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異業種からの新規参入が加速 DHL社がリセールビジネスに本格進出【編集部厳選:ホットトピック】

ケルビン・アウ
AILメディアパートナー
執筆者

小売、EC、マーケティング、テック、Web3カテゴリーを中心に、今週注目を浴びた国内外の最旬情報をお届けします。

カテゴリー:二次流通、経営

 SDGs・環境問題に対する意識の向上を背景に、リセール市場が拡大しています。米国のリセールプラットフォーム大手の「ThredUP(スレッドアップ)」の調査レポートによると、2027年にはリセールの世界市場の規模が3,500億ドル(約52兆円)に上ると報告されています。

 「ThredUP」などリセールプラットフォームに特化した専門企業も近年増えています。これらの企業は「RaaS(Resale as a Service、リセール・アズ・ア・サービス)」というサービス業態で、リセールビジネスに参入したい小売企業やブランドに対し、ECサイトの構築やささげ業務のほか、エンドユーザーから送られてくる中古衣料品の査定、出品、在庫管理、発送、カスタマーサービスなど、リセールビジネスに関わるあらゆる業務を一括で代行しています。

「Reflaunt(リーフロウント)」の公式サイトより
 

 一方で、ここ最近、異業種からリセールビジネスへ新規参入する例も目立っています。

 2024年2月下旬、国際輸送大手のDHL(ディーエイチエル)社がリセールプラットフォームの「Reflaunt(リーフロウント)」と戦略的パートナシップの提携を発表しました。今回の取り組みでは、DHL社が「Reflaunt」の専属パートナーとして、エンドユーザーからの商品の回収、配送、検品、偽造商品の鑑定、商品管理、ささげ業務などのサービスを担うといいます。つまり、ECでの販売機能やマーケティングサポートを除き、それ以外の大部分の機能をほぼDHL社でまかなうということです。

 

多くの高級ブランド、ファッションECも「Reflaunt」のサービスを導入している

 

 一方で、エンドユーザーに対して提供されるサービス体験に変化はありません。これまでと同様に、ユーザーは「Reflaunt」を導入しているブランドのリセールECサイトにアクセスすることで、希望する日付での商品回収をリクエストすることができます。

 今回、両社の取り組みにあたっては、「Reflaunt」のECまたはモバイルアプリ上に、DHL社と連携するための機能が新しく開発・追加される予定です。つまり、従来の仕組みをベースとしつつ、今回の提携により新たにDHL社によるサービス提供が加担されたということになります。それにより「Reflaunt」の処理能力の大幅な向上が期待され、商品ラインアップの拡充はもちろんのこと、物流コストの最適化も実現すると見込まれています。

DHL社のスタッフによるささげ業務の様子(プレスリリースより)

 

 今回のDHL社の事例は、物流サービスを起点として、さまざまな付加価値を提供しリセールビジネスへ新規参入した、と見ることができます。一方で、リセールビジネスやリセール専門プラットフォームという観点においては、マニュアル化することで成立する業務を専門企業に委託することで、サービス拡大に伴う設備投資コストを大幅に抑えることができ、かつ最短でのサービス改善や顧客体験の向上を得られるというメリットがあるといえるでしょう。

 


参照:
https://www.dhl.com/pl-en/home/press/press-archive/2024/reflaunt-taps-dhl-supply-chain-as-contract-logistics-provider-to-transform-european-fashion-resale.html
https://cf-assets-tup.thredup.com/resale_report/2023/thredUP_2023_Resale_Report_FINAL.pdf