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「ALLUSION」と「DUSK」が映し出す子ども服の最新トレンド&現在地【Playtime New York 2026米国現地レポート】

RINA Yoshikoshi|AILメディアパートナー
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 2026年2月8日~10日に米国ニューヨークで開催されたベビー&キッズ向け展示会「Playtime New York(プレイタイム・ニューヨーク)」は、2026‐27年秋冬コレクションを披露する場として、今年もニューヨークに戻ってきました。2026-27年秋冬トレンドテーマ「ALLUSION(アリュージョン)」「DUSK(ダスク)」の解説と、日本発キッズブランド「MARKEY’S(マーキーズ)」初出展の模様をお届けし、次世代キッズ市場の方向性を読み解いていきます。

 会場となったメトロポリタン・パビリオンでは、地下、1階、2階、4階、5階の計5フロアを使用。280以上のブランドが出展し、フロアを巡るごとに新たな発見がある、見応えある構成となっていました。

 展示会開催期間中、ニューヨークは寒波の影響で厳しい冷え込みに見舞われていました。数日前に積もった雪が凍りつくほどの寒さの中、世界各国から集まった出展者たちは準備を整え、来場者も足早に会場へと向かっていました。


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ビジネスとクリエイティブの交差点、「PLAYTIME」展の魅力「PLAYTIME & Kid’s Hub New York Summer 2025(プレイタイム・キッズハブ・ニューヨーク2025夏)」取材レポート

キュレーション型マーケットとしての存在感

「Playtime New York」の展示会場の様子(筆者撮影)

 

 ベビー&キッズ業界を牽引する同展 は、「独創性とエシカルな精神を兼ね備えたブランド」が集うキュレーション型マーケットです。 単なる規模の拡大を追うのではなく、ブランド独自の世界観やサステナビリティ、そして専門店との質の高いパートナーシップを何よりも重視しています。現在はパリとニューヨークで年2回開催され、感度の高いバイヤーから信頼を集めています。

 昨シーズンに続いて筆者が参加して感じたことは、「Playtime」が一貫して“選ぶ展示会”であるという点です。大規模展示会とは異なり、デザイン性と商業性のバランスを保ちながら、丁寧に構成された空間づくりが印象的です。

 出展はアメリカブランドが主体ですが、フランス、スペイン、トルコ、カナダ、オーストラリアなど多様な国からブランドが集結し、今季もグローバルな広がりを感じさせるラインアップとなりました。また、今季は17の新規ブランド出展が確認され、日本からは[MARKEY’S(マーキーズ)が初出展を果たしています。

2026‐27年秋冬・キッズファッショントレンド

今季テーマ「MADE WITH LOVE」(筆者撮影)

 

 今季の展示会テーマは、グローバルなコミュニティの中で強い結びつきや共有された価値観が感じられる「MADE WITH LOVE(メイド・ウィズ・ラブ)」です。チェックインを済ませ会場に入ると、米リサーチ&コンサルティング企業Fashion Snoops(ファッション・スヌープス)による2つの主要トレンド解説が掲示されていました。今季のトレンドは、「ALLUSION(アルージョン)」と「DUSK(ダスク)」という2つの対照的な物語によって構成されています。

■トレンド1:ALLUSION(アルージョン)

 「ALLUSION」が提案するのは、デジタルな世界から離れ、肌で感じる質感や「意味のある暮らし」へと立ち返るスタイルです。伝統的なプリントやシンボルを現代的に再解釈し、新しい世代へと語り継ぐデザインが特徴です。

  • カラーストーリー:パレットの中心となるのは、「温もり」と「親しみ」を感じさせる大地の色彩です。画像上段にあるような、深いフォレストグリーンやテラコッタ、砂漠を思わせるベージュなど、自然界から抽出されたような色が並びます。

  • デザイン&テクスチャー:これらのカラーは、人類の進化を物語るようなプリミティブ(原始的)なテクスチャーや、手仕事が生み出す「不完全な美しさ」を讃える素材と組み合わされます。装飾的でありながら、子供たちが日常で着こなせる実用的な美しさが共存しています。

■トレンド2:DUSK(ダスク)

