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【AILイベントレポートVol.01】香りで届けるブランディング〜嗅覚記憶で顧客体験を創造する〜|2024年3月実施リアルセミナー&会員交流会

AIL編集部
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アパレルウェブ・イノベーション・ラボが運営する会員制コミュニティ「アパレルウェブ・イノベーション・コミュニティ(AIC)」では、イノベーターや有識者を招きビジネスインプットや“発見”をお届けするリアルセミナーと、会員様同士が気軽に情報交換・名刺交換いただける交流会を定期開催。

2024年3月に開催したイベントでは、“香り”のプロフェッショナル、株式会社アイーダよりマイクロフレグランス事業部長の田中舘 翔氏(以下、田中舘氏)を招き、“香り”を切り口にさまざまな新しい顧客体験の可能性を紹介いただいた。

ここ10年間で、アロマ市場は売上規模55%増、約4,000億円へと迫る成長を遂げている。日本では近年特にシャンプーや柔軟剤などの選択肢が増えていることもあり、市場は急速に成長しているという。

『90分間も“香り”にまつわる話を聞く機会なんて滅多にないと思います』と田中舘氏は前置きしつつ、約15年の香りブランディング実績で培ってきた知見と「嗅覚」に関するエビデンスデータに基づいた、多岐にわたる業界への香り導入成功例を紹介した。また、実例とともに実際に導入された10数種類のさまざまなテーマや効能を持つフレグランスを専用機器で会場内に香らせ、参加者は“リアルな香り体験”を楽しんだ。

セミナー後の交流会では、厳選された6つの“香り体験ルーム”を設置。「Energy(エナジー)」「Relax(リラックス)」の2種のアロマと、4種のフレグランスによる香り体験を提供した。参加者には「嗅覚」を通じたこれまでにない立体的なイベントを体感していただいた。

本レポートでは、セミナーのサマリーや交流会の様子をお届け。是非、アーカイブ動画と合わせてチェックしてみてほしい(アーカイブ視聴は会員限定)。

*セミナー全編はEvent Archiveページにて動画公開中! イベントアーカイブはこちら


登壇者プロフィール

田中舘 翔氏
株式会社アイーダ(アントレックスグループ) マイクロフレグランス事業部 事業部長


たなかだてしょう●1986年、東京都出身。2009年日本体育大学体育学部卒業。2009年4月に専門商社に入社し、卸売りの営業に従事。2012年6月にアントレックスに入社、マイクロフレグランス事業部に所属し、営業全般、海外メーカーとのコミュニケーションを担当。2015年6月に事業部長に就任。
株式会社アイーダ 公式サイト

編集部ピックアップ! ポイント3選

  • ✅アロマ市場規模は2011年から10年間で55%増。日本の“香り”市場は急速に成長中。
  •  
  • ✅香りによる記憶は他の五感の100倍強い
  •  
  • ✅「良い香り」は顧客満足度向上や従業員のコミュニケーションの円滑化にも繋がる

香りの最新市場動向 海外と日本の香り文化の違いが影響

日本における香り市場は2011年の2,564億円から2021年には3,973億円へと、10年間で55%増の成長を遂げている。また、フレグランスのグローバル市場の年間成長率は5%と、世界経済成長の倍速で伸びている。一方で、グローバルでみると実は日本の市場は50番目程度とまだまだ海外の伸長には及ばない。

セミナーの様子。質問を交え、参加者の興味を惹きつける田中舘氏(編集部撮影)

 

『日本人の一人当たりの年間のフレグランス使用量はどのくらいだと思いますか?』と田中舘氏より参加者へ質問。香り市場の世界トップクラスはアラブ首長国連邦などの中東で、年間の一人あたりのフレグランス使用量はなんと3~5リットル。一方で、日本人のフレグランス使用量は100ミリリットル以下だという。参加者のほとんどが悩みながら質問に対し挙手する方が多かった印象だが、その大差の結果を聞いた時には『へえ~!』という驚きの声があがった。

2011年~2021年のアロマ市場規模の推移(参照:アイーダ社資料)

日本は「無臭文化」?

