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2025年早春 寒さの中 軽めの春アウターが動く【スタイルクリップ|フラッシュレポート】

株式会社アパレルウェブが月別にEC売れ筋情報をお届けする「スタイルクリップ」フラッシュレポート。今月のレポートでは、2月3日~3月2日のEC売上データから、カジュアル&コンテンポラリーブランドでどのようなアイテムが売れ筋となったのかをレポートします。
2025年2月売れ筋アイテム
左からテーラードジャケット、ティアードチェックスカート、ショートトレンチ
2025年2月の日本の平均気温は、前年同月と比べて低くなりました。2024年の冬(2023年12月~2024年2月)は、暖冬の揺り返しで防寒アイテムが売れた一方、2025年2月は強い寒気の影響により寒さが厳しい日が多く、冷え込みを感じる月となりました。そのため、春アイテムの動きが鈍い様子が報告されています。
出現率の首位は、先月と同様に「スウェット」で、「ニット」「パンツ」と続きました。「ブルゾン」や「ジャケット」などの羽織りものも好調。一方、「コート」は昨年を下回る結果となっています。
■アイテムキーワード出現率ベスト20
※出現率=売上データでのキーワードの出現数/全体の売上点数
ショート丈の人気が本格化
前述の通り寒さが厳しい月でしたが、ECでは防寒着よりも軽い羽織りものが売れたようです。昨年は、防寒着の売上が後ろ倒しになりましたが、今年はそのような動きはあまり見られませんでした。一方で、「パーカー」「アノラック」「M65」「マウンテンパーカー」などのカジュアルな羽織りものや、「トレンチコート」「テーラードジャケット」「ニットジャケット」「ジレ」といった、トラッドやきれいめなジャケット・コート類の出現率は、昨年を上回る結果となりました。
■アウター出現率ランキング
※出現率=売上データでのキーワードの出現数/全体の売上点数
また、ロングセラーだった「キャミワンピ」や「シャツワンピ」などのコンフォート系ワンピースは不調でしたが、お出かけニーズが支える「ワンピース」や「スカート」は昨年を上回りました。なかでもティアードデザインやデニム素材の「スカート」や「ワンピース」などは、ボーホー(ボヘミアンとNYのソーホー地区のテイストを組み合わせたスタイル)人気から、引き続き売れています。また、スウェット生地などでコンフォートな用途に適した「タイトスカート」も売れ筋となっています。
■ワンピース・スカート出現率ランキング
※出現率=売上データでのキーワードの出現数/全体の売上点数
※「-」はサンプルが少ないため計測不能
売れ筋アイテム:ショートトレンチ
袖が取り外せる2WAYタイプも
「フレアパンツ」や「ロングスカート」人気と並行しながら、「ショート丈アウター」の人気が続いています。春先の人気アイテムである「トレンチ」もショート丈に。袖を外してロングジレのように着こなせる、2WAYアイテムも生まれています。
売れ筋アイテム:テーラードジャケット
イージーケアのナチュラル調の機能素材を使用したジャケット
2024年秋冬のトレンドであったマニッシュスタイル。そのキーアイテムが「テーラードジャケット」です。秋冬ではウーリータッチの機能素材などが売れ筋となりました。ナチュラルな表情はそのままに、コンフォートなイージーケア素材の人気が続くと思われ、2025年春夏に向けては麻調素材が気になるところです。ハンサムなセットアップと、華やかでクワイエットなデザイントップスをコーディネートするのが今シーズンらしさを感じさせます。
売れ筋アイテム:ティアードチェックスカート
ティアードやフリルなど変化のあるデザインが人気に
ボーホーやエスニックなど、自由なムードを取り入れたルックが人気です。リアルマーケットでは、きれいめのアイテムにプラスするケースが多く見られます。ユニークな色柄をパッチワークにして、甘さをひねったデザインのスカートが秋冬に続く売れ筋に。張り感のある生地を使用し、フリルやティアードディテールで体のラインを拾わずに着ることができるのがポイントです。
執筆者
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山中 健|Takeru Yamanaka
株式会社アパレルウェブ コンサルティングファーム主席研究員、apparel-web.com編集長
大手百貨店、外資系ブランドメーカー、大手経営コンサルタント会社を経て、コンサルタントとして独立。アパレル業界を中心に、雑貨などのライフスタイル、百貨店、SCなど、幅広い業態に対しマーケティングやMD、リテール、海外進出のコンサルティングを手掛ける。トレンド分析、市場調査、戦略策定などのマクロなテーマから、個店支援、研修などの現場へのブレイクダウンまで様々なテーマのコンサルティングに対応可能。また、欧米、アジア、国内のコレクション取材やファッションマーケット調査を数多く行っており、国内外のファッションビジネスの動向を語ることができる貴重な存在として注目されている。2009年にアパレルウェブコンサルティングファーム主席研究員、2011年にapparel-web.com編集長就任。