 もう一方のトレンドである「DUSK(ダスク)」は、昼から夜へと移り変わる「境界の時間」を反映したトレンドです。光と影の繊細なバランスを、ファッションを通じて描き出します。周囲と異なることを恐れず、自分の感情を率直に表現する(Unapologetic)オーセンティックなスタイルです。

  • カラーストーリー: ベースとなるのは、ダークでムーディーな重厚感のある色調。そこに画像下段のような、レッド、ピンク、パープルのアクセントが差し色として加わります。このコントラストが、ハードな素材感の中に「柔らかさ」と「希望」を宿し、タフさと優しさの調和を生み出しています。

  • デザイン&テクスチャー: ゴスやパンクの美学を現代的に解釈しています。金属的な金具やダメージ加工、あえて施された不完全なディテールは、子どもたちが持つ「レジリエンス(しなやかな強さ)」と「自分らしさの探求」を象徴しています。

26-27秋冬キッズファッショントレンド 画像上:ALLUSION・画像下:DUSK
(Trend by : Future Snoops for Playtime)

 

 今シーズンの2つのトレンドは、一見すると対極にあるように見えます。しかし、その根底にあるのは、「子供たちが自分たちのアイデンティティを、より深く、より自由に探求すること」へのエールのようにも感じられました。次世代のキッズファッションは、衣類という枠を超え、歴史や感情を身にまとう「物語」へと進化しているのかもしれません。

初出展 日本発「MARKEY’S(マーキーズ)」

MARKEY’Sの展示ブーズ(筆者撮影)

 

 「Hanna Andersson(ハナ・アンダーソン)」など30以上のブランドが展示される2階フロアに、今季「Playtime New York」へ初出展したのが、日本発のキッズブランド「MARKEY’S(マーキーズ)」です。

 「MARKEY’S」の最大の特徴は、創業以来、直営店中心の展開を一貫している点です。卸主体ではなく直営ショップを軸としてきたからこそ、店頭でお客様の声をダイレクトに受け取り、そのニーズに応える商品づくりを大切にしています。 同ブランドは現在、関西エリアを中心に約80の直営店を展開。オンラインでは、自社ECに加え、近年は「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」「楽天市場」といった大手ECモールへの出店も進め、リアル店舗で培った顧客接点を基盤に、オムニチャネル型の成長戦略を推進しています。

 展示会に用意されたコレクションは、2010年に誕生したメイド・イン・ジャパンにこだわるブランド「JIPPON(ジポン)」を含め、比較的幅広い価格帯で構成されていました。手に取りやすい価格帯の商品も多く見られましたが、価格を理由にデザインやスタイルを妥協することはなく、日常使いのベーシックを軸にしながら、遊び心や今の空気感をさりげなく織り込むバランス感覚が際立っていました。

 筆者が展示ブースに立ち寄り、実際にコレクションを拝見して感じたのは、プリントの組み合わせや細部に取り入れられたこだわりです。そうしたディテールに、バイヤーたちの手が自然と伸びていたように見えました。たまたま居合わせた現地バイヤーは、ブース全体を丁寧に見て回り、スタイル・価格帯ともに幅広い商品にオーダーを付けているようでした

 日本ブランドにおいて、先陣を切る形で出展を実現した「MARKEY’S」。今回の出展で得られた手応えやバイヤーとの繋がりがどのように反映されていくのか、次回展(7月開催)への継続参加にも期待が高まります。


■Playtime New York

公式サイト:https://www.iloveplaytime.com/playtime-kids-hub-ny/
次回開催:2026年7月26日~28日
場所:メトロポリタン・パビリオン(米国ニューヨーク)

 

「MARKEY’S」公式オンラインサイト

 

執筆者

  • RINA Yoshikoshi

    NYC在住ブランド、テクノロジー系ライター / コンサルタント|AILメディアパートナー

    NYを拠点にブランド、リテール、ウェルネス、D2CのCPGブランドの現地市場を調査。店舗で導入される最新テクノロジーや米国での先進事例なども研究。執筆活動、リソースを元にしたマーケティング&ビジネスコンサルティングやアドバイザリーも行う。
    関心: #ファッション #フィットネス #ウェルネス #スーパーマーケット+CPG