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注目スタートアップ:オリジナルAIチャットボット作成サービス「POE」が誕生|米Casper、カナダ事業を現地小売企業に売却ほか【編集部厳選:週間ホットトピックス】
小売、EC、マーケティング、テック、Web3カテゴリーを中心に、今週注目を浴びた国内外の最旬情報をまとめてお届けします。
カテゴリー:小売、金融
「POE」のアップルストアページより
AIチャットボットが世界中で大ブームとなっている今、相次いで新サービスが登場しています。その中で最近特に話題となっているサービスが、今年2月にリリースされた「POE(ポー)」という名称のオリジナルAIチャットボット作成サービスです。
「POE」では、すでに連携している「Chat GPT(チャットジーピーティー)」「Sage(セージ)」といった既存のAIチャットボットサービスをベースにサービス展開しており、ユーザーは作成したオリジナルのチャットボットに命名ができます。また、各チャットボットには専用のURLが付与されることから、個々のユーザーの趣味嗜好を反映したさまざまな特徴を持つチャットボットが多数公開されています。もちろん、オリジナルチャットボットの作成にはプログラミングやソースコードの入力は一切必要ありません。
作成されたチャットボット例としては、「最も効率が良いダイエット方法を教えてくれるチャットボット」「歴史問題を分かりやすく説明してくれるチャットボット」などユーザーの具体的な悩みや課題に紐づくようなユニークなものが見受けられます。
「POE」の収益モデルはサブスクリプションです。ひと世代前のバージョンは誰もが無料で使用でき、最新版を利用するには料金が発生します。「Chat GPT」の場合も同様のサブスクリプション型収益モデルで、無料で利用できる初代「Chat GPT」に対し、有料版サブスクリプションに登録することでリリースしたての最新の「GPT-4」というバージョンが使用できます。
「知恵」を共有するコミュニティ
「POE」のアプリの画面、趣味嗜好や悩み相談などをテーマにしたチャットボット
左:「ホームデザインのヒント」右:「リーダーシップのスキル」
「POE」は、「Quora(クオーラ)」という米国最大級のQ&Aサイトがリリースした新しいサービスです。「Quora」は日本でいう「Yahoo知恵袋」のようなイメージで、投稿された質問に対して別の複数のユーザーが回答を投稿するサービスです。ユーザー同士のコミュニケーションが発生するコミュニティ要素が強いという背景を生かして、AIチャットボット「POE」の開発に至ったようです。
「POE」のSNS要素としては、ユーザーが作成したチャットボットをユーザー個人のSNSでシェアすることはもちろん、SNSでは一般的な「フィード機能」も設けており、ユーザーは好みのチャットボットをフォローしたり、他のユーザーとチャットボットとのやり取りを追うというようなことも可能です。最新のダウンロード数やユーザー数はまだ公開されていないですが、アップルの「App Store」では現在、5点満点に対し4.7という高評価を得ている注目サービスです。
Source:https://poe.com/login?redirect_url=%2F
LACOSTEがNetflixと提携、人気作品をテーマにしたコラボ商品を発売。両社にとって新しいタッチポイントや収益モデルの構築を模索
カテゴリー:EC、経営戦略
「Netflix」の人気作品『ストレンジャー・シングス 未知の世界』とのコラボ商品
(公式ブログより)
フランス発のファッションブランド「LACOSTE(ラコステ)」がストリーミングサービスの「Netflix(ネットフリックス)」と提携し、『ストレンジャー・シングス 未知の世界』など、「Netflix」傘下の8つの人気番組をテーマにしたコラボ商品を開発。「LACOSTE」のECサイトや一部店舗、「Netflix」のECサイトで発売中です。
提携の背景には、「LACOSTE」が若者に人気なストリーミングサービスの番組をタッチポイントに、Z世代の新規ユーザーを獲得したいという狙いがあります。一方で「Netflix」は近年の新規サブスクリプション契約の獲得が鈍化傾向に転じ、数年前から開始した小売(EC)事業で新しい収益モデルを模索しています。
このように、ブランドとストリーミングサービス企業が提携することで、互いの送客(新規顧客の獲得)や新しい収益モデルを構築する動きが目立っています。例えば、昨年の12月に本ウェブメディアでも取り上げた、「Netflix」と「NIKE」の提携では、「NIKE」のフィットネスコンテンツをストリーミング配信したといった事例があります。
参考:
Source:https://about.netflix.com/en/news/netflix-and-lacoste-partner-for-a-must-wear-collaboration
米国Casper、カナダ事業を現地の小売企業Sleep Countryに売却
カテゴリー:D2C、経営戦略
CasperのECサイト
マットレスD2Cブランド「Casper(キャスパー)」は、同社のカナダ事業を現地の小売企業「Sleep Country(スリープカントリー)」に約2,000万ドル(約27億円)で売却すると発表。
「Sleep Country」は寝具とマットレスの専門小売企業で、カナダでは290の直営店舗を設けています。一方、「Casper」はカナダで6店舗を保有。今回の売却の背景には「Casper」が2014年の創業以来、2020年には上場したものの、長期的な経営赤字に苦しんでいたことがあります。さらに過去3年間では新型コロナの影響が店舗拡大を基軸としていた「Casper」に大打撃を与えました。
2022年8月に「Casper」創業者が退任し、新たな経営幹部メンバーを迎えています。同社は今後、経営の黒字転換を最優先課題として、既存のD2Cビジネスモデルから一転、今後は積極的に卸事業の強化や今回のような低収益地域における事業売却などを行っていくようです。
Source:https://ir.sleepcountry.ca/2023-04-10-Sleep-Country-to-Acquire-the-Canadian-Operations-of-Casper-Sleep-Inc
その他の注目トピックス:
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以上、AIL編集部が毎週お届けする”いま押さえておきたい”週間ホットトピックスでした。今週もお疲れ様でした、Have a nice weekend!