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リテールメディア最新動向:音声広告で売上20%アップ 米WalmartやKrogerが注力開始【編集部厳選:週間ホットトピック】

ケルビン・アウ
AILメディアパートナー
執筆者

小売、EC、マーケティング、テック、Web3カテゴリーを中心に、今週注目を浴びた国内外の最旬情報をお届け。

カテゴリー:リテールメディア、デジタルマーケティング


 国内ではセブン-イレブンをはじめ、大手家電量販店や大手ドラッグストアチェーンで取り組みが進んでいる「リテールメディア」。「リテールメディア」とは、小売企業などが、自社のチャネルを通じて得られる顧客データや販売データなどの顧客情報をもとに広告を配信する手法のことです。


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 リテールメディアの仕組みには大きく2つあります。

 1つは小売業者が自社で保有している顧客の購買データなどを活用し、自社のWebサイト、ECアプリ、または店舗のデジタルサイネージなどに、自社の販促コンテンツを配信することで、売上改善を図る仕組みです。もう1つは、自社メディア(前述したアプリ、店舗など)で他社の製品やサービスに関する広告を配信することで、広告収益を得る仕組みです。

 現在日本では、後者の他社向け広告サービスとしての活用例が大半で、店舗内のデジタルサイネージでの広告配信が一般的となっています。

 

「Walmart」が提供するリテールメディアサービス「Walmart Connect」(公式サイトより)

 

 米国でB2B向けにリテールメディアサービスを提供している「Walmart Connect(ウォルマート コネクト)」は、店舗内で音声による広告配信のテストを開始したことを発表しました。もともと「Walmart」には「Walmart Radio(ウォルマート ラジオ)」という、店舗内で放送するオリジナルラジオ番組があります。番組内では、最新商品やサービスの案内だけではなく、暮らしの知恵や地域コミュニティに関する情報を配信していて、情報番組としても定評があります。

 

「Walmart Radio」の放送のようす

 

 「Walmart Radio」の番組枠内で音声広告の取り扱いを始めた理由としては、各地域のローカル事情、ライフスタイル情報、出店ブランドの特徴などの要素を考慮し、より地域密着型の情報発信ができるためとのことです。

 顧客の購買体験を考えると、音声広告は店舗内の放送とほぼ変わりなく、顧客は買い物中に”聞きながら”情報を得ることができます。また、運営側にとっては、デジタルサイネージ等を用意することなく、既存のアナウンスシステムを通じて情報発信できるため、初期費用を大幅に抑えられるメリットがあります。この音声広告は、「Walmart」のほか「Target(ターゲット)」、「Kroger(クローガー)」などの総合小売企業も注力を開始しています。

 

Vibenomics社が提供するリテールメディアの仕組み

 

 「Kroger」に音声広告の技術を提供しているVibenomics社によると、同サービスの導入で、平均15%~20%の売上改善が見られたとのことです。初期費用や費用対効果などにメリットがある側面から、音声広告の活用は今後さらに拡大する余地があるでしょう。


参照:
https://www.walmartconnect.com/taking-omnichannel-capabilities-even-further-with-our-stores