フレグランスの使用量や捉え方が海外と日本で異なる背景には、インフラ整備の発展度合いや生活文化も大きく関係しているという。日本は昔から衛生面において世界的に高水準であること(下水やごみによる悪臭などが少ない)、日本人の体臭はそれほどきつくないことなどが、日本のフレグランス市場規模の背景にある。日本はいわゆる「無臭文化」といわれてきた。

しかし、「無臭」というのは時に生命の危機に及ぶ場合もある。『人の疾病のなかで「嗅覚」を失ってしまうと死亡率が格段に高まる』と田中舘氏は「嗅覚」の重要性を説明した。それほど重要な「嗅覚」に密接に関わる香りには、さまざまな役割や可能性がある。

「嗅覚」がもつ特性 長期記憶は他の五感の100倍強い

『ブランドのマーケティング担当者は、どのようにして消費者にインパクトを与えられるか、ブランドを刷り込ませることができるかといったブランディング戦略と日夜戦っていますよね』と田中舘氏。そのソリューションの一つとして『嗅覚を使わない手はない』と続けた。香りがブランディングに有効だとするエビデンスとして、「嗅覚」と脳に関する興味深い仕組みが紹介された。

参照:アイーダ社資料

 

「嗅覚」は五感の中で唯一、かつ最も強く、脳の本能や感情をつかさどる「大脳辺縁系」にダイレクトに働きかける特性を持つという。2004年の最新の研究によると、「嗅覚」による記憶は、他の五感に比べて長期記憶として100倍残りやすいことも判明している。

『しまうまがライオンから逃げるときは、目でも音でもなく、匂いから本能的に危険を察知して体が先に動くのと同様です』と田中舘氏は分かりやすい例で解説。さらに「嗅覚」は五感の中で唯一、鍛えることでその感覚を復活させたり向上させることができる感覚という特性には驚きだ。一流と呼ばれるパフューマ―(調香師)には、40~50代と訓練や経験を積んだ人が多いこともそれに起因しているという。

 香り導入事例のケーススタディ

『海外では香りが無い方が不自然、あって当たり前』と、香りはブランディングにとって欠かせない要素だ。ウェルネスの観点からも”香り”は近年非常に注目されている。同社では商業施設、ホテル、小売店、フィットネス、介護・医療施設、美容室など幅広い業態へ香り機器を導入しており、その導入実例と実際に導入されたフレグランスを会場で香らせながら解説を進めた。

ここからは、実際に香りを導入して効果のあった企業例をケーススタディとして紹介。

*導入企業紹介|ポルシェ、mesm tokyo、グランツリー武蔵小杉、ディズニーストア、GINZA SIX、ダイハツ工業など

 CASE#01「香り×ブランディング」

セミナーでは専用のフレグランス機器で実際に企業に導入された香りを会場で香らせた(編集部撮影)

 

ポルシェや高級ホテル「mesm tokyo(メズム東京)」では、春夏・秋冬とシーズン毎にオリジナルの香りを開発。ブランドメッセージを伝えるために香りを活用し他社との差別化を図っている。また、「ウェルカムエフェクト」と同社では呼ぶそうだが、商業施設のグランツリー武蔵小杉の実例では、空間のイメージアップや快適性の向上によりリピーター醸成を促すべく、エントランスに香りを導入した。さらに、ディズニーストアでは、バレンタイン時期はチョコチップの香り、というようにイベント毎に関連した香りを店内に香らせることで、商品販促に活かしているという。

CASE#02「香り×健康」

香りがもたらす重要な効果として、「健康」も挙げられる。ビジネスシーンにおいても、企業はいかに従業員にとって働きやすい環境を整え従業員満足度を向上させるかという観点は重要なゴールの一つだ。イギリスの研究結果では、香りを導入したことで従業員満足度が向上し売上増加に繋がったという例もある(複合的な理由の一つに香りが注目された)。

GINZA SIXへの導入紹介(参照:アイーダ社資料)

 

2019年に開業した商業施設のGINZA SIX(ギンザシックス)は、従業員が休憩するバックヤードオフィスにも香りを導入した最初の事例だ。『我々にとっても当時は新しい視点でした』と田中舘氏が言うように、先駆けともいえるこの取り組みは「働き方改革」の一環としても着目され、GINZA SIXを皮切りに従業員向けの企業導入が相次いだという。ダイハツ工業もその一つ。工場の熟練工たちが集う建物内では人間関係などに課題があったが、香りを導入することで、会話のきっかけとなり、環境改善に加えコミュニケーションの円滑化に繋がったという。

