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2024年冬 アウターがようやく動き出す 防寒アウターは様子見でショート・ミドル丈が人気【スタイルクリップ|フラッシュレポート】

山中 健|Takeru Yamanaka
株式会社アパレルウェブ コンサルティングファーム主席研究員、apparel-web.com編集長
執筆者

 株式会社アパレルウェブが月別にEC売れ筋情報をお届けする「スタイルクリップ」フラッシュレポート。2025年1月のレポートでは、2024年12月2日〜12月29日のEC売上データから、どのようなアイテムが売れ筋となったのかをレポートします。

2024年12月売れ筋アイテム
左からショートモッズコート、ソフトショートコート、ファーカラーショートコート

 

 対象ブランド(駅ビル&SCグレード、カジュアル&コンテンポラリーブランド)のアイテムキーワードランキングを見てみましょう。観測史上、最も暑い年となった2024年でしたが、12月は急激な冷え込みが訪れ、「ブルゾン」「コート」などのアウター類は前年より売上を伸ばしています。また、「ニット」「スウェット」や「Tシャツ」などのインナー類、「カーディガン」「パーカー」などの羽織りもの、「パンツ」も好調に推移。気温の低下は防寒アイテムだけでなく、さまざまなアイテムの購買にプラスに働いたようです。

■アイテムキーワード出現率ベスト20

※出現率=売上データでのキーワードの出現数/全体の売上点数

アウターはショート・ミドル丈に伸び

 アウターの上位を占めていた、かつてのビッグワードの出現率が減少したものの、今月はさまざまなアイテムが前年を上回る結果となりました。カジュアル系アウターでは「モッズコート」「ボアジャケット」「ダウンベスト」「デニムジャケット」「コーチジャケット」「スタジャン」などが前年より売上を伸ばしましたが、「アノラック」「MA-1」は後退しています。

 一方で、きれい目系のアウターでは「テーラードジャケット」が大きく伸長しました。気温の冷え込みがあったものの、まだ様子見のムードが続いている影響か、「ダウンジャケット」のような本格的な防寒アイテムより、「ショートコート」などの着膨れ感がないアイテムが人気だったようです。

■アウター出現率ランキング

※出現率=売上データでのキーワードの出現数/全体の売上点数

ショートモッズコート

軽快なシルエットが人気のショート丈モッズコート

 

 冬のメンズカジュアルの定番「モッズコート」ですが、12月に入っても「ブルゾン」のようなショート丈のものが人気でした。大きめなシルエットやゆとりのある身頃、袖回りにより軽量感を出しながらも、ライナー付きで防寒機能を備えたものが売れたようです。気温の移り変わりが読めない秋から冬、そして春にかけて、長いシーズンで対応できる点もメリットとなるアイテムです。

ソフトでライトなショートコート

着回し力の高いショートコートが売れ筋に

 

 ジャケットのような着映え力のある「ショートコート」が売れ筋となっています。トラッドなデザインが醸し出す“キチンと感”や、メルトンやツイード風ジャージー、ファータッチなどのソフト感により、オン・オフどちらでも着回せるのが特徴です。人気の「ワイドデニム」や「スウェットパンツ」などで外しても、上品なムードをキープできる点が魅力です。

ファーカラーショートコート

顔周りを華やかにするファーカラーが人気

 

 フェイクファーやファーを襟にあしらった「ショートコート」は、華やかな屋内シーンでも着用できることから人気です。売れ筋はアンゴラや軽量ウールなど、肌触りの良い素材を使用したものです。「チェスターコート」タイプや「フーデッドコート」「Pコート」タイプなど、さまざまなデザインのファーカラーのものがありますが、襟を立てられるものや幅広の襟など、タイプによって小顔効果を期待できるものが人気のようです。

執筆者

  • 山中 健|Takeru Yamanaka

    株式会社アパレルウェブ コンサルティングファーム主席研究員、apparel-web.com編集長

    大手百貨店、外資系ブランドメーカー、大手経営コンサルタント会社を経て、コンサルタントとして独立。アパレル業界を中心に、雑貨などのライフスタイル、百貨店、SCなど、幅広い業態に対しマーケティングやMD、リテール、海外進出のコンサルティングを手掛ける。トレンド分析、市場調査、戦略策定などのマクロなテーマから、個店支援、研修などの現場へのブレイクダウンまで様々なテーマのコンサルティングに対応可能。また、欧米、アジア、国内のコレクション取材やファッションマーケット調査を数多く行っており、国内外のファッションビジネスの動向を語ることができる貴重な存在として注目されている。2009年にアパレルウェブコンサルティングファーム主席研究員、2011年にapparel-web.com編集長就任。