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2025年初夏6月 猛暑の前倒しで「シンプル×リラクシング」ワンピが売れ筋に【スタイルクリップ|フラッシュレポート】

株式会社アパレルウェブが月別にEC売れ筋情報をお届けする「スタイルクリップ」フラッシュレポート。2025年7月のレポートでは、初夏の実売期(6月2日~6月29日)における、カジュアル&コンテンポラリーブランドのEC売上データから、ワンピース・スカートの売れ筋アイテムの動向を読み解きたいと思います。
2025年6月の売れ筋アイテム
左から、ギャザー切り替えTワンピ、デニムキャミワンピ、ドロストTワンピ
2025年6月の日本は、全国的に気温が高い月となりました。平均気温は平年を大きく上回り、多くの地点で6月の最高気温を更新。梅雨入り後も雨の時期は短く、空梅雨(からつゆ)ともいえる月でした。
対象ブランド(駅ビル&SCグレード カジュアル&コンテンポラリーブランド)のアイテムキーワードのランキングを見てみましょう。長い夏の始まりを示すように、全体的にECの売上がアップしています。暑さによる外出控え、オンラインでのプレセールなどもECには追い風となりました。その一方で、『アイテムキーワード出現率』ランキングでは、「バッグ」や「ソックス」などの小物、「ニット」や「スウェットカーディガン」など、クーラーの効いた寒い室内でも使えるような体温調節に必要なアイテムも伸びています。
■アイテムキーワード出現率ベスト15
※出現率=売上データでのキーワードの出現数/全体の売上点数
また、トレンドがいち早く現れる「ワンピース」「スカート」ですが、夏の気温に切り替わったことで、シンプルでリラックスしたアイテムに人気が集まっています。装飾を最小限に抑えつつ、ギャザーやドローストリング、レイヤードディテールといった“さりげない仕掛けで映える”要素のあるものが売れ筋になっています。
他には、ジェンダーニュートラルでナチュラルな素材感のアイテムも支持されています。『ワンピース・スカート出現率』ランキングでは、中でも「Tシャツワンピ」が急浮上。「ロングT」を「ワンピース」として着こなしたような「カットワンピース」とは異なるアイテムも加わり、注目アイテムとなっています。
■ワンピース・スカート出現率ベスト15
※出現率=売上データでのキーワードの出現数/全体の売上点数
シーンを問わず着られるギャザー切り替え「Tワンピ」
ゆったりとしたAラインシルエットが特徴の「Tシャツワンピ」
ワンマイルシーン(近距離の外出)からタウンに映える、ナチュラルトーンでティアードデザインの「Tシャツワンピ」が売れています。ボリュームのあるティアード構造や表情豊かな切り替え、肩の力を抜いたドロップショルダーが特徴的で、ゆったりとしたAラインシルエットが体型カバーと華奢見えの両立を可能にしているのもポイントです。
カジュアル×フェミニンが魅力の「デニムキャミワンピ」
デニム素材の「キャミワンピ」は、インナーを替えることで通年で着られる
Y2K(2000年代リバイバル)トレンドの余波から、デニム素材の「ロング丈キャミソールワンピ」も人気に。「ブラウス」や「カットソー」と重ねて着る設計となっており、デニム特有のカジュアルさと、フェミニンなインナーとの組み合わせが、新鮮なバランス感を生み出します。一枚で着こなしが完結しない分、季節やシーンに応じて自由にスタイリングを変えられるのが特徴。シーズンと着こなしの両面で多様性が支持されているポイントです。
今シーズンらしい機能派デザインの「ドロストTワンピ」
シルエットを変えられる機能性と、スポーティーなトレンド感が人気
「ドロストTシャツワンピ」が売れ筋に浮上。ウエストの絞り具合を自在に調整できる可変性が最大の特徴で、着用シーンによってシルエットを変化することができるデザインとなっています。スポーティーな顔つきもトレンドとシンクロしており、“快適×テクニカル”の理想解といえそうです。
執筆者
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山中 健|Takeru Yamanaka
株式会社アパレルウェブ コンサルティングファーム主席研究員、apparel-web.com編集長
大手百貨店、外資系ブランドメーカー、大手経営コンサルタント会社を経て、コンサルタントとして独立。アパレル業界を中心に、雑貨などのライフスタイル、百貨店、SCなど、幅広い業態に対しマーケティングやMD、リテール、海外進出のコンサルティングを手掛ける。トレンド分析、市場調査、戦略策定などのマクロなテーマから、個店支援、研修などの現場へのブレイクダウンまで様々なテーマのコンサルティングに対応可能。また、欧米、アジア、国内のコレクション取材やファッションマーケット調査を数多く行っており、国内外のファッションビジネスの動向を語ることができる貴重な存在として注目されている。2009年にアパレルウェブコンサルティングファーム主席研究員、2011年にapparel-web.com編集長就任。