
英国を代表する大手百貨店の「John Lewis(ジョンルイス)」は、同じく英国の高級シューズブランドとして知られる「Russell&Bromley(ラッセル&ブロムリー)」と提携し、新たに「サプライヤーブランド・プラットフォーム」を導入しました。「サプライヤーブランド・プラットフォーム」とは、小売企業がブランド側へ提供する販売促進のための仕組みです。ブランドはプラットフォームを活用して、特設コーナーやオンライン上で商品を掲載、効果的に訴求し、顧客への認知と購買機会の向上を図ることができます。

「John Lewis」サイト内の「Russell&Bromley」特設ページ(「John Lewis」公式サイトより)
「サプライヤーブランド・プラットフォーム」の導入にあたり、ドロップシッピング(小売業者が在庫を持たずに商品を販売する手法)などのソリューションを提供するフランスのソフトウェア企業Mirakl(ミラクル)のシステムを採用しています。このプラットフォームの特徴は、小売側は在庫を持たず、仕入れや在庫管理を負わない点にあります。ブランド側が直接商品を出荷するため、新商品の市場投入までのリードタイムを大幅に短縮することが可能です。

2012年に創業したフランスのソフトウェア企業Mirakl(Mirakl公式サイトより)
「John Lewis」は現在、ラグジュアリーブランドの拡充に注力しています。今回導入したプラットフォームにより、オンライン販売における新ブランドの展開を迅速に行なえるようになるといいます。同社のファッションディレクターのRachel Morgans(レイチェル・モーガンズ)氏は、「我々の目標は、英国におけるラグジュアリーブランドの中心地となることだ。新たなプラットフォームの導入はその大きな一歩で、今後はよりスピード感を持って、お客様へ新しいブランドを提供することができる」とコメントしています。
今回の「Russell & Bromley」との提携は、同社が推進する戦略の好例であり、ブランドの質の高さを示すものと言えるでしょう。「John Lewis」では今年の8月にも、「Mulberry(マルベリー)」をはじめ、「Akyn(アキン)」「By Malene Birger(バイ・マレーネ・ビルガー)」「Iro(イロ)」など、新たに100のラグジュアリーブランドをプラットフォームに追加しています。これにより、マーケットプレイス型ECサイトを展開する「NEXT(ネクスト)」や英小売大手「Marks & Spencer(マークス&スペンサー)」など、競合他社に対抗する体制をさらに強化しています。
参照:
https://www.retailgazette.co.uk/blog/2025/10/john-lewis-supplier-brands/
https://www.johnlewispartnership.co.uk/media-centre/latest-news/2025/23826
https://www.mirakl.com/ja-JP
執筆者
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高嶋 一行|KAZUYUKI TAKASHIMA
Showcase Tokyo 代表・在英ライター|AILメディアパートナー
ファッション専門学校卒業後、渡英。「ELEY KISHIMOTO(イーリー キシモト)」にてデザインアシストを経験。現在は英国を拠点に日本ブランドの海外セールスを行うエージェント「ShowcaseTokyo」を運営。東京ファッションウィーク参加ブランドなど、日本のデザイナーズブランドの海外進出や新規取引先開拓の支援を行っている。 パリファッションウィーク期間では年4回それぞれのシーズンに営業担当する日本ブランドと共に参加。バイヤー向けの展示会を開き、ヨーロッパを中心に海外のお店やバイヤーとの取引を進める。


