上海にあるManner Coffeenの店舗、モダンで洗練された店舗デザインが特徴(公式サイトより)
中国コーヒー産業の歴史は、1980年代まで遡ります。まず「ネスレ」を代表とする海外ブランドがインスタントコーヒーを中国市場に投入し、覚醒作用のある飲み物として一般消費者に知られるようになりました。1990年から2016年には、「Starbucks(スターバックス)」などのコーヒー店のオープンをきっかけに、コーヒーは単なる飲み物からレジャー活動やビジネス、社交の場で嗜む体験のひとつへと変化しはじめました。
さらに、2017年から2019年にかけては、スマートフォン及びデリバリーの普及により中国コーヒー産業もより手軽に、オンラインオーダーなどでも楽しめる時代に入ります。「Luckin coffee(ラッキンコーヒー)」など中国発のコーヒースタートアップ企業が誕生し、より便利かつ低価格のコーヒーが生活に浸透していきました。そして2019年以降は、コーヒーに対する意識も高まり、品質とコストパフォーマンスを重視する消費者が増えてきました。中国で人気が高まりつつあるスペシャリティコーヒーは中国語で「精品珈琲(発音:じんぴんかふぇい)」と呼ばれ、選りすぐりのコーヒー豆と焙煎方法にこだわる消費者を魅了しています。
しかし、値段が高めのスペシャリティコーヒーに躊躇する人も少なくありません。そこに、リーズナブルな価格を武器にスペシャリティコーヒーをメジャー化させた企業が登場しました。新興カフェチェーン「Manner Coffee(マナーコーヒー)」です。
今回は、中国コーヒー産業の近年の変化やレッドオーシャン市場の中で、「Manner Coffee」がどのように成功を遂げたのか、そのヒントを見ていきたいと思います。
執筆者
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駱嘉寅(ロ カイン)
中国在住AILメディアパートナー
早稲田大学大学院卒。日系証券会社のアナリストとして中国現地(上海)における金融政策、株式市場、産業のリサーチを手掛け、2018年より個人投資家として活動。幅広い業界に注目してます。