Topics
Report

「TikTok Shop France(ティックトックショップ フランス)」 ローンチ半年で売上が3倍へ UGCとライブ配信が成長を牽引

高嶋 一行|AILメディアパートナー
AIL編集部により一部編集
執筆者

 アプリ内で商品の販売から購入がシームレスに完結できるEC機能「TikTok Shop(ティックトックショップ)」。フランスでは、2025年3月に「TikTok Shop France(ティックトックショップ フランス)」としてローンチしました。同社の内部推計によると、ローンチ当初の販売事業者数は約5,000程でしたが、わずか半年ほどで約16,500に急増。また、売上は3倍に成長したと発表しています。


関連記事:

TikTok、ASEAN4.6億ユーザー突破! “ディスカバリーコマース”のAI成長戦略と地域支援

TikTokが主要チャネルに 若年層を中心に拡大するラグジュアリーブランドの認知・購買

 

 「TikTok」は現在、フランス国内で約2,780万人のユーザーを抱えています。また、出店ブランドは、同国で人気のバッグブランド「Cabaïa(カバイア)」やアイウェアブランドの「Izipizi(イジピジ)」のほか、「Respire(レスピール)」などのコスメブランドなどが参入しています。

2015年にパリで創業したバッグブランドの「Cabaïa」
遊び心あるデザインと機能性を兼ね備えたバッグや小物が人気を集めている(「Cabaïa」公式アカウントより)
 

 同社のフランス及び南欧州のプラットフォーム責任者Arnaud Cabanis(アルノー・カバニス)氏は、「フランス国内のZ世代(13歳から28歳)は約900万人とされているが、それらすべての層に対し、リーチができている」と述べています。Z世代は「TikTok」が得意とする顧客層であると同時に、商品の品質やサステナビリティへの配慮など多角的な基準でブランドやコンテンツを評価するため、要求の厳しい層でもあるとされています。

 Arnaud氏によると、「『TikTok』のユーザーは、特定のブランドが発信するコンテンツを閲覧しているのではない。自身にとって有益・興味深いと感じるコンテンツを求めてプラットフォームに訪れている。『TikTok』は、“コンテンツそのものが主役となる”プラットフォーム構造になっている」といいます。フランス人の約3分の2が“フォローしていないインフルエンサー”の投稿を閲覧しているとされ、同氏はインフルエンサーの影響力が弱まっていると警鐘を鳴らしています。そのうえで、「TikTok」ではブランド発信よりUGC(ユーザー生成コンテンツ)が重要であり、第三者が作成する商品紹介やレビューコンテンツをいかに活用できるかが成功の鍵であると提案しています。

「TikTok Shop France」ではライブ配信とUGCを活用し、
消費行動を後押しするプラットフォーム戦略が進行している(「TikTok」公式サイトより)

 

 「TikTok Shop France」では2025年4月以降、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を活用して商品の露出を強化しています。背景には、同国のZ世代の5人に4人が、ソーシャルコマースを通じて商品を購入している実態があり、こうした消費行動が同プラットフォームの成長を後押しているとされています。また、ライブショッピングも強化しており、欧州圏では一日あたり約860件のライブ配信が実施されています。こうしたライブ配信は欧州における売上の約18%を占めており、特に美容・ファッションカテゴリーが牽引しているとされています。


参照
https://uk.fashionnetwork.com/news/Tiktok-shop-s-global-growth-rises-from-5-000-to-16-500-featured-sellers-in-france-in-just-six-months,1786593.html

執筆者

  • 高嶋 一行|KAZUYUKI TAKASHIMA

    Showcase Tokyo 代表・在英ライター|AILメディアパートナー

    ファッション専門学校卒業後、渡英。「ELEY KISHIMOTO(イーリー キシモト)」にてデザインアシストを経験。現在は英国を拠点に日本ブランドの海外セールスを行うエージェント「ShowcaseTokyo」を運営。東京ファッションウィーク参加ブランドなど、日本のデザイナーズブランドの海外進出や新規取引先開拓の支援を行っている。 パリファッションウィーク期間では年4回それぞれのシーズンに営業担当する日本ブランドと共に参加。バイヤー向けの展示会を開き、ヨーロッパを中心に海外のお店やバイヤーとの取引を進める。