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「TikTok Shop(ティックトックショップ)」いよいよ日本上陸へ “エンターテインメント型EC”による新たな購買体験

ケルビン・アウ|AILメディアパートナー
AIL編集部により一部編集
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 複数のメディアの報道によれば、「TikTok Shop(ティックトックショップ)」は2025年6月にも日本市場でのサービス提供を開始する見通しです。同サービスはすでに欧米や東南アジアで事業を展開し急成長を遂げており、日本でもファッション、コスメ、日用品などを対象に、ショート動画やライブ配信を通じた販売モデルを導入する計画です。


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#TikTok

「TikTok Shop」セラー向け公式サイト

 

 「TikTok Shop」の最大の特徴は、ショート動画やライブ配信で商品を紹介し、その場で購入まで完結できる「エンターテインメント型EC」にあります。これは、従来主流の「検索型EC」と異なり、ユーザーが能動的に商品を探すのではなく、視聴中の動画の中で自然に商品との出会いが生まれるという設計です。これにより、インフルエンサーやクリエイターが視聴者とリアルタイムで交流しながら購買意欲を高める新たな購買体験が実現します。こうした購買体験は、Z世代を中心に高い支持を集めています。

日本での展開計画と市場背景

 日本市場では、間もなく企業および個人セラーの募集が開始される見込みで、販売者は動画やライブ配信を通じて商品を紹介し、売上に応じたコミッションを得ることが可能になります。

 「TikTok」を運営する中国のByteDance(バイトダンス)は、米国での規制リスクや事業継続の不透明感を受け、グローバル市場における事業多角化を加速しています。中でも日本市場は、「TikTok」の月間アクティブユーザー数が3,300万人超(2024年末時点)に達する世界有数の消費市場であり、特に18〜34歳のZ・ミレニアル世代ユーザーに強い浸透力を持っています。

 また、国内のEC市場規模は2025年に150兆円規模へと拡大が見込まれており、Z世代の消費額も2030年には20兆円に達すると予測されています。「TikTok」はこうした背景を受け、日本市場をグローバル戦略における重要拠点と位置づけています。

「TikTok Shop」アプリのライブ配信や購入画面イメージ(「TikTok Shop」公式グローバルサイトより)

競合との戦略的差別化

 日本のEC市場では、「楽天」「メルカリ」「Amazon Japna(アマゾンジャパン)」などの大手がすでに強固な地位を築いていますが、「TikTok」は「動画×ライブコマース」という独自の強みを武器に、美容やファッションといったSNS映えしやすいカテゴリーでのシェア拡大を目指しています。

 今後は、以下のような施策が段階的に実施される見通しです。

  • ・インフルエンサーとの連携強化

  • ・API連携による在庫・物流の最適化

  • ・販売者向けの教育・支援プログラムの整備

 

「TikTok」は「日本の消費者に新しい購買体験を提供し、国内EC市場に革新をもたらす」と述べており、6月以降の本格展開が注目されます。特に、視聴体験と購買行動を融合させる「TikTok」の独自モデルが、日本のユーザーの購買スタイルにどのように影響していくのか、今後の消費動向に注目が集まります。


*バナー画像は生成AIにより作成
参照:
https://www.reuters.com/world/china/tiktok-enter-japan-e-commerce-nikkei-reports-2025-04-26/
https://www.techinasia.com/news/tiktok-plans-to-enter-japans-ecommerce-market