Report
2025年初夏 5月 主役パンツが動き出す【スタイルクリップ|フラッシュレポート】

株式会社アパレルウェブが月別にEC売れ筋情報をお届けする「スタイルクリップ」フラッシュレポート。2025年6月のレポートでは、初夏の実売期(4月28日~6月1日)における、カジュアル&コンテンポラリーブランドのEC売上データから、売れ筋アイテムの動向を読み解きたいと思います。
2025年5月の売れ筋アイテム
左から、コンフォートなストレートパンツ、フロントデザインパンツ、オープンカラーシャツ
今年のゴールデンウィークから5月までの気温は、高めに推移しました。その結果、SCチャネルやECチャネルではニーズが夏物へシフト。対象ブランドでも上位のアイテムが軒並み昨年を超える結果となり、なかでも「パンツ」「スウェット」の伸びが見られる月となりました。また「バッグ」も上昇し、6位にランキングするなど、アパレルブランドにとっても重要なアイテムになりつつあります。
■アイテムキーワード出現率ベスト15
※出現率=売上データでのキーワードの出現数/全体の売上点数
トップスでは夏物ニーズの高まりを受け、「プリントT」「バックプリントT」「ロゴT」など、アウターとして映えるTシャツが上位を占めています。シャツでは、「オープンカラー」の伸びに注目。「オープンカラーシャツ」は、長らくメンズが中心のキーアイテムでしたが、ここ数年はダウントレンドになっていました。ただ、2025年春夏メンズコレクションシーンにおけるオールディーズルック(1950年から60年代のアメリカンカジュアルに見られる、レトロでクラシックなスタイル)復活をきっかけとして、プリントオープンカラーに注目が集まりました。これらの流れにより、リアルトレンドでも復調基調となっているようです。
■トップス出現率ベスト20
※出現率=売上データでのキーワードの出現数/全体の売上点数
パンツでは、楽に履ける「イージーパンツ」「クライミングパンツ」「サロペット」や、トレンドから売れ筋フェーズに入っている「デニムパンツ」、きちんと感の出る「スラックス」が上位を占めています。シルエットでは「ワイドパンツ」から「ストレートパンツ」に移行していますが、ゆとりのあるコンフォートシルエットの「ストレートパンツ」が人気のようです。
■パンツ出現率ベスト15
※出現率=売上データでのキーワードの出現数/全体の売上点数
着こなしの幅が広がるフロントデザインパンツ
Tシャツをタックインしてナチュラルモードな装いに
長く続く夏に備え、ルックの主役となるパンツが動いています。例えば、布を巻いたようなドレープ、麻紐のベルトをハイウエストにあしらったパンツもその一つです。「フォトプリントT」や「バックプリントT」などをタックインするだけで、ナチュラルモードな表情を生むことができます。
オープンカラーのセットアップ
オープンシャツとショーツのセットアップに、レザーローファーを合わせて上品さをプラス
前述したオールディーズトレンドから復調基調にある「オープンカラーシャツ」。キャッチーなプリントアイテムも人気ですが、ストリートになじむカラーやデザインが広く受け入れられています。フェード(色褪せ)加工を施した素材のシャツを、「ショーツ」とセットアップに。スムースなレザーのローファーなどを合わせ、かすかなノーブル(上品さ)感を出すのが今の気分です。
フィット&フレアなメンズスタイル
フィット&フレアルックは、メンズでも人気のスタイル
メンズでもトップスを小さくした、フィット&フレアルックが人気です。Tシャツをタックインし、その上には、ミディアム丈の羽織りモノや、軽量感のあるコンフォートシルエットの「ストレートパンツ」を合わせることで、旬な着こなしへと仕上がります。キャップとスニーカーの色をさりげなく合わせ、統一感を出すのもポイントです。
執筆者
-
山中 健|Takeru Yamanaka
株式会社アパレルウェブ コンサルティングファーム主席研究員、apparel-web.com編集長
大手百貨店、外資系ブランドメーカー、大手経営コンサルタント会社を経て、コンサルタントとして独立。アパレル業界を中心に、雑貨などのライフスタイル、百貨店、SCなど、幅広い業態に対しマーケティングやMD、リテール、海外進出のコンサルティングを手掛ける。トレンド分析、市場調査、戦略策定などのマクロなテーマから、個店支援、研修などの現場へのブレイクダウンまで様々なテーマのコンサルティングに対応可能。また、欧米、アジア、国内のコレクション取材やファッションマーケット調査を数多く行っており、国内外のファッションビジネスの動向を語ることができる貴重な存在として注目されている。2009年にアパレルウェブコンサルティングファーム主席研究員、2011年にapparel-web.com編集長就任。