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顧客体験をアップグレード 「Ralph Lauren(ラルフローレン)」と「NIKE(ナイキ)」 デジタルを活用した新サービスの提供を開始

米国を代表するライフスタイルブランド 「Ralph Lauren(ラルフローレン)」 は、世界最大級のテクノロジー企業であるMicrosoft(マイクロソフト)社と提携し、AIを活用したデジタルスタイリングツール「Ask Ralph(アスク・ラルフ)」をローンチしました。主な機能としては、ユーザからの質問に対し、AIが全身のコーディネートやスタイリングの提案、さらにギフトアイデアの提示をするというものです。
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「Ask Ralph」では、様々なシーンに適したコーディネートの提案やギフト選びのアドバイスなどを受けることができる
提示されたコーディネートはアプリ内で購入が可能(Ralph Lauren公式Instagramより)
従来のキーワード検索では、「ネイビーブルー ブレザー」など、アイテム単体の検索が中心でしたが、「Ask Ralph」では会話形式での質問が可能となります。たとえば、「金曜日に行われるコンサートに適した服は?」や、「ネイビーブルーのブレザーをどのように着こなせばいいか?」といったように、具体的なシーンやニーズを伝えることで、AIが適切なスタイリングの提案を行います。
このツールは、Microsoft社が提供するAzure OpenAI(アジュール・オープンAI)技術を基盤としており、ユーザーの意図や文脈を理解した上で、精度の高い回答を生成。また、在庫情報と連動した提案も可能と言います。さらに、場所やイベントなどの状況に応じて、提案内容を最適化し、ユーザーの好みや満足度、会話のトーンの解釈も行うことで、パーソナルかつスムーズな購買体験を提供することが可能となります。
Ralph Laurenの最高デジタル責任者であるNaveen Seshadri(ナヴィーン・セシャドリ)氏は、「我々は“顧客中心”を最優先に掲げ、デジタル上の接点における体験価値を高めることで、ブランドロイヤリティの強化を目指している」とコメントしています。
NIKE(ナイキ) | 英国の旗艦店に動作解析サービス「NSRL」を導入
米国を代表するスポーツブランド「NIKE(ナイキ)」は、英国ロンドンにある旗艦店オックスフォード・サーカス店に、動作解析サービス「Nike Sport Research Lab Form(ナイキ・スポーツ・リサーチ・ラボフォーム、以下NSRL)」を導入しました。このサービスは、科学者やデザイナーが協力し、あらゆるレベルのアスリートが目標を達成できるよう、支援することを目的としています。
「NSRL」では、自身のペースで約2分間走る間、150以上のデータを収集。
そのデータを分析し、フォーム改善のためのアドバイスを受けることができるという(NIKE公式サイトより)
具体的には、対面でのランニングコンサルテーションを通じて、最新のモーションキャプチャ(動作解析)技術を活用し、走行中の6つの主要指標(スライド、ロール、クロス、バウンス、リーン、リーチ)に関する150以上のデータポイントを解析。さらに、機械学習を用いて個々の動作特性を明らかにし、改善に向けたパーソナライズされた提案を行うというものです。
「NSRL」の主席スポーツ科学者であるBlaise Williams(ブレイズ・ウィリアム)氏は、「NSRLは、競技やシューズに関係なく、自分の体の動きを理解し、意思決定をサポートするサービスである」とコメントしています。オックスフォード・サーカス店は、世界でも数少ないNSRLの導入店舗の一つで、現在改装中のナイキタウン・ロンドンの代替拠点として、期間限定で営業。また、同サービスは、東京・原宿にある店舗でも導入されています。
「Ralph Lauren」と「NIKE」が打ち出した新サービスに共通するのは、単なる効率化ではなく、“デジタル技術を活用して顧客との対話や体験価値向上の基盤として位置づけている”点にあるでしょう。こうした取り組みは、ブランドロイヤリティの強化と、次世代リテール体験の創出につながると考えられます。