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カテゴリー:決済、Web3
6月に、中国・北京の地下鉄で”手のひら”認証による乗車が開始されたというニュースをホットトピックで取り上げました。今、こういった生体認証を応用したサービス事例は決済からWeb3領域にまで拡大しています。
関連トピック:
次は「掌紋認証」時代、中国・北京の地下鉄で「手のひら」認証による乗車開始【編集部厳選:週間ホットトピック】
7月2日、米「Amazon(アマゾン)」傘下のスーパーマーケット「Whole Foods Market(ホールフーズ・マーケット)」が、米国内500以上の店舗に生体認証決済の「Amazon One(アマゾンワン)」を導入すると発表しました。現在すでにカリフォルニア州の一部店舗でテストを実施しており、年内には全国に拡大するといいます。
”手のひら”で決済可能な「AmazonOne」の利用動画(Amazon公式YouTubeチャンネルより)
「Amazon One」とは、同社が2020年に開発した次世代の決済技術で、個人の“手のひら”データと、クレジットカード情報やAmazon会員アカウント情報とを紐付け、専用の決済デバイスに“手のひら”をかざすことで決済が完了する仕組みです。具体的には、“手のひら”にある隆起や静脈のパターンを読み取ることによって、パーム・シグニチャー(手のひらのサイン)と呼ばれる認証データが作成されます。いわゆるこの「掌紋(しょうもん)認証」は、似たような既存の生体認証である指紋認証と比較してより利便性や精度が高いと言われています。
Amazonの公式サイトより
そして、もう1つの最新事例としてご紹介するのは、「ChatGPT(チャットジーピーティー)」を運営・開発するOpenAI(オープンエーアイ)社の創業者Sam Altman(サム・アルトマン)氏が注力している暗号資産プロジェクト「Worldcoin(ワールドコイン)」です。
「Worldcoin」の公式サイトより
「Worldcoin」は数年前から開発がスタートしていますが、7月24日、正式に「Worldcoin」のブロックチェーンが稼働となりました。「Worldcoin」の最大の特徴の1つは、取り引きや受け取りの際に、ユーザーが本当の人間であることを確認するために、「Orb(オーブ)」という専用のデバイスで人の虹彩(注1)をスキャンし、それを「ワールドID」と呼ばれる個人アカウントと紐付けることでアカウントを管理するところです。
虹彩をスキャンする専用デバイス「Orb(オーブ)」(「Worldcoin」公式サイトより)
「Worldcoin」の公式サイトによると、「ワールドID」は全世界の20億人に「ユニバーサルベーシックインカム」(注2)を配布する際の将来的なソリューションとして提案されたとありますが、実際にはプライバシー問題や中央集権化型社会の加速といった懸念の声も少なくありません。どんな生体認証の技術にせよ、商業的な価値だけではなく、パブリックインタレストなどとの両立も重要です。
注1:「虹彩」とは、黒目の内側にある瞳孔の周りのドーナツ状の部分。個々人で固有のパターンを持ち、生涯不変と言われている(参照:NEC「虹彩認証とは」https://jpn.nec.com/biometrics/iris/index.html)。
注2:ベーシックインカムとは、政府がすべての国民に対して一定の現金、また金融的支援を定期的に支給するという政策で、最低限所得保障の一種。