Report
ニューヨークで開催された「THE LEAD INNOVATION SUMMIT」から見えたZ世代のリアルと学び【Coffee Talk from NYC Vol.9】
Category: Exhibition, GenZ
ニューヨーク現地より、小売×テック関連の旬なトピック・体験レポートをお届け。アメリカのコーヒーブレイク中に行われるカジュアルミーティング、”Coffee Talk”にちなんで、気軽にインプットいただけるレポートを定期配信していく。
Vol.9では、「THE LEAD INNOVATION SUMMIT(ザ・リード・イノベーション サミット)」についてご紹介。本イベントは、ファッションやビューティー、ホームなどを展開するブランドやITソリューション企業が集い、現在、そして未来のビジネスやイノベーションについて学び、交流する2日間にわたるイベントだ。
「THE LEAD INNOVATION SUMMIT 2023」(筆者撮影)
7月に米国ニューヨーク・マンハッタンで開催されたこのサミットでは、スタートアップや大手企業の創設者やリーダーがスピーカーとして登壇したほか、変わりゆく市場の中で改革していくことにパッションを感じる2,000名以上の参加者が訪れた。
今年はマンハッタンのローワーイーストサイドにある「Pier36(ピア36)」が会場となった。この場所は以前に本稿でも紹介したライフスタイル関連の展示会「SHOPPE OBJECT((ショップオブジェクト)」と同じロケーションだ。
関連トピック:
出展規模・来場者ともに拡大! 活気溢れる米国のホーム&ギフトショー「SHOPPE OBJECT」【Coffee Talk from NYC Vol.4】
会場を訪れると「Commerce(コマース)」「Marketing(マーケティング)」「Last Mile(サプライチェーン・ロジスティクス)」「Store(店舗)」「Customer Experience(顧客体験)」といったソリューションごとに出展ブースが設置され、通路にはフリーサービスのコーヒー&スナックステーションや、バリスタが常駐するコーヒーバーが用意されていた。朝の9時から開始されたセッションは3か所のステージで行われ、参加者は興味あるテーマのセッションを自由に行き来するスタイルが取られていた。
今回は過去にAILでも紹介したブランドや、日本でも認知度が高いブランドのセッションをピックアップし、 それらのブランドがミレニアル世代やZ世代の特徴をどのように受け止め、商品、サービスを展開しているのかをお伝えしていく。
イベントのようす(THE LEAD INNOVATION SUMMIT 2023 YouTube公式チャンネルより)
まずはじめに、Z世代のいくつかの特徴についてまとめておく。
■Z世代の特徴について
- ☑ 1996年~2010年頃に生まれ、現在13歳~27歳あたりの世代
- ☑ 幼少期からテクノロジーが身近にあり、テクノロジーの進化とともに成長し、常にソーシャルメディアと繋がっている
- ☑ 購買パワーを持ち、全ての業態において影響力を持つ
- ☑ デジタルライフを中心に、新たなエクスペリエンスを求めている。一方で、コンテンツや商品をクリエイトするブランドに対して「リアル・本物」の大切さを理解していることを求めるという、他の世代とは異なるキャラクター性を持つ。これらはトレンドではなく、彼らの生き方である
セッション1:「CONNECTING WITH GEN Z CONSUMER(Z世代消費者との繋がり)」
登壇ブランド:「PARADE(パレード)」「Papier(パピエ)」「Nuuly(ヌーリー)」
ここでは、以下の3ブランドが登壇し「Z世代とエンゲージする上で何を理解すべきなのか」というテーマでセッションが行われた。
- ☑ 「Parade(パレード)」 : サステナビリティとインクルーシブを軸とした下着ブランド。
- ☑ 「Papier(パピエ)」 : モダンなステーショナリーブランド。
- ☑ 「Nuuly(ヌーリー)」 : 「Urban Outfitters Group(アーバンアウトフィッターズグループ)」傘下のブランドの衣類がレンタルできるサブスクブランド・サービス。
ステージで行われたセッションのようす(筆者撮影)
―「Z世代というキャラクターはどのような存在なのか?」
「Parade」
Chief Design Officer(チーフ・デザイン・オフィサー):
“Z世代というのは「Why?(なぜ)」ということに執着心を持っていると感じる。信ぴょう性や透明性の大切さ、解明したいという気持ちを持っていることから、疑わしいことをすぐに嗅ぎつけることができる世代だ”
「Papie」
CMO (Chief Marketing Officer、最高マーケティング責任者):
“トレンドや信ぴょう性を重要視することのほかに、「自分のために」ということも重要。すなわちパーソナライゼーションだ。自分のこと、自分のユニークなアイデンティティを理解してくれることは、この世代にとって非常に重要だと思っている。また自分自身のバリューとマッチするのかということも大切だろう”
「Nuuly」
Executive Director of Marketing & Customer Success(マーケティング&カスタマーサクセス エグゼクティブディレクター):
“キーとなる特徴として、(Z世代は)SNSからの情報をもとに、ファッションを通じて常に改革を続けている。具体的にいえば「TikTok(ティックトック)」だ。彼らはプラットフォーム上でさまざまなトレンドを体験し、他の世代とは異なる急速なスピードでそのトレンドに乗っていく。「Nuuly」では幅広い商品を取り揃えることで、彼らが(毎月サービスを利用することを)希望し、改革し続けることができる。Z世代にとって我々はそういった面でバリューがある存在だと感じている“
「Nuuly rent(ヌーリー レント)」サブスクリプション専用サイト(公式サイトより)
すでに「AIL会員」アカウントをお持ちの方は「メルマガ会員」登録は不要です。
「AIL会員」ログイン後、記事全文を閲覧いただけます。
執筆者
-
RINA Yoshikoshi
NYC在住ブランド、テクノロジー系ライター / コンサルタント
NYを拠点にブランド、リテール、ウェルネス、D2CのCPGブランドの現地市場を調査。店舗で導入される最新テクノロジーや米国での先進事例なども研究。執筆活動、リソースを元にしたマーケティング&ビジネスコンサルティングやアドバイザリーも行う。
関心: #テクノロジー #NFT #WEB3 #ウェルネス #未来の街作り