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注目企業の2025年の明暗:TikTok(ティックトック) 北米撤退めぐる討議 米ユーザー支持拡大の一手も
ByteDance(バイトダンス)社が運営するソーシャルコマース「TikTok」の禁止法をめぐって、米国連邦最高裁は2024年12月18日、2025年1月10日に合憲性を審理すると発表しました。その間、米Bloomberg(ブルームバーグ)は、中国当局がイーロン・マスク氏への米国事業の売却を認める可能性があると報道。しかし「TikTok」は、一貫して米国事業は売却しないと述べており、この報道を「作り話」だと否定しています。
そうした状況から、米最高裁は禁止法の一時差し止めについての判断の延期を示唆しており、禁止法が施行される1月19日の直前に判断を示す可能性があるとされています。民主党議員らは議会とバイデン大統領に対し、1月19日の期限を延長するように求めているともいいます。一方で、最新動向では、トランプ次期米大統領が20日の就任後、「TikTok」禁止法の発効を60~90日間停止する大統領令を検討していると報じられています。
「TikTok」によると、米国では1億7,000万人のユーザーを擁し、2024年には1日平均51分をアプリ利用に費やしたといいます。このような展開を受け、「TikTok」は米国ユーザーの支持をさらに広げるべく、12月13日にインセンティブプログラムを実施。具体的には、既存の「TikTok」ユーザーによる新規ユーザーの紹介や、「TikTok」が定める利用時間やログイン頻度などの一定タスクをクリアすることで、最高で400ドル(約6万2,000円)に相当するポイントが獲得できるとしています。
一方、禁止法を取り巻く状況とは対照的に、昨年のブラックフライデー期間では、「TikTok」のショッピングコマース「TikTok Shop(ティックトックショップ)」(※日本では未展開)の米国における売上は1億ドル(約156億円)を突破しており、米国ですでに独自の経済圏の構築に成功。多くの利用者やサプライチェーンと相互依存の状態になっています。
米最高裁がとる「TikTok」の具体的な禁止策として最も可能性が高い方法は、Apple Store(アップルストア)などのアプリストアから特定の地域で「TikTok」アプリのをダウンロードできないように、ストア企業へ命令する形だといわれています。アプリが一般公開されなくなることで、既存ユーザーはアップデートが不可能になり、バグやハッカーの標的になるといったテクノロジー面を含めたさまざまなリスク発生が想定されています。政治的リスクを分散させるためにも、「TikTok」は欧州事業にも本腰を入れ始めているようです。
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