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2024年秋 秋物不振 スウェットは売れ筋が多く誕生【スタイルクリップ|フラッシュレポート】

山中 健|Takeru Yamanaka
株式会社アパレルウェブ コンサルティングファーム主席研究員、apparel-web.com編集長
執筆者

 株式会社アパレルウェブが月別にEC売れ筋情報をお届けする「スタイルクリップ」フラッシュレポート。2024年11月のレポートでは、9月30日〜10月27日のEC売上データから、どのようなアイテムが売れ筋となったのかをレポートします。

 

2024年10月 売れ筋アイテム
左から、ダンボールニットフーディー、リボンスウェット、ハーフジップポロスウェット

 

 対象ブランド(駅ビル&SCグレード カジュアル&コンテンポラリーブランド)のアイテムキーワードのランキングを見てみましょう。今年の10月は中旬まで夏日が多く、アウターなど秋物アイテムの販売が不振となりました。その中で首位となったのが、「スウェット」です。昼間はうだるような暑さでも、朝晩の気温は下がるといった、一日の寒暖差が大きくなる時期に、体温の調整機能アイテムとして支持されました。一方、「ニット」は昨年より大きく減少。秋の衣替えニーズが進まない月となったようです。

■アイテムキーワード出現率ベスト10

※出現率=売上データでのキーワードの出現数/全体の売上点数

定番アレンジの単品ものが人気

 単品ものの売上が中心となった本期間。どのようなアイテムが売れたのでしょうか。

 暦通りにシーズン移行が進まなかったことや、オーセンティックやシンプリシティがトレンドであることから、「トップス」では、定番デザインをアレンジしたアイテムが売れ筋となりました。

 一方、「ボトムス」では、「ワイドパンツ」「テーバードパンツ」「フレアスカート」など、シルエットに新鮮味を与えるアイテムが伸びています。また、きれい目ルックに仕上げる「スラックス」も好調。セットアップ用途だけでなく、カジュアル用途で「スラックス」を取り入れることが増えているのでしょう。これらのことから、「ボトムス」全体は伸びていませんが、ルックのキーアイテムとなるものは支持を集めているようです。

■トップス出現率ランキング

※出現率=売上データでのキーワードの出現数/全体の売上点数

■ボトムス出現率ランキング

※出現率=売上データでのキーワードの出現数/全体の売上点数

ダンボールニットフーディー

リラックス要素と立体的なフォルムのダンボールニットフーディー

 

 軽い着心地、肌触りの良さというリラックス要素と立体的なフォルムというファッション性から、ダンボールニットのアイテムが人気です。特にフードの形がきれいにでる「フーディー」は、街着に格上げできるアイテムです。女性らしいプリーツスカートと合わせることで、エレガントとスポーティーさを兼ね備えたルックに仕上げることもでき、大人女性に支持されています。

リボンディテールのスウェットトップス

「トレーナー」の袖にサイドラインのようにリボンをあしらったスウェットトップス

 

 「バレエコア」のトレンドから生まれた「リボンディテール」。エレガントやフェミニンなアイテムだけなく、カジュアルなアイテムにも広がりを見せています。「トレーナー」の袖にサイドラインのようにリボンをあしらったアイテムは、そのインパクトで売れ筋に。「ワイドデニム」などと合わせてストリートに映えるルックや、「フレアスカート」と合わせて甘さを強めたルックにも使用できるアイテムです。

ハーフジップポロスウェット

秋も人気のハーフジップポロスウェット

 

 ウィメンズで先行した「グランパコア」。レトロダンディなルックやアイテムを指すものですが、今シーズンはメンズの大きなテーマとなっています。トラッドや古着マーケットだけでなく、ユースなモードにもその影響が見られます。「ハーフジップ」や「スキッパー」、「ポロシャツ」など、夏シーズンでこれらの売れ筋が生まれましたが、秋になり、スウェットでも人気となっています。「ワイドパンツ」などに合わせて、オーバーフィットに着こなすのがトレンドのようです。

執筆者

  • 山中 健|Takeru Yamanaka

    株式会社アパレルウェブ コンサルティングファーム主席研究員、apparel-web.com編集長

    大手百貨店、外資系ブランドメーカー、大手経営コンサルタント会社を経て、コンサルタントとして独立。アパレル業界を中心に、雑貨などのライフスタイル、百貨店、SCなど、幅広い業態に対しマーケティングやMD、リテール、海外進出のコンサルティングを手掛ける。トレンド分析、市場調査、戦略策定などのマクロなテーマから、個店支援、研修などの現場へのブレイクダウンまで様々なテーマのコンサルティングに対応可能。また、欧米、アジア、国内のコレクション取材やファッションマーケット調査を数多く行っており、国内外のファッションビジネスの動向を語ることができる貴重な存在として注目されている。2009年にアパレルウェブコンサルティングファーム主席研究員、2011年にapparel-web.com編集長就任。