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アパレル企業だけじゃない! 欧州企業の多彩な“リサイクル意識”の訴求【EU最新小売トレンドレポート】

高嶋 一行|Kazuyuki Takashima
AIL編集部により一部編集
執筆者

 昨今、欧州を中心にファッション・アパレルと環境課題に関する法律の施行が進んでいます。2023年12月には、EU(欧州連合)の主要機関がEU地域内のアパレル事業者に対し、売れ残り服や靴の衣料品廃棄を禁止。同法案は大筋合意され、2025年を目途に施行されます(注1)。さらに直近の3月14日、フランスではファストファッション商品の購入毎に手数料を課す法案が下院で可決。これは中国発大手ファストファッション「SHEIN(シーイン)」などの商品を対象としており、罰金は段階的に引き上げられ2030年に10ユーロ(約1,600円)となるとし、現在は上院の承認待ちの状態となっています(注2)。

 世界的に衣料品の廃棄課題に対する動きが注目される中ですが、ファッション・アパレル業界以外にも、環境課題への意識喚起に取り組むブランドや企業があります。今回は、イギリスの大手家電小売店「Currys(カリーズ)」と、フランスのビューティーブランド「Yves Rocher(イヴ・ロシェ)」による、工夫に富んだ環境課題への取り組み事例をご紹介していきます。


(注1)https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR05DFY0V01C23A2000000/
(注2)https://jp.reuters.com/world/china/WXI3OKU4F5I35GQ567GHXT5TJI-2024-03-15/

英最大手家電小売店「Currys(カリーズ)」がリサイクルゲーム「Trash Tycoon」をリリース

 英国では「毎年15万5,000トンの電気廃棄物がゴミ箱に捨てられている」という現実があり、一人当たりの「E-waste(電子機器廃棄物)」の排出量は、2024年度末に世界最大になると予測されています。そこで、英最大手家電小売店「Currys(カリーズ)」は、電子廃棄物を無くすことをミッションに初となるオンラインゲーム「Trash Tycoon(トラッシュタイクーン)」をリリースしました。

 Trash Tycoon」は若年層世代へ使用済み電子製品のリサイクルを呼びかけることを目的に作られたゲームで、オンラインゲームプラットフォームの「Fortnite(フォートナイト)」で利用可能です。ゲームは電子廃棄物のみで構成された仮想世界を舞台に、できるだけ多くのゴミを集める内容となっています。

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執筆者

  • 高嶋 一行|KAZUYUKI TAKASHIMA

    Showcase Tokyo 代表・在英ライター|AILメディアパートナー

    ファッション専門学校卒業後、渡英。「ELEY KISHIMOTO(イーリー キシモト)」にてデザインアシストを経験。現在は英国を拠点に日本ブランドの海外セールスを行うエージェント「ShowcaseTokyo」を運営。 東京ファッションウィーク参加ブランドなど、日本のデザイナーズブランドの海外進出や新規取引先開拓の支援を行っている。 パリファッションウィーク期間では年4回それぞれのシーズンに営業担当する日本ブランドと共に参加。バイヤー向けの展示会を開き、ヨーロッパを中心に海外のお店やバイヤーとの取引を進める。