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ニューヨークに“日本の味”が集結 米国 東海岸最大級の食品展 現地レポート「Summer Fancy Food Show 2025(サマーファンシーフードショー2025)」【Coffee Talk from NYC Vol.33】

ニューヨーク現地より、小売×テック関連の旬なトピック・体験レポートをお届け。アメリカのコーヒーブレイク中に行われるカジュアルミーティング、”Coffee Talk”にちなんで、気軽にインプットいただけるレポートを定期配信していきます。
Vol.33では、米国のニューヨークで毎年開催される東海岸最大級の食品展「Summer Fancy Food Show 2025(サマーファンシーフードショー、以下SFFS)」の展示会レポートをお届け。69回目を迎えた今回は、6月29日~7月1日の3日間にわたり、Jacob K. Javits Convention Center(ジャビッツ展示場)で開催。世界59カ国から約2,500の食品企業・団体が出展し、会場は熱気に包まれた3日間となりました。
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「Summer Fancy Food Show 2025」(筆者撮影)
食の見本市「ファンシー・フード・ショー」とは?
米国のニューヨークで毎年開催されるSFFSは、1952年に創設された非営利団体Specialty Food Association(以下、SFA)が主催する東海岸で最大級のB2B専門の食品見本市です。食の業界関係者のほか、メディアやインフルエンサー、トレンドハンターらが一堂に会する、国際的なビジネスハブと言えるでしょう。会場は毎年3つのフロアに分かれており、それぞれ異なるテーマや展示内容となっています。展示スペースの総面積は、フットボールフィールド約6面分にもなるそうです。
- -1階フロア…国ごとのパビリオンに加え、アメリカ各州で構成されたエリアや、飲料水やプラントベース(大豆や小麦などの植物由来の食品)、ナチュラルフード(自然に近い環境で育てられ、且つ加工や添加物を控えた食品)のパビリオンが並ぶ
- -2階フロア…リバーサイド側にあるメザニンフロア(中二階)では、スタートアップ企業や最新プロダクトが集められ、来場者にとって新しい食の可能性や発見となる場となっている
- -3階フロア…今季の公式パートナー国であるイタリアをはじめ、日本を含む25カ国以上の国際パビリオンが集結。各国の特色ある食品や食文化を中心に、スナック、スイーツ、チーズなどの乳製品類が多く出展している
世界各国の食品やトレンドを探る中で、今回は日本から出展された「ジャパンパビリオン」に注目したいと思います。
“米文化”で市場を開拓する日本企業 – ジャパン・パビリオン
今回の見本市では、2つのジャパンパビリオンが出展。ひとつは、3階フロアに出展されたJETRO(ジェトロ・日本貿易振興機構)支援によるパビリオン、もうひとつは1階フロアに出展された全米輸(全日本コメ・コメ関連食品輸出入促進協議会)主催のパビリオンです。JETROが支援したジャパンパビリオンでは、抹茶や牛肉、アイスクリームや菓子類、その他加工食品など、日本企業や団体が出展。一方、全米輸主催のパビリオンでは、18社が出展。それぞれのパビリオンも、日本の食の魅力を存分に伝える内容となっていました。
パナソニック社製の炊飯器で炊かれた米で握られたおにぎり
日本が誇る技術の力が、日本米の魅力をより一層引き立てている(筆者撮影)
筆者が注目したのは、全米輸主催のパビリオンです。ここでは、日本米の魅力を発信することを目的に、関連企業に加え、一般社団法人おにぎり協議会が全米輸と連携し、海外では初となる「おにぎりの握り実演」を行っていました。実演では、東京・浅草の老舗「おにぎり浅草宿六(あさくさ・やどろく)」の三浦洋介氏が参加。炊きたてのご飯を丁寧に握る所作は、各国の来場者の注目を集めていました。
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実演を通じて、日本米の魅力を発信(おにぎり協議会公式Instagramより)
“具材を自ら選び、目の前で握るライブ性の高い体験”は、来場者との強いエンゲージメントを生み出し、日本米に対する新鮮な印象を与えたことでしょう。ひと昔前と比べると、米国内でのおにぎりの認知は確実に広がっています。ニューヨーク市内では、アジア系のスーパーに限らず、おにぎり専門店や、海苔の上にご飯と具を乗せて平らに包んだ“おにぎらず”の店舗も増えています。
米文化を背景にした、多彩な商品が並んだジャパンパビリオン(筆者撮影)
ジャパンパビリオンでは日本米の他に、福島県いわき市に本店を置く米穀店の相馬屋や、アイリスオーヤマからはパックご飯の出展がありました。米を主食とする日本人ならば、常備することも多いであろうパックご飯。ここニューヨークでは、思いのほかパックご飯の認知度が低い印象があり、今後の海外市場への拡販の可能性を感じます。山形県から参加した酒田米菓からは、わずか3ミリという極薄に焼き上げた元祖薄焼きせんべいを含む、複数の製品を取り揃えて参加。伝統を守りながらも、時代と共に進化する姿勢は、必ずグローバルへの扉を開いていくことでしょう。
グローバル化、多様化、健康志向…消費者のニーズをつかむ注目の食トレンド
ここからはSFAのトレンドスポッターパネルが、消費者の価値観や世相などから予測した主要トレンド8つをご紹介します。
執筆者
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RINA Yoshikoshi|AILメディアパートナー
NYC在住ブランド、テクノロジー系ライター / コンサルタント
NYを拠点にブランド、リテール、ウェルネス、D2CのCPGブランドの現地市場を調査。店舗で導入される最新テクノロジーや米国での先進事例なども研究。執筆活動、リソースを元にしたマーケティング&ビジネスコンサルティングやアドバイザリーも行う。
関心: #ファッション #フィットネス #ウェルネス #スーパーマーケット+CPG