【編集後記】“香りの話だけ”で参加者を大いに惹きつけた90分間

日頃からYouTubeを通じて香りに関する情報発信をしているという田中舘氏のプレゼンはとても素晴らしかった。時折質問を交えながら、さまざまな文脈から繰り広げられる香りと関連する新鮮なエピソードには、会場にいる参加者とアパレルウェブスタッフ全員が惹きつけられた。後半の約20分間のQ&Aでは沢山の質問が寄せられ、「売上が上がる香りは?」「部下や社員とのコミュニケーションを円滑化させる香りは?」など、具体的な悩みに繋がっていると思わせるような質問もあり、笑いが起こる瞬間も。セミナーは大好評のもと幕を閉じた(AIL編集部・小川)。

*参加者から寄せられた質問

  • ・インバウンドに対しての新たな訴求として香りの可能性は?
  • ・日本人と海外の方の香りの好き嫌いの違いはある?
  • ・ブランディングで香りを使っている企業が香りを変えるのはどんな時か?
  • ・取引先企業が香りの使用をやめるのはどんな時か?
  • ・さまざまなコンセプトを持つ企業への香り提案のプロセスは?
  • ・社員のコミュニケーション円滑化のための香りはあるのか?
  • ・売上が上がる香りとは?

会員交流会と“香り体験ルーム”の様子

最近よく耳にする「アロマ」と「フレグランス」。前者は天然成分、後者は人口成分で構成されているという違いがあるものの、そのメリットに優劣はないという。両者にそれぞれ効果・効能があり、アイーダではクライアントの課題や環境に沿って、何百種類ものアロマ・フレグランスを提案している。本イベントでは、そのうちの人気の香り6種を、”香り体験ルーム”として用意していただいた。

異業種・同業他社のエグゼクティブが集うアパレルウェブ・イノベーション・ラボのセミナー&会員交流会では、ビジネスインプットに加え、セミナー後には講師やメンバー同士がさまざまな視点や考えを共有し、情報交換できる点がメリットだ。今回は、二日程前に花開いて見頃となった桜の木と、アイーダ社による心地よいフレグランスが香るサロン空間で、軽食を交えて“プチお花見”を楽しんでいただいた。

会員交流会の様子(編集部撮影)

天然アロマによる“香り”体験ルーム 

*2種のアロマ(エナジー・リラックス)

アパレルウェブ東京オフィスの会議室が天然アロマの“香り”体験ルームに変身
お客様との会話もはずむ空間になりそうだ

フレグランス(アイーダオリジナルの香り)による“香り”体験ルーム

*4種のフレグランス(スパユーカリプタス・エレガントソープ・ホワイトティーフュージョン・アンシャンテッドアップル)

アパレルウェブ東京オフィスの個別ブースもフレグランスの“香り”体験ルームに変身
オンラインミーティング中にこんな癒しがあったら嬉しい!

アパレルウェブ・イノベーション・ラボではリアルセミナー&会員交流会を毎月開催!

会員様は回数制限なく興味・関心いただけるテーマのイベントへご参加いただけます。次回は「サーキュラーエコノミー」テーマでイベントを開催予定。是非、皆様のご参加をお待ちしております。*イベントには定員がございます。人気テーマ回は満席となることもございますので、お早めにお申し込みください。

*次回4/23(火)開催! まだお席のご案内は可能です。お申し込みはお早めに!

サーキュラーエコノミーは3Rではない! 〜ファッション業界の「使い続け」ビジネスを考える〜【リアルセミナー&交流会】

■開催日時
2024年4月23日(火)
16:00~19:00 *開場時刻:15:30~

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  • APPARELWEB INNOVATION LAB.(アパレルウェブ・イノベーション・ラボ)

    アパレルウェブ・イノベーション・ラボ(AIL)とは、ファッション・小売関連企業の経営層に向けて“イノベーションのヒント”を届けるため、アパレルウェブが2017年10月にスタートした法人会員制サービス。小売、メーカー、商社、デベロッパー、ベンダー企業など幅広い企業会員が集うコミュニティでは、各種セミナーや交流イベントを定期開催。メールマガジン、Webメディア、会員レポート冊子などを通じて毎週オリジナルのビジネスコンテンツを発信。

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