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2024年注目の成長市場―ウェルネス、二次流通、ゲーム【Coffee Talk from NYC Vol.14】
ニューヨーク現地より、小売×テック関連の旬なトピック・体験レポートをお届け。アメリカのコーヒーブレイク中に行われるカジュアルミーティング、”Coffee Talk”にちなんで、気軽にインプットいただけるレポートを定期配信していく。
2024年最初のコラムでは、筆者が注目する3つの成長市場について紹介。
Business in Wellness x Fashion | ますます重要視されるウェルネス
私たちは誰もがパンデミックをきっかけに、心身の健康について改めて見つめ直す機会を与えられた。日常において、フィジカルやメンタルにまつわるサービスの頻出や、ファッションにおいてはアクティブウェアの人気が注目されたことからも、その需要の変化に誰しもが気づいただろう。
米NPOのGLOBAL WELLNESS INSTITUTE(GWI、国際ウェルネス機構)では、健康予防とウェルネスについて、第三セクター(国や地方公共団体の事業を民間の資金・能力を導入し官民共同で行う事業体)へ教育することでウェルネスを強化することをミッションとしている。また、世界のウェルネスにまつわる独自の調査や研究を行い、世界のウェルネス市場の変化やトレンドの分析を行っている。
10年前に、GWIによって“グローバル・ウェルネス・エコノミー“という言葉が作られ、当時(2013年)の世界のウェルネス市場は3兆4千億ドルだと推計された。その後もウェルネス市場は着実に成長していたが、パンデミック勃発の2020年に一旦減少。しかし、2022年時の推計では5兆6千億ドルに到達するまで市場が回復したことが伝えられている。今後もさらなる成長が見込まれることから、これらの数字だけを見ても、どのような分野のビジネスにおいてもウェルネス市場を意識しておくべきだということが分かるだろう。
© Global Wellness Institute
成長するウェルネス市場の中でも、温泉、森林浴、禅の文化をもつ日本は第3位の注目市場だと言われている。GWIが上げている11のウェルネス分野の中でビジネスとして活かすとするならば以下のような事業やパートナーシップが考えられる。
- ウェルネス不動産
- ホテルなどのホスピタリティ施設や、ウェルネスを軸にした商業施設などへの出店のパートナーシップ
- ウェルネスツーリズム
- 旅にまつわるファッション用品の展開や、リフレッシュや癒やしをテーマとした旅行関連事業とのパートナーシップ
- メンタルウェルネス
- メンタルウェルネスに関連する商品展開や、マーケティングやサービス面への導入
- 食
- 商品や食品メーカーとのコラボレーション
- 運動
- アクティブウェアやグッズの展開やイベントの開催でのパートナーシップ
- ビューティー
- 商品やサービスでのコラボレーション
上記はほんの一部だが、“ウェルネス”という言葉に構えすぎず、人々の身体やマインドに喜びを感じることには、積極的に関連していくことをお勧めしたい。
(グラフ)2022 年から 2027 年のセクター別の年間平均成長率を予測 © Global Wellness Institute
上記グラフからは、11の業態の中でも「ウェルネス不動産(17.4%)」「ウェルネスツーリズム(16.6%)」「温浴・温熱・温泉(14.3%)」が2027年に向けて最も成長する分野だと予測されていることが分かる。半数以上の業態が10%以下だが、「運動などのフィジカルアクティビティ」「パーソナルケア&ビューティー」「スパ」などファッションが関連しやすいカテゴリーも成長している。
GWIでは毎年、ウェルネス業界のリーダーや医師、ウェルネス&スパ施設やホテルグループの関係者、化粧品企業、投資家、スポーツなど、世界各国から招待客のみが出席する「Global Wellness Summit (グローバルウェルネスサミット)」を開催。2024年のサミットは、スコットランドで開催されることが決定している。
Business in Resale x Fashion |生活者と共に成長する二次流通
執筆者
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RINA Yoshikoshi
NYC在住ブランド、テクノロジー系ライター / コンサルタント
NYを拠点にブランド、リテール、ウェルネス、D2CのCPGブランドの現地市場を調査。店舗で導入される最新テクノロジーや米国での先進事例なども研究。執筆活動、リソースを元にしたマーケティング&ビジネスコンサルティングやアドバイザリーも行う。
関心: #テクノロジー #NFT #WEB3 #ウェルネス #未来の街作り