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SHEIN(シーイン)とFOREVER21運営元企業が戦略的パートナーシップ締結 ~SHEINが約1/3の株式を取得した狙いとは~【編集部厳選:週間ホットトピック】

ケルビン・アウ
AILメディアパートナー
執筆者

小売、EC、マーケティング、テック、Web3カテゴリーを中心に、今週注目を浴びた国内外の最旬情報をお届け。

カテゴリー:EC、M&A

 

 2023年8月24日、米国発ファストファッションブランド「FOREVER 21(フォーエバー トゥエンティーワン)」の運営元であるSPARC Group(スパークグループ)(注1)は、中国発大手ファストファッションの「SHEIN(シーイン)」と、両社のビジネス拡大に向けて、戦略的提携を締結すると発表しました。「SHEIN」がSPARC Groupの株式の約3分の1を取得し、同時にSPARC Groupも「SHEIN」の少数株主となります。

 SPARC Groupについて簡単に説明しますと、同社は合弁会社であり、2020年に、Authentic Brands Group(オーセンティック・ブランズ・グループ)(注2)、米国商業施設の不動産開発で知られる大手企業Simon Property Group(サイモンプロパティーグループ)、Brookfield Property Partners(ブルックフィールドプロパティーパートナーズ)からなる財団によって買収されています。


(注1)SPARC Group…「Brooks Brothers(ブルックス ブラザーズ)」などを所有
(注2)Authentic Brands Group…「Reebok(リーボック)」や「NINE WEST(ナインウェスト)」などを所有

 

「SHEIN」と「FOREVER 21」の戦略的パートナーシップ発表について(Yahoo! Finance YouTube公式チャンネルより)

 

「FOREVER 21」公式サイトより

 

SPARC Groupの公式サイトより

 

 「SHEIN」の今回のSPARC Groupとの戦略的提携には、同グループのバックにある財団メンバーのSimon Property Groupが持つリアル店舗の開発ノウハウや、Authentic Brands Groupが持つブランドマネジメント・開発の経験を、自社のビジネス拡大に生かす狙いがあるといいます。

 例えば、「FOREVER 21」が世界中に展開する540もの店舗において、「SHEIN」の新作商品を投入し、顧客の反応を見極めるといったテストマーケティングを行うことも狙いの1つです。また「SHEIN」のオンラインショップで購入された商品の返品処理を「FOREVER 21」の店舗で可能にすることで、エンドユーザーの利便性を高める取り組みも視野にあるようです。

 

戦略的パートナーシップの狙いについて(Yahoo! Finance YouTube公式チャンネルより)

 

「FOREVER21」が享受しうる「SHEIN」の保有する圧倒的なSNSリーチ数。
ハッシュタグ「#SHEINHAUL」が絶大な投稿数を誇っている(Yahoo! Finance YouTube公式チャンネルより)

 

 一方で、「FOREVER 21」といえば、近年は業績拡大に苦戦し、2019年に一時日本市場を撤退しましたが、2023年に再上陸を果たしています(注3)。今回の提携により、「FOREVER21」は自社商品を「SHEIN」のオンラインショップで展開することで、同社が持つ1.5億という莫大なユーザー群にアクセスすることが可能になります。

 「SHEIN」ではここ最近、自社以外のブランドが出品可能となるマーケットプレイス開発に積極的に取り組んでいます。従来から充実した商品展開があるオンラインショップ上に、代表的なファストファッションの「FOREVER 21」の取り扱いも開始となると、まさに”鬼に金棒”といえるのではないでしょうか。

 

「SHEIN」公式サイトより

 


 

(注3)日本の大手アパレル企業アダストリアが2022年5月に設立した子会社・ゲートウィンと、Authentic Brands Groupから日本事業におけるマスターライセンシーを取得した伊藤忠商事とがサブライセンス契約を締結し、2023年から「FOREVER 21」の店舗運営、商品販売を開始している。

 

参照:
https://sheingroup.com/corporate-news/shein-and-sparc-group-join-in-a-strategic-partnership/
https://www.businessinsider.jp/post-262960