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ファッションは「ファスト」から「スロー」へ #Vol.1 EUではSNSより中古プラットフォーム利用が主流に サービスを拡大する「ZARA PRE-OWNED」【EU×二次流通フォーカス】
「ZARA」が展開する二次流通プラットフォーム「ZARA PRE-OWNED」のトップページ
ファッションにおける二次流通の需要が高まっていることは数年前からさまざまなメディアで取り上げられています。またファッション業界の関係者であれば、二次流通市場の拡大はデータだけでなく普段の生活でも実感することは決して少なくはないのではないでしょうか。
世界的に見てもファッションの二次流通市場の規模は確実に拡大しており、EU内でも、従来の小売と比べて二次流通市場は11倍の速度で成長すると言われています。加えてアメリカのデータではありますが、2030年にはファストファッションに比べて二次流通の市場規模は2倍になると予想されています。
特にヨーロッパでは、広がるサステナブルな意識にプラスして、現在の物価高や生活コストの上昇などにより、比較的安価な中古ファッションを求める傾向がさらに広がっています。
SNS経由より中古プラットフォーム直接利用が主流に 英国では若年層の33%が中古品サイトを利用
ヨーロッパにおける中古ファッション市場の拡大データ。
サステナブルに対応した二次流通プラットフォームの一覧も掲載
中古ファッションの需要が高まることで買い物のスタイルも変化しています。サイジングアドバイス機能をECサイトに提供する「True Fit(トゥルーフィット)」の調査によると、英国の消費者の20%が二次流通プラットフォームでアパレル商品を購入しているというデータが発表されています。
対して、Facebookでは10%、Instagramでは11%という結果が出でおり、英国では中古ファッションの需要拡大とともに、買い物はSNS経由ではなく二次流通プラットフォームに流入していると考えられます。
さらに、Z世代と呼ばれる10代~20代の若者にフォーカスすると、買い物の際は33%が二次流通プラットフォームを利用すると回答。一方で、Facebook経由の買い物は19%、Instagram経由の買い物は27%に留まっているという結果になり、二次流通プラットフォームの利用割合が大きいことが分かります。
世界中でも特にサステナブルの意識が高いヨーロッパ地域。そこで今回は、英国をはじめヨーロッパにおける中古ファッションの需要拡大を受け、二次流通プラットフォームを展開する代表的なブランドやその施策を3連載でご紹介していきます。
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執筆者
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高嶋 一行|Kazuyuki Takashima
Showcase Tokyo 代表・在英ライター|AILメディアパートナー
ファッション専門学校卒業後、渡英。「ELEY KISHIMOTO(イーリー キシモト)」にてデザインアシストを経験。現在は英国を拠点に日本ブランドの海外セールスを行うエージェント「ShowcaseTokyo」を運営(https://www.showcasetokyo.co.uk)。 東京ファッションウィーク参加ブランドなど、日本のデザイナーズブランドの海外進出や新規取引先開拓の支援を行っている。 パリファッションウィーク期間では年4回それぞれのシーズンに営業担当する日本ブランドと共に参加。バイヤー向けの展示会を開き、ヨーロッパを中心に海外のお店やバイヤーとの取引を進める。