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2028年までに54兆円規模に上る世界アパレル中古市場 スレッドアップリセールレポート2024速報【ThredUP Resale Report 2024】

AIL編集部・RINA Yoshikoshi(AILメディアパートナー)
執筆者
ThredUP Resale Report 2024

 

 4月は「EARTH MONTH(アースマンス、地球月間)」。特に地球に配慮した取り組みにフォーカスされる月間です。2024年3月27日、米国発の二次流通B2Bプラットフォーマー(RaaS)の「ThredUP(スレッドアップ)」とGlobalData(グローバルデータ)社は、12回目となるリセールレポートを発表しました。レポート発表に伴い、初となる30分間の要点解説ウェビナーを開催。グローバルで急成長を続ける中古アパレル(注1)市場の、近い将来の有望な兆候やポイントを「ThredUP Resale Report 2024」よりピックアップして紹介していきます。

 また、本記事の後半では、「ThredUP」が注目するブランドランキングを売上規模と人気度別に紹介。ニューヨーク在住メディアパートナーのRINA Yoshikoshi氏によるブランド解説もお届け。是非、チェックしてみてください。


(注1)「ThredUP」レポート内の「アパレル」とは、テキスタイルを元に⽣産される⾐類、バッグや帽⼦などのファッション装飾⼩物を指す。靴は含まれない

 

 同レポートでは、「ThredUP」CEOのジェームズ氏のコメントからはじまり、以下の大きく5つのテーマに沿って展開されています。その中から、主に「世界と米国の市場規模」「売買動向」「ブランド再販」についてレポートを引用し紹介していきます。

  • ・世界と米国の市場規模
  • ・売買動向
  • 節約家のライフサイクル
  • ・ブランド再販
  • 政府の役割

 

 “世界の中古アパレル市場は急成長を続けており、これは買い物客が中古品の経験に本質的な価値を見出している証拠であり、より循環的なファッションエコシステムへの劇的な変化の証拠である。(一部略)ファッションが世界経済の最も有害な分野の一つでなくなるまで、私たちはファッション分野における採用と行動の変化を促進するために政府を支援するよう主張し続ける”

-「ThredUP」CEO、James Reinhart(ジェームズ・レインハート)氏(「ThredUP Resale Report 2024」より引用)

アジア市場ではすでに二次流通プラットフォームが成熟 米国ではオンライン再販が急成長

 同レポートによると、2023年に世界中古アパレル市場は前年比18%伸長し、1,970億ドル(約30兆円)に到達しました。そのうちの約4割をアジア市場が占めています(図1参照)。そして、5年後の2028年に世界中古市場は3,500億ドル(約54.1兆円)に到達すると予想されており、その成長はアパレル市場全体の3倍速という目覚ましいスピードです。

 一方、北⽶はそれに⽐べるとまだ市場規模は⼩さいですが着実に成⻑しています。2023年度に米国の中古アパレル市場は11%もの成長をみせ、430億ドル(約6.6兆円)に到達。そのスピードは世界の小売市場の7倍速に値するといいます。そして米国における年平均11%の成長は2028年まで続き、2028年には市場規模が730億ドル(約11.3兆円)に達すると予想されています(図2参照)。

 また、米国の二次流通市場の成長を牽引しているのはオンラインによる再販です。米国におけるオンライン再販は2023年度には前年比23%成長、2025年までに中古品による支出全体の半数を占めると言われ、2028 年には400億ドル(約6兆円)に達すると予測されています。

 グローバルにおいても、オンライン再販の利用は高まっています。同レポートによると2023 年に中古アパレルを購入した消費者の63%がオンラインで購入しており、これは2022年から17%増加しています。さらに、MZ世代(ミレニアル・Z世代)間では71%と、オンライン再販利用の割合は高くなっています。

(図1)世界の中古アパレル市場は2028年までに3,500億ドル(約54.1兆円)に達し、
世界のアパレル市場全体の3倍速で成長する(ThredUP Resale Report 2024」より引用)

