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2024年冬立ち上がり アウターの動きが鈍く薄手のものに集中【スタイルクリップ|フラッシュレポート】
株式会社アパレルウェブが月別にEC売れ筋情報をお届けする「スタイルクリップ」フラッシュレポート。2024年12月のレポートでは、10月28日〜12月2日のEC売上データから、どのようなアイテムが売れ筋となったのかをレポートします。
2024年11月売れ筋アイテム
左からフーディー、デニムジャケットセットアップ、マウンテンパーカー
対象ブランド(駅ビル&SCグレード、カジュアル&コンテンポラリーブランド)のアイテムキーワードランキングを見てみましょう。「ニット」が「スウェット」を上回るなど、ようやく本来の季節らしくなってきた11月ですが、「コート」はもちろん、「ジャケット」や「ブルゾン」といったキーワードの出現率は前年より大幅に減少し、季節の先送りを感じさせる結果となりました。
■アイテムキーワード出現率ベスト20
※出現率=売上データでのキーワードの出現数/全体の売上点数
アウターは「マウンテンパーカー」「デニムジャケット」などに伸び
アウターの上位を占めるビッグワードの出現率が昨年より減少する、非常に厳しい月となりました。その中で伸びているのは、「マウンテンパーカー」「デニムジャケット」「ジレ」「シャツジャケット」などの軽アウター類です。それらと対照的なアイテムが「チェスターコート」。「グランパコア」に代表される、レトロなトラッド人気のキーアイテムとして注目されているのでしょう。今後、季節が深まるにつれて存在感を示すのか、注視したいところです。
■アウター出現率ランキング
※出現率=売上データでのキーワードの出現数/全体の売上点数
「ワンピース」「スカート」では、スクールガールや英国調トレンドを追い風に「プリーツスカート」が引き続き人気です。また、ショート丈のジャケットやブルゾンと相性の良いシルエットとして「ロングワンピース」も人気を集めています。トップトレンドでは、「上は小さく、下は大きく」というフィット&フレアのシルエットの人気が広がっていますが、リアルトレンドでもその兆しが見られるようになってきたといえるでしょう。
■ワンピース・スカート出現率ランキング
※出現率=売上データでのキーワードの出現数/全体の売上点数
-:前年のサンプルが少ないため、前年比1,000以上の値がでているもの
フーディー
カジュアルなフーディーをジャケットに合わせてプレッピールックに
部屋着やカジュアルな外出着としても人気の「フーディー」。今年らしい着こなしとして、プレッピーなルックのインナーに活用するスタイルが注目されています。オーバーシルエットの「チェスターコート」や「ツイードジャケット」でレトロなムードを醸しつつ、「ミニスカート」や「ショートパンツ」と合わせるといった、「グランパコア」をY2K流に解釈したスタイルが新鮮に映ります。
デニムジャケットセットアップ
デニムジャケットと同素材のパンツを合わせてセットアップに
今シーズン、ますます人気を集める「デニムジャケット」。定番の「トラッカージャケット」だけでなく、オーバーシルエットやジップアップタイプなど、さまざまなバリエーションが生まれています。高価格帯のブランドでは色落ちや“あたり”をつけたり、若年層をターゲットにしたブランドでは、ピグメント加工(服に独特の風合いや色合いを与える加工技術)を施すなどして、ヴィンテージ感を演出しています。着こなしでは、同素材のワイドパンツとセットアップで提案するケースも増えています。
マウンテンパーカー
機能性や可変性といったさまざまなバリエーションを持つマウンテンパーカー
長く続くアウトドアトレンドで、キーアイテムとなるのが「マウンテンパーカー」です。撥水加工や防汚加工、抗菌、抗花粉といった機能性、ボアベストやライナーを使用した2WAY、3WAYなどの可変性、フレアなビッグシルエット、そして着映えするバックスタイルなど、バリエーションを増やしながら進化を続けています。中でも、デザイン性を兼ね備えたアイテムが人気を集めています。
執筆者
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山中 健|Takeru Yamanaka
株式会社アパレルウェブ コンサルティングファーム主席研究員、apparel-web.com編集長
大手百貨店、外資系ブランドメーカー、大手経営コンサルタント会社を経て、コンサルタントとして独立。アパレル業界を中心に、雑貨などのライフスタイル、百貨店、SCなど、幅広い業態に対しマーケティングやMD、リテール、海外進出のコンサルティングを手掛ける。トレンド分析、市場調査、戦略策定などのマクロなテーマから、個店支援、研修などの現場へのブレイクダウンまで様々なテーマのコンサルティングに対応可能。また、欧米、アジア、国内のコレクション取材やファッションマーケット調査を数多く行っており、国内外のファッションビジネスの動向を語ることができる貴重な存在として注目されている。2009年にアパレルウェブコンサルティングファーム主席研究員、2011年にapparel-web.com編集長就任。