(前ページ)【前編】海外勢に対抗できる日本のコスメ業界の強みは
「R&D(研究開発)戦略」
後編では、アジアのスタートアップ企業がシートマスク開発に活用する「マイクロバイオーム」などの注目キーワードや、顧客と企業との付き合い方・「CSV(共有価値の創造)経営」などについて、国内外の数々のビューティーブランドを研究する矢野氏の視点で語っていただきます。
今回お話を聞いた方
BeautyTech.jp編集長
矢野 貴久子氏|Kikuko Yano
雑誌編集やデジタルメディア運営を経て2017年7月よりアイスタイルにてBeautyTech.jp立ち上げ準備に関わり、2018年2月に編集長に就任。2019年Japan BeautyTech Award 審査委員をつとめる。そのほか、2019年よりEWW女性起業家アクセラレータープログラム メンター、2020年よりディップ株式会社のAIアクセラレータープログラムアドバイザー、2020年トキワビューティアクセラレータープログラム審査員、サンフランシスコ発のFaB(Fashion and Beauty Tech Community)の東京チャプターヘッドをつとめる。大企業への取材からスタートアップ企業との対話を通して、国内外の美容業界のDXや化粧品マーケティング・ブランディング情報の発信につとめている。
公式サイト:https://beautytech.jp/
2023年の注目キーワードは「マイクロバイオーム」
イスラエル発のテックカンパニー「NanoSpun」が常在菌を活用して製品開発
beautytech.jp記事より
─2023年、日本と海外のビューティー市場において、注目すべき傾向やトレンド、キーワードについて、教えてください。
矢野氏:ひとつはヒトの常在菌に注目した「マイクロバイオーム」です。日本や欧米でも研究が進んでいますが、昨年頃から画期的な技術が開発され、新たな商品が登場しています。具体例を挙げると、イスラエル発のテックカンパニー「NanoSpun(ナノスパン)」は、生菌を肌の上で活性化する特許技術を活かし、常在菌を配合したシートマスクを開発しています。日本では「KINS(キンズ)」などのスタートアップも注目されています。
もうひとつは「プルーフベースドビューティー」と呼ばれる分野です。