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TikTokが米国EC事業をローンチ、中国発激安EC「三国時代」へ【編集部厳選:週間ホットトピック】

ケルビン・アウ
AILメディアパートナー
執筆者

小売、EC、マーケティング、テック、Web3カテゴリーを中心に、今週注目を浴びた国内外の最旬情報をお届け。

カテゴリー:越境EC

 ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、2023年8月を目途に、短編動画共有SNSサービスの「TikTok(ティックトック)」が米国市場向けのEC事業「TikTok Shop(ティックトック ショップ)」を正式にローンチするといいます。日本では「TikTok」はSNSのイメージが強いですが、先月の『編集部厳選:週間ホットトピック』では、同社が英国で新しいショッピング機能「Trendy Beat」をテストしていると取り上げました。


参考トピック:

「TikTok」が英国で新しいショッピング機能「Trendy Beat」をテスト、自社物販事業の可能性を模索【編集部厳選:週間ホットトピック】

 

「TikTok Shop」の公式サイトより

 

 現時点での「TikTok Shop」の説明によると、販売者は以下の3つの方法で、自身の「TikTok」コミュニティに向け商品を直接紹介・直接販売できるといいます。

  • 「Live Shopping」

ライブショッピング。ライブ配信中に画面下に表示される買い物バックのアイコンをタップすることで、商品詳細の確認や商品の購入ができる。

  • 「Shoppable Videos」 

購入可能なビデオ配信。ビデオ内に表示される買い物バックのアイコンや商品リンクをタップすることで、商品の購入ができる。

  • 「Product Showcase」 

商品ショーケース。ブランドまたはクリエイターのアカウントから直接商品へアクセスし、商品の購入ができる。

 特徴としては、他のマーケットプレイスなどに遷移することなく、「TikTok」のアプリ内で買い物が完結することです。マーケットプレイスではアパレル、コスメ、日用品など中国の新興ブランドの取り扱いを中心とした構成になる可能性が高いと言われています。出店ブランドに対し「TikTok」がマーケティングや物流面をサポートするといいます。

 

「TikTok Shop」の3つの購買方法(公式サイトより)

 

 一方、すでに米国で実績を上げている同じく中国発のECサイト「SHEIN (シーイン)」と「Temu(ティームー)」を巡っては、両者間の競争が激化しています。7月19日のロイターの報道によると、「Temu」は2022年に同社が米国へ進出して以来、競合の「SHEIN」による「違法な排除行為」を受けてきたと主張し、反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで「SHEIN」を提訴しました。本件は現在、米国当局が調査中です。

 

「SHEIN(US)」の公式サイト

 

アパレルからガジェットまで販売する「Temu」(公式サイトより)

 

 「SHEIN」「Temu」はいずれも中国発の激安通販サイトで、常にタイムセールを実施するといった共通の特徴があります。販売する商品もアパレル、コスメ、日用品が中心です。「TikTok」による米国進出はこの勢力争いにどのような影響をもたらすのでしょうか。

 7月27日、米FOMC(連邦公開市場委員会)が政策金利を引き上げ、22年ぶりの高水準に達しました。つまり、米国市場はいまだインフレーションの影響から抜け出せない状況です。このような経済的背景をみると、これらの激安通販のニーズはさらに上昇し「セール合戦」といった局面を迎えることが予測できます。

 「SHEIN」「Temu」の重要な成長要因としては、インフルエンサーマーケティングに成功したことが挙げられます。一方で、「TikTok」はそれ自体が最も影響力のあるSNSの1つです。同社が持つSNSマーケティングのノウハウをアドバンテージに、どのような戦略のもと既存の二大勢力に挑むのかという点が、今後の注目ポイントだといえるでしょう。


参照:
https://www.wsj.com/articles/tiktoks-next-plan-for-u-s-dominance-selling-made-in-china-goods-44943693
https://jp.reuters.com/article/retail-temu-shein-idJPKBN2YZ06Q