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【週間ホットトピックス特別編】The Real Realが初の二次流通レポートを発表 2023年消費トレンド:ユーザーの6割以上がリセール商品を「ファーストチョイス」に
「The Real Real(ザ・リアル・リアル)」は2011年に米国で創業の高級ブランドに特化した二次流通企業です。委託販売形式でブランドの中古商品を取り扱い、現在は19の実店舗を展開しながら、オンラインマーケットプレイスも運営しています。2019年に二次流通関連のスタートアップとして初めて米国で上場し話題に上りました。
2023年1月19日、同社は独自の販売データを引用し、高級ブランドにおける最新の二次流通市場レポートをリリース。今回はその中から注目ポイントを紹介していきます。
AIL編集部 注目ポイント:
- コロナ禍の「特需」が落ち着き、市場は超高級ブランドから「コスパ重視」路線へ
- 「訳あり商品」が2倍成長、新規ユーザー獲得のきっかけに
- 2023年の消費トレンド:ユーザーの6割以上がリセール商品を「ファーストチョイス」に
コロナ禍の「特需」が落ち着き、市場は超高級ブランドから「コスパ」路線へ 「MIU MIU」などが好調
市場全体の傾向として過去3年間は、コロナ禍の影響などで多くのユーザーが手元の高級ブランドのハンドバッグ類を「The Real Real」など二次流通企業に売り戻すようになり、経済的な圧力を緩和することを主な目的として利用していました。
ブランド別のハンドバッグ取引傾向
(2021年Q4と2022年Q4との比較)
しかし、コロナ収束に伴い経済活動が正常化する中で、その傾向は変化し始めています。例えば、バック類の取引状況に面白い変化が表れています。
コロナ禍で最も売上が好調だったのは「CHANEL(シャネル)」「Hermès (エルメス)」「Gucci(グッチ)」「Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)」など、代表的な4つの高級ブランドでした。しかし、直近ではこれらの高級ブランドの売上は下落傾向に。
その一方で、「MIU MIU(ミュウミュウ)」など、高級ブランドでありながらも、比較的お手頃価格の中堅ブランドが好調です。「MIU MIU」の場合、購入層はZ世代など若年層が中心で、特にショルダーバッグは2021年Q4に比べて、2022年Q4では178%増と好調です。
「訳あり商品」が2倍成長、新規ユーザー獲得のきっかけに
「The Real Real」では、2022年より「訳あり商品(fair condition)」の採用を開始。商品状態として、キズ、破損、着用感が比較的著しい品物が新たに対象に加わりました。このような「訳あり商品」は、状態の良い商品に比べ平均で33%価格が安くなっています。そのため、展開開始して以降ニーズは順調に伸び、現在は2倍に増えているといいます。購買層の特徴としては、価格に敏感でありながらも高級ブランドに興味があるという「ライトユーザー」に特に人気で、高級ブランドのいわゆる“デビュー商品(Gateway bags)”として新規顧客獲得のきっかけになっていることが分かりました。
ちなみに、「The Real Real」のデータによると、「訳あり商品」カテゴリーでは、「CHANEL」「Louis Vuitton」「Gucci」「PRADA」「Hermès」が売上全体の6割を占めているといいます。また、新規顧客の58%は、「Louis Vuitton」が販売している「Monogram Multipli-Cité Tote」というハンドバッグの「訳あり商品」をきっかけに、「The Real Real」を利用するようになったことが分かっています。
2023年の消費トレンド:ユーザーの6割以上がリセール商品を「ファーストチョイス」に
「The Real Real」の共同CEO兼会長のRATI SAHI LEVESQUE氏は、2023年の高級ブランドの二次流通市場の展望について以下のように述べています。
「2023年は、大型景気後退や地域紛争などの不安要素が強まっていくと言われている中で、我々の顧客の66%がリセール商品を購買の「ファーストチョイス」とする傾向があると分かりました。つまり、今まで以上に、顧客による商品価格とバリューの判断基準がより敏感に、厳しくなっていきます。特に「訳あり商品」関連商品のポテンシャルは大きく、より「コスパ重視」の消費マインドが強まることは、二次流通市場の重要指標として注目していきます。」
まとめ:
