世界最大のマーケットプレイスである米Amazon(アマゾン)は、英国で2025年1月に施行された、「デジタル市場、競争及び消費者法(Digital Markets,Competition and Consumers Act、以下DMCCA)」に基づき、不正レビュー対策を強化することで、英競争・市場庁(Competition and Markets Authority、CMA) と合意しました。
英競争・市場庁はかねてより、 Amazonに対し、“不正レビューから消費者を十分に保護できていない可能性がある”として調査を行ってきました。一連の調査の結果を受け、 Amazonは「カタログ乱用(catalogue abuse)」 に対処することを明言。「カタログ乱用」とは、評価の高い商品のレビューを別の商品へ転用し、評価を人為的に操作する不正行為のことを指します。
Amazonベストセラーのページでは、
人気商品がレビュー数と共に掲載されている
(Amazon公式サイトより)
2025年1月に施行されたDMCCAでは、不正レビューの投稿を明確に禁止しています。Amazonでは、既存の不正検出システムのアップグレードと、不正レビュー投稿者やレビューを悪用して高評価となるように操作した出品業者に対し、厳格な措置を取る方針を発表しています。
英競争・市場庁は、「多くの消費者がレビューを信頼して購入の決め手としている。Amazonの対応は、消費者が安心して商品を選択できる環境を整える重要な一歩」と述べています。同庁では今後、Amazon以外のレビューサイトや出品業者についても、DMCCAに基づき、不正レビューへの対応を行う予定です。
米Amazon(アマゾン)
超低価格帯商品に特化した「Haul(ホール)」をドイツでも展開
米Amazonは、米国や英国に続き、超低価格帯の商品に特化したサービス「Haul(ホール)」を、ドイツで開始しました。ドイツ版の「Haul」では、ファッションや家庭用品、ライフスタイル商品が10ユーロ(約1,700円) 以下、高くても20 ユーロ(約3,300円)以下で購入が可能です。
「Haul」では、多くの商品が10ユーロ以下で販売されている
(「Haul」ドイツ版公式サイトより)
「Haul」は米国では2023年11月から、英国では2025年5月からサービスを開始しています。ドイツにおける「Haul」展開は、同国でもシェアを拡大させている「Temu(テームー)」 などの中国発格安ECモールへ対抗する狙いがあります。格安ECモールへの対抗策として、「Haul」では、25ユーロ(約4,000円)以上の注文で送料無料、50ユーロ(約8,500円)以上の購入で5%の割引、75ユーロ(約12,000円)以上の購入で10%の割引など、購入金額に応じて特典を付与。さらに、購入後は15日以内であれば返品無料となります。
また、「Haul」で販売されている商品は、すべてAmazonによる直接販売で、中国にある物流センターから発送されます。さらに、すべての商品に対し、必要な安全性や規制といったコンプライアンスチェックを実施しており、品質が保証されているといいます。今回のドイツでのサービス展開は、競争が激化するドイツ市場での地位を維持・強化するための戦略的な一手といえるでしょう。
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