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プロポーズは「そろそろ、団地買わない?」 シンガポールの驚きの結婚事情~政府による充実したブライダルサービス企業支援~【シンガポールリアルトレンドレポート】
Credit:Priscilla Du Preez@Unsplash
晩婚化が進んでいる先進国は少なくありません。シンガポールもその中の1つです。シンガポールでは1980年代から、女性の社会進出に伴い、大学院生の女性の独身率が増加していることが人口調査によって判明しています。1984年に大学院生の独身者の社会的交流と結婚を促進することを目的に、シンガポール政府は「社会開発ユニット(SDU)」を設立しました。以来、ディナーや外出など、最近では政府主催のマッチングイベントを通じて、大学院生の独身女性を含め国民に出会いと交流の機会を提供しています。
シンガポールでは、結婚するに当たって、年収などの経済条件に大きく左右されます。特に、条件の良い物件を持つことが非常に重要視されており、シンガポールでの一般的なプロポーズの言葉は「ねぇ、そろそろ団地買わない?」というもの。国民の9割が住むHDB(公団住宅)の申し込みには、結婚を促進するインセンティブが盛り込まれています。ロマンチックでなく、経済的条件と直結する「現実」がそこにはあります。こういった背景から、シンガポール政府は、マッチングイベントや住宅支援プログラムといった支援政策を打ち出し、国を挙げて結婚を後押ししています。
SDUの公式サイトで掲載されているマッチングイベントの紹介
日本人女性とシンガポール人男性をつなぐマッチング会社
昨今、インターネットを中心にしたコミュニケーションが進化する中、近年では本国だけではなく、国際結婚、国際カップルに着目した専門のマッチングサービスも相次いで登場しています。
筆者の肌感覚では、日本人女性はシンガポール人男性に大変人気が高いといえます。周囲のシンガポール人男性たちに聞いたところ、日本人女性に関する印象は「洗練されている」「(ローカル女性が割と性格が強い中で)優しい」「身だしなみに気を遣う」など、もともと日本に対して持っている好印象と相まった理由が挙がってきました。
2019年にオープンした、シンガポール人男性と日本人女性をつなぐ日系のマッチングサービス会社「Destini IS(デスティニー)」もあります(現在はウェブサイトが閉鎖しており、ビジネス継続中か不明)。「Destini IS」のビジネスモデルは、国際的なマッチングサイトの「すべての応募者を受け入れ、手っ取り早く儲けることを目的としているもの」とは対照的に、3つの明確な「ステージ」で構成されています。
デートの前に、まず無料カウンセリングに参加し、「Destini」の各種サービス、料金、契約について徹底的に説明を受けます。内容に同意し、プログラムに参加することを決めたら、事実確認が行われる関連書類と原本を提出する必要があります。「収入証明書(男性の場合、年収が6万シンガポールドル以下の場合は却下されます)」「学歴証明書」「シンガポール国籍証明書」など。
日本的なきめ細やかさがサービスに生かされているので、この会社がオープンした時には、ローカルメディアでも大々的に取り上げられました。「日本人女性と出会いたいが機会がない」というローカル男性と「海外就職でキャリアを追求してきた結果、独身で出会いがないが、女性に優しいシンガポール人男性と結婚して、シンガポールに永住したい!」という日本人女性をつなぐサービスは、まだまだ需要があるのではないでしょうか。
政府による企業支援が充実
Credit:Priscilla Du Preez@Unsplash
最後に、冒頭に紹介した政府機関SDUのウェブサイトに記載されている、シンガポールで登記がある会社がマッチングサービスを企画する際の助成金についてご紹介します。
ウェブサイトより要約:
「パートナーシップ・ファンド by SDN」は、シングルが集う機会を創出するために、あなたが情熱を注いでいるアイデアや取り組みを支援します。
誰が応募できるのか?
非営利団体、公的機関、非政府組織、一般市民または組織、専門家団体、シンガポール会計企業規制庁(ACRA)に登録された企業など、シンガポールで登録されたすべての組織が応募できます。申請には、登録されていることを証明する書類が必要です。
どのようなアイデアに資金が提供されるのでしょうか?
SDNでは、以下のような成果を満たすプロジェクトを募集しています:
・異性との新しい出会いを促進する環境づくり
・交際を促すアシストをする
・独身者を引き込むアウトリーチ・プラットフォームとして機能する
応募は、以下のガイドラインの少なくとも1つに合致する提案において検討されます:
・独身者の交流を促進する革新的で興味深いプログラム/イベント
・人間関係の構築やソーシャルスキルを伝授する効果的なワークショップ
どのくらいの資金が必要ですか?
SDNは、期待される成果を達成するための提案の強度と創造性に応じて、最大80%の共同出資を行うことができます。
資金提供の上限
10~100名の参加者の場合、1人あたり50シンガポールドル、合計5,000シンガポールドルを上限とする。参加者が100名を超える場合、資金提供の上限は100シンガポールドル/税とし、合計で最大20,000シンガポールドルまでとする
こうした政府の補助も出るので、日本らしい「おもてなし」の心で、かゆいところに手が届くサービスを提供すべく「マッチメイキング・サービス会社」を立ち上げるアイディアはいかがでしょうか。マッチング・アプリと提携し、日本人との出会いに特化したアプリを作って、日本人女性とのデートの仕方をコーチングするサービスや日本語レッスン、また結婚式前撮り写真まで提供するワンストップサービスも、人気が出るかもしれません!
参照メディア:
https://www.sdn.sg/Pages/Home.aspx
https://www.sdn.sg/SDNServices/Documents/SDN%20Partnership%20Funding%20Guidelines.pdf
https://attractions.changirecommends.com/ticket/city/Spark%20Connections%20Singapore/162/1
執筆者
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シンガポール在住AILメディアパートナー