二次流通市場においても「コスパ重視」の購買層が台頭し、幅広い「訳あり商品」が受け入れられるようになることで、商品の流通量や新規顧客獲得競争が変化・拡大していくでしょう。消費行動の中で中古商品が「ファーストチョイス」として定着するような日常が当たり前となるのは、日本でもそう遠くはないかもしれません。
Source:
https://the-realreal.cdn.prismic.io/the-realreal/de90f6e9-4a9f-42a8-bde1-9ac03361dddd_TRR+Consignment+Report+2023.pdf
続いて、今週の小売、EC、マーケティング、テック、Web3カテゴリーを中心に、国内外の最旬情報をまとめてお届けしていきます。
ThredUPが人気Tik Tokerとコラボ、バレンタイン向けキャンペーンでサステナビリティ関連の教育コンテンツを発信
カテゴリー:二次流通、SNS
Nava Rose氏のTikTokアカウントより
リセールプラットフォーム大手の「ThredUP(スレッドアップ)」が、サステナビリティ関連の教育コンテンツの発信を強化するために、人気Tik TokerのNava Rose氏とコラボ。2月のバレンタインイベントに向け、リセール商品を紹介する「Dump Fast Fashion」というキャンペーンを実施する予定です。
「Dump Fast Fashion」キャンペーンでは、タイトルの通り、ユーザーに“ファストファッションから離れよう“という強いメッセージが込められており、Nava Rose氏のサイン入りリセール商品を3点限定で「ThredUP」のマーケットプレイスに出品しています。同社副社長のErin Wallace氏は、海外メディアによる本キャンペーンへのインタビューで、「特にZ世代のユーザーを対象に、ファストファッション産業がもたらす環境問題への意識を持ってもらう目的がある」と語っています。
Source:
https://www.modernretail.co/marketing/resale-platforms-like-thredup-are-rebelling-against-fast-fashion/
米調査:2022年の全世界EC売上は100兆円の大台を達成
カテゴリー:EC
米国リサーチ企業Comscoreの最新調査レポートによると、オンライントラベルの売上を除き、小売を中心としたEC売上は初めて1兆ドル(約128兆円)の大台を達成したことが分かりました。
売上高トップ3のカテゴリーは、1位がフード、2位がベビー用品、3位がアパレル関連となりました。1位のフードに関しては、近年オンラインフードデリバリーのビジネスモデルが頻出し、一部の地域では最短15分での即日配送が可能になるなど、利便性が大幅に向上したことが後押しになっています。2位のベビー用品については、新興国を中心にベビー用品のニーズが高まり、かつ欧米でベビー用品の新興ブランドが相次いで登場し選択肢が増えたことも重要なポイントといえるでしょう。3位のアパレル関連では、2022年に頻繁に開催されたセールやバーゲンによって売上が向上したことが特徴的です。また、全体を通じてモバイル経由の売上が38%を占めるまでになりました。
Source:
https://www.comscore.com/Insights/Presentations-and-Whitepapers/2023/State-of-Digital-Commerce
NIKEのWeb3プラットフォーム「.SWOOSH」が本格始動、ファンコミュニティ向けバーチャルスニーカーコンテストを実施
カテゴリー:Web3
昨年末にベータ版が公開されていた「NIKE」のWeb3プラットフォーム「.SWOOSH(ドットスウォッシュ)」がついに本格始動。「.SWOOSH」のコミュニティメンバーに向け、同社の人気スニーカー「AirForce1(エアフォース1)」をテーマにしたバーチャルスニーカーのコンテスト「#YourForce1」を開催しました。
コンテストの内容としては、「#YourForce1」のハッシュタグを付けInstagramに投稿されたオリジナルバーチャルスニーカーのデザインの中から、「NIKE」が優勝者を選出するというもの。勝者には5,000ドルの賞金が贈られるほか、「NIKE」のデザインチームの一員として、唯一無二のバーチャルスニーカーの制作に携わることが可能に。コミュニティ形成に注力する「.SWOOSH」では今後も参加型イベントを通じてコミュニティメンバーのエンゲージメントを強化していくといいます。
Source:
https://blog.swoosh.nike/collab-with-us-announcing-swoosh-studio-1d233b9c58e6
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