 

(図2)米国の中古アパレル市場は、2028年には市場規模が730億ドル(約11.3兆円)に達すると予想されている
ThredUP Resale Report 2024」より引用)

統計からみる昨今の消費者の価値観とは

 同レポート調査ではまた、おおよそ4人に3人がアパレル購買の際にはその「価値」を最も重視すると答えています。一方で、55%の消費者が、経済状況が好転しない限りはアパレル購買の予算の大半を中古品に充てるだろうと答えており、近年ますます浸透する節約志向がうかがえます。

 「昨年は全消費者の半数以上が中古アパレル品を購入しており、再販が今やファッション業界にしっかりと組み込まれているのは明らかだ」とGlobalData社のマネージングディレクターであるNeil Saunders(ニール・サンダース)氏は語っています。実際、過去12か月間において、平均して消費者はアパレル購買の予算の約半数を中古アパレル品に注ぎ込んでおり、また、5着のうち2着は中古品だという統計も出ています。

 過去10年間の傾向として⾒られるのは、⼀度中古品を購⼊した顧客は、新品に後戻りする傾向が⾒られないということ。それにより、「ThredUP」創設者であるジェームズ氏は、「中古品メリットの味を占めた彼らは、今後5~10年間においても、その傾向にさらに拍車をかけるだろう」と語っています。すなわち、消費者が以前の買い物習慣に戻り、中古品を利⽤しなくなるということはほとんど無いと⾒解できるでしょう。

どれだけ知っていますか?注目ブランド5選【売上規模/人気急上昇】

ThredUP Resale Report 2024」より引用

リセールの数量・売値ベースの好調ランキング

1位 Lululemon Athletica(ルルレモンアスレティカ)

2位 Patagonia(パタゴニア)

3位 Vuori(ヴォリ) 

4位 Reformation(リフォーメーション)

5位 Free People(フリーピープル)

 その他、6位に「ZARA(ザラ)」がランクイン。上位20位内には新たに、「SKIMS(スキムズ)」「Dr.Martens(ドクターマーチン)」「Converse(コンバース)」など8ブランドがランクイン。ラグジュアリーは17位にランクインの「Tory Burch(トリーバーチ)」。

 

カナダ・バンクーバー発の「Aritzia(アリツィア)」(公式オンラインサイトより)

リセール人気急上昇ブランドランキング

1位 Aritzia(アリツィア)

2位 SPANX(スパンクス)

3位 Outdoor Voices(アウトドアボイシズ)

4位 Rag & Bone(ラグ&ボーン)

5位 Liverpool Los Angele(リバプールロスアンジェル)


(注)「ThredUP Resale Report 2024」より引用。「これらのランキングは「ThredUp」マーケットプレイス内の 55,000 以上のブランドをThredUP社が評価し、2023年1月1日~ 2023年12月31日のマーケットプレイスでの販売アイテムの売れ行きと販売量に基づく集計スコアを使用して、再販に最適なブランドをランク​​付けしたもの

ニューヨーク在住メディアパートナーから見るブランドランキング|RINA Yoshikoshi氏

 「ThredUP」リセールレポートで毎回紹介される人気ブランドランキングで、常に上位ランクインする「Lululemon (ルルレモン)」。プレミアムアクティブウェアという言葉だけでなく、実際に長持ちするウェアであることが、一次流通でも二次流通であってもニーズが高い理由だと思います。また、3位にランクインする「Vuori(ヴオリ)」は、2015年に米国・カリフォルニアを拠点に誕生したアクティブウェアブランド。最初は直販中心のビジネスでスタートし、その後、米大手百貨店の「Nordstrom(ノードストローム)」と提携しホールセール展開を開始。現在はアウトドアブランドの「REI(アールイーアイ)」でも販売されています。

「Vuori」の店頭(AILメディアパートナー撮影)
 

