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英国発アップサイクル専門アプリ「Loom」が登場 デザイナーとユーザーをマッチング

高嶋 一行|Kazuyuki Takashima
AILメディアパートナー
執筆者

 英国で、二次流通サービスに関する新たなアプリが登場しています。アップサイクルプラットフォーム「Loom(ルーム)」は、100人以上のデザイナーとユーザーとを繋ぎ、着用しなくなった服に新たな命を吹き込むサービスを提供しています。

 「Loom」の利用方法は次の通りです。まず、ユーザーがアップサイクルしたいアイテムをアプリ上にアップロード。その後、「Loom designer(ルームデザイナー)」として登録している多様なファッション専門家から、カスタマイズされたデザイン案を受け取ることができます。利用できるアップサイクルメニューの価格設定としては、簡単なリメイクが30ポンド(約5,700円)、染色サービスが80ポンド(約15,200円)、また全体的なリメイクも可能です。特に、150ポンド(約28,500円)から利用できるブライダル衣装のリメイクが人気を集めています。

「Loom」の利用手順(公式オンラインサイトより

 

 “「Loom」は、「創造性、持続可能性、革新性を融合させ、セカンドハンド品に対する人々のアプローチを根本から変える」ことを目指す新たプラットフォームです。古い洋服に新たな命を吹き込むことでサーキュラーエコノミーを促進し、同時に、才能ある若手デザイナーの成長支援をコミュニティという形で行っています。”

 そのように説明するのは、創業者であり、元「Burberry(バーバリー)」のグローバルマーチャンダイジングアウトレットチームを率いた経験を持つ起業家のDaisy Harvey(デイジー・ハーベイ)氏。ファッション業界で15年以上のキャリアを持つ人物です。アドバイザーには、元「Diesel(ディーゼル)」でCEOを務めたPan Phillipou(パン・フィリップ)氏などのメンバーが名を連ねています。

染色によって生まれ変わったカーディガンの例(公式Instagramアカウント@theloomappより

 

 Daisy氏によると、「ユーザーの洋服に対する考え方は変わりつつある。サステナブルな選択を求める一方で、創造的なアプローチも望んでいる」。「Loom」ではそうしたユーザーの両方の意向を実現し、独立系デザイナーも支援できる内容としてアピールしています。

 

Global Change Award」のファイナリストに選出された喜びを報告する創業者Daisy氏の投稿(Linkedinより)

 

 同社は今年、H&M(へネスアンドマウリッツ)グループが運営する、業界の温室効果ガス排出量削減を目指してさまざまなプロジェクトを行う非営利団体「H&M Foundation(H&Mファウンデーション)」による「Global Change Award(グローバルチェンジ賞)」の上位20のファイナリスト企業に選ばれています。 エントリーは6 大陸 69 か国 476に及び、5月20日に最終的なファイナリストが発表されるといいます。

 ファッションのサステナブルとクリエイティビティを両立させる「Loom」の業界革新の可能性に期待したいと思います。


参照:
https://www.theloomapp.com/
https://uk.linkedin.com/in/daisyharvey
https://uk.fashionnetwork.com/news/Upcycling-app-loom-officially-launches,1703971.html

執筆者

  • 高嶋 一行|KAZUYUKI TAKASHIMA

    Showcase Tokyo 代表・在英ライター|AILメディアパートナー

    ファッション専門学校卒業後、渡英。「ELEY KISHIMOTO(イーリー キシモト)」にてデザインアシストを経験。現在は英国を拠点に日本ブランドの海外セールスを行うエージェント「ShowcaseTokyo」を運営。東京ファッションウィーク参加ブランドなど、日本のデザイナーズブランドの海外進出や新規取引先開拓の支援を行っている。 パリファッションウィーク期間では年4回それぞれのシーズンに営業担当する日本ブランドと共に参加。バイヤー向けの展示会を開き、ヨーロッパを中心に海外のお店やバイヤーとの取引を進める。