
2025年11月、中国発のファストファッションEC「SHEIN(シーイン)」は、フランス・パリに初の常設店舗をオープンしました。店舗はパリ・マレ地区の老舗百貨店 BHV(ベー・アッシュ・ヴェー、以下BHV)の6階に出店しています。オープンから数か月が経過した今、店舗の状況はどのように変化しているのでしょうか。現地での取材を通じて、同店舗の様子や特徴、売場の構成を紹介していきます。
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歓迎と反発が交錯 「SHEIN(シーイン)」ブランド初となる常設店舗をフランスにオープン

パリ・マレ地区にある老舗百貨店BHVにオープンした「SHEIN」
売場面積は1,000㎡以上に及び、6階フロア全体で展開されている(筆者撮影)
「SHEIN」のBHVへの出店をめぐっては、当時、パリ市内で賛否両論が巻き起こり、抗議活動も行われました。また、同百貨店では、「SHEIN」と同じ売場での販売に反発したフランス系ブランドが、店舗から商品を引き上げたり、出店の撤回を表明。さらに、一部の専門店やブランドもBHVでの売場を閉鎖し、撤退しています。BHVからの撤退を表明したブランドは以下の通りです。
- ・Agnès b.(アニエス・ベー)
- ・A.P.C.(アー・ペー・セー)
- ・Maison Lejaby(メゾン・ルジャビー)
- ・Figaret(フィガレ)
- ・Maison Pechavy(メゾン・ペシャヴィ)
- ・Culture Vintage(カルチャー・ヴィンテージ)
- ・Rivedroite Paris(リヴドロワト・パリ)
- ・Saint-Michel Parfums(サン=ミシェル・パルファン)
- ・Polymair(ポリメール)
撤退したブランドもある一方、大半のブランドは出店を継続しており、BHVの売場全体としては顧客への影響は限定的であることがうかがえます。現時点では、テナントの空きが目立つような状況には至っていません。BHVの6階フロアの大部分が「SHEIN」の売場として展開されていますが、内装や什器は非常にシンプルです。フロアの一部では装飾のない空間も見られ、全体として即席でオープンしたような印象を受けました。また、アクセサリーなどの小物商品の展開はほとんどなく、会計レジの周辺に設けられることが多い雑貨・小物類のディスプレイスペースも空の状態となっていました。

什器はシンプルで、装飾を抑えた売場構成となっている(筆者撮影)

レジ周辺には広いスペースが確保されているものの、雑貨やアクセサリーなど小物類の展開はほとんど見られず、
ディスプレイのスペースは空の状態となっていた(筆者撮影)
売場の約9割以上はウィメンズ商品で構成されており、メンズの展開は限定的でした。調査した時期がセール期間だったためか、50%OFFなどの割引商品も多く見られましたが、定価で20ユーロ(約3,700円)から90ユーロ(約1万6,500円)前後の価格帯の商品を中心に陳列されています。
また、同ブランドのECサイトで見られるような、極端に低価格の商品は展開されておらず、店頭では他のファストファッションブランドと同程度の価格帯の商品を厳選しているように感じました。商品タグにはすべてQRコードが付いており、読み取るとECサイトの商品ページへ遷移するなど、オンラインでの購入にも対応する仕様が特徴的です。

店頭では他のファストファッションブランドと同程度の価格帯の商品が中心に展開されていた(筆者撮影)

商品タグにQRコードを付け、オンライン購入にも対応する仕組みが導入されている(筆者撮影)
ブランド初となる常設店舗は、売場構成こそ簡素な印象も残る一方で、ECサイトとの連携を前提とした導線設計が随所に見られました。賛否両論はありながらも、「SHEIN」は実店舗を通じて欧州市場での存在感を強めている最中といえます。今後、ブランドとしての評価や店舗運営がどのように変化していくのか、注視していきたいと思います。
執筆者
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高嶋 一行|KAZUYUKI TAKASHIMA
Showcase Tokyo 代表・在英ライター|AILメディアパートナー
ファッション専門学校卒業後、渡英。「ELEY KISHIMOTO(イーリー キシモト)」にてデザインアシストを経験。現在は英国を拠点に日本ブランドの海外セールスを行うエージェント「ShowcaseTokyo」を運営。東京ファッションウィーク参加ブランドなど、日本のデザイナーズブランドの海外進出や新規取引先開拓の支援を行っている。 パリファッションウィーク期間では年4回それぞれのシーズンに営業担当する日本ブランドと共に参加。バイヤー向けの展示会を開き、ヨーロッパを中心に海外のお店やバイヤーとの取引を進める。


