリュイドなチェックシャツをジェンダーフリーに提案

 

ロングチェックシャツ

 

 アメカジの象徴でもある「チェックシャツ」。普遍的なアイテムも人気ですが、軽やかな素材やフリュイド(揺れるような)なシルエットに仕上げてウィメンズアイテムに変換したものも売れ筋に。さらに、それらをユニセックスアイテムとしてメンズの羽織アイテムへ提案する例も見られます。

執筆者

  • 山中 健|Takeru Yamanaka

    株式会社アパレルウェブ コンサルティングファーム主席研究員、apparel-web.com編集長

    大手百貨店、外資系ブランドメーカー、大手経営コンサルタント会社を経て、コンサルタントとして独立。アパレル業界を中心に、雑貨などのライフスタイル、百貨店、SCなど、幅広い業態に対しマーケティングやMD、リテール、海外進出のコンサルティングを手掛ける。トレンド分析、市場調査、戦略策定などのマクロなテーマから、個店支援、研修などの現場へのブレイクダウンまで様々なテーマのコンサルティングに対応可能。また、欧米、アジア、国内のコレクション取材やファッションマーケット調査を数多く行っており、国内外のファッションビジネスの動向を語ることができる貴重な存在として注目されている。2009年にアパレルウェブコンサルティングファーム主席研究員、2011年にapparel-web.com編集長就任。