 小売業関係者の間で「Vuori」は、今年上場の噂が囁かれるブランドとして「SKIMS(スキムズ)」と共に話題となっています。筆者は「Vuori」のセカンドハンドは試したことがありませんが、機会があれば購入したいと思っている1人です。マンハッタンに現在2つの路面店があり、筆者は個人的にはアッパーイーストサイド店に行くことが多いです。店舗を訪れると、必ず他にも買い物客が数名いて、そのほとんどが商品をいくつも手にしている光景を目にし、買い物することを前提に来店しているということがよく分かります。顧客層は地域的にも“裕福な大人層”が多いと感じますが、男性客を見かけることが多く、リピーターも多いのだと想像します。

 ちなみに「ThredUP」の専用アプリでサイズを指定せず「Vuori」と検索すると16品しか表示されませんでした(4/15現在)。その理由が同ブランド商品が出品されてもすぐに売れてしまうということであれば、「Vuori」は「Lululemon」のように、二次流通のマーケットプレイス上で自由に行われる売買だけでなく、ブランドがコントロールすることで、顧客エンゲージメントやLTVを高めることが可能な「ブランドリセール」を始めるべきだと筆者は思っています。

 二次流通と一言でいっても色々な形のビジネスがあります。例えば、「メルカリ」「eBay(イーベイ)」「ThredUP」のような巨大マーケットプレイスがあるから十分というわけでもありません。一度ブランドの手から離れた商品は、マーケットプレイスや古着屋、フリーマーケットなどさまざまな形で再販されています。ブランドの二次流通サービスを利用しストアクレジットを得た顧客は大概、その2~3倍の新作商品を購入すると言われています(50ドルのクレジットならば100ドルから150ドル前後の商品を購入)。すなわち、LTVの向上に繋がるというわけです。

 ブランドは消費者をコントロールすることは出来ません。しかし、選択肢を提示することでブランドに対してロイヤリティを高めてもらうことは出来るのです。

新規顧客の入り口として二次流通が有効なチャネルに

 企業規模に関係なく、自社の顧客が二次流通市場へ興味・関心をいただいていることを肌で感じている小売企業の幹部層は年々増加しているといいます。特に幹部層による自社の顧客の中古利用への理解度は、2023年には90%と前年から4ポイント伸びています。一方で、消費者の38% は、高級ブランド品を購入するために中古品を購入していると回答しており、これは2022年から11ポイント伸長。さらに注目したい点は、23%の消費者が新品購入前に中古品を購入して試すことを好むと答えている点です。

 このように、二次流通はブランドに関心を持つ消費者にとって予算の問題解決も含めた入り口となっていることがうかがえます。すなわち、新規顧客獲得に向けたチャネルの一つとして、二次流通は今後も効果的に機能していくといえるでしょう。


参照:
https://www.thredup.com/resale
https://www.spokesman.com/stories/2024/mar/27/secondhand-clothing-sales-sizzle-with-inflation-fa/
 

執筆者

  • RINA Yoshikoshi

    NYC在住ブランド、テクノロジー系ライター / コンサルタント

    NYを拠点にブランド、リテール、ウェルネス、D2CのCPGブランドの現地市場を調査。店舗で導入される最新テクノロジーや米国での先進事例なども研究。執筆活動、リソースを元にしたマーケティング&ビジネスコンサルティングやアドバイザリーも行う。
    関心: #テクノロジー #NFT #WEB3  #ウェルネス #未来の街作り

  • APPARELWEB INNOVATION LAB.|アパレルウェブ・イノベーション・ラボ

    アパレルウェブ・イノベーション・ラボ(AIL)とは、ファッション・小売関連企業の経営層に向けて“イノベーションのヒント”を届けるため、アパレルウェブが2017年10月にスタートした法人会員制サービス。小売、メーカー、商社、デベロッパー、ベンダー企業など幅広い企業会員が集うコミュニティでは、各種セミナーや交流イベントを定期開催。メールマガジン、Webメディア、会員レポート冊子などを通じて毎週オリジナルのビジネスコンテンツを発信。

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