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英国を代表する百貨店Selfridgesの「PROJECT EARTH」の取り組みから学ぶ、率先したサステナブルな売り場作り【EU最新小売トレンドレポート】
英国を代表する百貨店であり、ロンドンをはじめ英国内に4店舗を展開する「Selfridges(セルフリッジズ)」。最近のニュースとして、2022年にカナダのオーナーからタイとオーストリアの大手企業による合併会社へ売却されるなど、大きな転換期を迎えた百貨店です。
そんな「Selfridges」は2020年よりサステナブル(持続可能)な取り組みとしての「PROJECT EARTH(プロジェクト・アース)」を始動。サステナブルな意識が一般的に広がる以前の、比較的早い時期に企業としての方向性を明確にしています。
「Selfridges」のウィンドウの様子(2023年9月筆者撮影)
そして現在2023年、すでに英国ではサステナブルなイメージがしっかりと根付いており、百貨店としての特徴やブランディングにもサステナブルの活動が大きく貢献しています。
今回は、「Selfridges」が顧客に向けて提案する「サステナブルな売り場作り」を、事例をもとに紹介します。
店舗での体験、話題性を兼ねたポップアップショップ
「Selfridges」の旗艦店であるロンドン店には、1階の売り場スペースに広々としたポップアップショップやイベントを行うスペースがあります。さまざまなブランドによるポップアップや企画店、展示によるパフォーマンスなどが常に期間限定で実施。「Selfridges」に来場すると「前回と違う目新しさ」を入り口から感じることができます。
ポップアップスペースで「PROJECT EARTH(プロジェクト・アース)」の取り組みがスタートした後、毎回ではないものの、さまざまなサステナブルな商品の販売や企画店、体験ができるパフォーマスなどが頻繁に展開されています。また、ポップアップスペースに限らず、豊富にある売り場スペースを活用した期間限定ショップも登場しています。
「PROJECT EARTH」について紹介する特設ページ(公式サイトより)
最近のポップアップイベントとしては、「A Swap Shop(スワップショップ)」が2023年7月のみの期間限定でオープン。期間限定の中古品交換ショップであり、古着販売をメインにした内容です。
店頭での「A Swap Shop」の様子。顧客が持参した洋服は査定後、スタンプが押され、買い物に利用できる
「A Swap Shop」が従来の古着店と違うところは、中古品の交換ができる点です。
執筆者
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高嶋 一行|KAZUYUKI TAKASHIMA
Showcase Tokyo 代表・在英ライター|AILメディアパートナー
ファッション専門学校卒業後、渡英。「ELEY KISHIMOTO(イーリー キシモト)」にてデザインアシストを経験。現在は英国を拠点に日本ブランドの海外セールスを行うエージェント「ShowcaseTokyo」を運営(https://www.showcasetokyo.co.uk)。 東京ファッションウィーク参加ブランドなど、日本のデザイナーズブランドの海外進出や新規取引先開拓の支援を行っている。 パリファッションウィーク期間では年4回それぞれのシーズンに営業担当する日本ブランドと共に参加。バイヤー向けの展示会を開き、ヨーロッパを中心に海外のお店やバイヤーとの取引を進める。