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【AILイベントレポートVol.07】ファッション二次流通の新常識! SHIPSと考えるRaaSを活用したオウンドリセールの成功ポイント

AIL編集部
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 アパレルウェブ・イノベーション・ラボでは、イノベーターや有識者を招きビジネスインプットや“発見”をお届けする会員向けリアルイベントを定期開催。本企画では、イベントで得られたナレッジや交流会の様子をAIL編集部がレポートしていきます。

 2025年4月イベントテーマは、「ファッション二次流通の新常識!SHIPSと考えるRaaSを活用したオウンドリセールの成功ポイント」。「オウンドリセール(自社二次流通)」の実践的な取り組み事例や、今後の国内の二次流通市場の展望について、セミナー後半に実施したトークセッションの様子をお届けします。リコマース(再販)システムの「Retailor(リテーラー)」を提供するFreeStandard(フリースタンダード)代表取締役社長の張本氏、2025年7月より本格的にオウンドリセール事業をスタートするファッションセレクト企業シップス執行役員/経営企画室DX本部本部長の大塚氏、アパレルウェブ取締役会長の千金楽の3名に語っていただきました。


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画像左から、アパレルウェブ千金楽、シップス大塚氏、FreeStandard 張本氏

 

■イベント登壇者プロフィール

(画像中央)大塚 祐史|株式会社シップス 執行役員 経営企画室 DX本部 本部長

おおつかゆうじ●1996年アルバイトで株式会社シップスに入社し、物流部門に従事。2000年からは情報システム部の責任者として、「基幹MDシステム導入」「CRMシステム導入」「RFID導入」等、様々なシステム導入を牽引。2017年3月に新設された営業推進本部の本部長として、情報システム部、デジタルマーケティング部、CS部を管掌し、自社サイト統合を含めたオムニチャネル施策を推進。2022年9月からDX/EC担当役員として現職に就任し活動中。
 
●シップス公式サイト
●シップスCYCLE MARKET公式サイト

 

(画像右)張本 貴雄|Free Standard株式会社 代表取締役社長

はりもとたかお●2007年クルーズ株式会社へ新卒として入社。 複数の新規事業立ち上げを行い、2010年に取締役に就任。 2012年にネット通販事業「SHOPLIST.com」を立ち上げ、7年で250億円規模の事業へ成長させる。 2020年8月よりFree Standard株式会社を設立し、代表取締役社長を務める。
 
Free Standard株式会社公式サイト

国内のリユース化率は13%
“正しいものを正しく届ける”ブランドの責任

アパレルウェブ千金楽:二次流通の話題になると、「ブランドイメージを毀損する」「市場シェアを奪う」「新品とのカニバリゼーション(共食い)が起こる」といったネガティブな声もあります。シップスの場合、社内からはどのような反響がありましたか?

シップス大塚氏:社内からの反響は非常に大きく、質問も多数寄せられましたが、「ブランドを毀損する」といったネガティブな意見は一切出ませんでした。今回の取り組みは、あくまで“ファッション”という枠組みの中で、さらなる“面白さ”を醸成するために中古品を新たなコンテンツとして投入する文脈を重視しているからです。そういった意味では、二次流通が既存の商品の売上を下げることやブランドを毀損することはないと考えています。

Free Standard張本氏:「新品とのカニバリゼーション」については、現在国内のリユース化率はすでに13%を占めており、新品市場への一定の影響は顕在しているといえます。ただ、例えば中古品の出品額や販売額などの取引データを算出し、新品とのカニバリゼーションが起こっている場合は、「他の二次流通マーケットで自社のブランド商品が取引されてしまっている、という事実に目を向けてください」とお伝えしています。また、「ブランドの毀損」については、“すでに二次流通市場に出品されている”という事実こそが、それに値するのではないでしょうか。ブランドは、新品・中古関係なく、“正しいものを正しく顧客に届ける”責任があると考えます。フリマアプリで購入した商品が実は偽物だったという話をよく聞きますが、ブランドが主体的に二次流通に取り組むことによって、そうした事象を防ぎブランドイメージを保つことに繋がるのではないでしょうか。

アパレルウェブ千金楽:二次流通では「偽物」という問題もありますね。偽造品はどのように発見していますか?

Free Standard張本氏:生産拠点やメーカーが限定的なブランドは多いので、例えば生産国による判別などの情報共有や、偽物に対するガイドラインを事前に明確に取り決めています。商品タグに特殊な仕掛けを施し、専用の器具を使って判定ができる工夫をしているブランドもあれば、中には、顧客から偽物の修理依頼が届いた場合でも、それは流通させてしまったブランドの責任と捉え、正規品と同様に対応を行うブランドもあります。そうしたブランドポリシーを全て共有していただき、販売チャネル毎に真贋判定ができる体制を整えています。

 

画像左から、アパレルウェブ千金楽、シップス大塚氏、FreeStandard 張本氏による対談の様子
冒頭では、千金楽が44 年前に実父に貰った「SHIPS」のビンテージジャケットを紹介

 

“ファッションとして楽しむ” オウンドリセールが当たり前の時代へ

アパレルウェブ千金楽:米国では、店舗にトレードイン(下取り)コーナーを設けて衣類などを回収しています。日本ではどのような回収方法が一般的でしょうか?

 

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  • APPARELWEB INNOVATION LAB.(アパレルウェブ・イノベーション・ラボ)

    アパレルウェブ・イノベーション・ラボ(AIL)とは、ファッション・小売関連企業の経営層に向けて“イノベーションのヒント”を届けるため、アパレルウェブが2017年10月にスタートした法人会員制サービス。小売、メーカー、商社、デベロッパー、ベンダー企業など幅広い企業会員が集うコミュニティでは、各種セミナーや交流イベントを定期開催。メールマガジン、Webメディア、会員レポート冊子などを通じて毎週オリジナルのビジネスコンテンツを発信。