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中国発「Anta(アンタ)」がStockX(ストックX)で最速の成長 北米スニーカー激戦市場で抜きん出た理由

ケルビン・アウ
AILメディアパートナー
執筆者

 中国本土における「Fila(フィラ)」の販権を所有する中国大手スポーツメーカーのAnta Sports(アンタスポーツ)が、北米のスニーカーファンの間で注目を集めています。同社が展開する「Anta(アンタ)」のスニーカーラインは、2024年に、スニーカーを中心とした米国発オンラインリセールマーケットプレイス「StockX(ストックX)」で最速で成長したブランドとなり、前年比1,901%の取引増を達成しました。

 その成功要因は主に、北米の著名なNBAチーム「ダラス・マーベリックス」のポイントガードを務めるカイリー・アービング氏とのコラボレーションシューズ「Kai 1(カイ1)」の人気によるものです。不動の人気を占める同モデルは、小売価格125ドル(約2万円)で限定販売されています。また、グローバルオンラインプラットフォーム「eBay(イーベイ)」では、2024年に世界中のユーザーが平均1分間に37回以上「Anta」のブランド名を検索したという調査結果があるほどの人気ぶりです。

 

「Anta」の人気モデル「Anta Kai1」
“Artist On Court”モデルはすでにSOLD OUTしている(「Anta」公式オンラインストアより)

 

 「Anta」のスニーカーファンの間での人気上昇ぶりは、「Hoka(ホカ)」「On(オン)」「Asics(アシックス)」など他の中堅ブランドにも恩恵をもたらし、それらのブランドはここ数年で売上が急増しています。一方、長年スニーカー業界の王者として不動の人気を誇る「Nike(ナイキ)」や「Jordan(ジョーダン)」は現在、在庫と新規性の問題に直面しており、「Anta」はこの隙間を埋める形で成功を収めたともいえるでしょう。

 こうした「Anta」を筆頭とした中堅ブランドによる台頭は、フットウェア業界における大きな変革の一端でもあります。中国ブランドが北米市場のパフォーマンスシューズに注力する中、「Anta」は特にバスケットボール分野に注力し、アスリートとのパートナーシップや限定的な製品ラインアップを通じて他ブランドと差別化を図ることで業績を伸ばしています。

 2024年上半期の「Anta」の売上高は337億4000万元(約7,300億円)と報告されており、他の大手スニーカーブランドと比較するとまだ小規模にとどまっています。しかし、同ブランドでは2007年以降、継続的にNBAの選手たちとさまざまなコラボレーションを行い、海外での知名度向上と「Nike」や「Jordan」といった大手ブランドからのシェア奪取を目指しています。


参照:
https://anta.com/collections/anta-kai-collection#ANTA-KAI-1
https://www.modernretail.co/operations/how-chinese-brand-anta-became-the-fastest-growing-sneaker-on-stockx/