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コミュニティドリブンがファンを惹きつける、ランニングブランド「Bandit」 Shopify NYでポップアップイベント開催【Coffee Talk from NYC Vol.12】
ニューヨーク現地より、小売×テック関連の旬なトピック・体験レポートをお届け。アメリカのコーヒーブレイク中に行われるカジュアルミーティング、”Coffee Talk”にちなんで、気軽にインプットいただけるレポートを定期配信していく。
Vol.12では、11月頭に開催された「ニューヨークシティマラソン」にちなんで、ランニングウェアブランドのイベントやメンバーシッププログラムについてお届けしていく。
世界にはランナーなら誰しもが参加を夢見る6つの代表的なマラソン大会がある。1月に開催される「東京マラソン」、4月に開催される「ボストンマラソン」「ロンドンマラソン」、9月に開催される「ベルリンマラソン」、10月に開催される「シカゴマラソン」、そして11月の第一日曜日に開催される「ニューヨークシティマラソン」だ。中でも「ニューヨークシティマラソン」は最多の参加者を誇り、いつか走ってみたい!とランナーであれば憧れるレースだと聞いたことがある。
今年で52回目のレースとなった「ニューヨークシティマラソン」には、5万人近くのランナーが参加した。スタート地点のスタテンアイランドから、ブルックリン、クイーンズ、マンハッタン、ブロンクスと、ニューヨーク州の5つの行政区の総距離26.2マイルを走る(参照:ニューヨークシティマラソン2023マップ)イベントだ。
筆者は今春から、健康管理のため、またスポーツ分野のブランドリサーチのため、週に3~5日のランニングやウォーキングを継続している。ランニングコースの一つであるセントラルパークには、さまざまな年齢の人が十人十色の目的やゴールを持って訪れている。
Shopify New York で行われた「BANDIT」 ポップアップ
「Bandit」のイベント会場@Shopify NY(筆者撮影)
“D2Cブランド”が注目され続け約15年。その間、ここ5~10年の間には多数のアクティブウェアブランドが誕生し、オリジナリティ溢れる顧客コミュニティをブランドの根幹に持っている。
今年の「ニューヨークシティマラソン」開催に向けて、ソーホーにあるShopify New Yorkを会場にコミュニティイベントを開催したのは、ブルックリンを拠点に2020年に誕生したランニングブランド「Bandit(バンディッド)」だ。イベントはマラソン大会が開催される直前の4日間(11月3日~11月6日)にかけて、スポーツブランドの「asics(アシックス)」と一部コラボレートし、沢山のランナーやブランドのファンを迎えた。
イベントでは初日の早朝からブランドの顧客を招いたキックオフを実施しており、筆者が訪れたのはイベントが落ち着いた午後を見計らったタイミング。店舗1階のリテールスペースは多くの顧客で賑わい、ほとんどの来店客がショップバックを持っていた。地下のコミュニティスペースへと降りると、ニューヨークの地下鉄の車内をコンセプトにしたフォトブースも用意されていた。
Shopify NYに設営されたフォトブースの様子(「Bandit」Instagram公式アカウント:@banditrunningより)
イベント初日の夜はブランド創設者やチーフデザイナー、そしてフィルムフォトグラファーを招いたトークイベントが実施された。マラソン大会前日の土曜日には、「asics」のプロアスリートが参加し5kmを走る「朝ランイベント」を実施。翌日にスタートする「ニューヨークシティマラソン」大会に向けてムードを盛り上げた。
同イベントはマラソン大会終了後まで続き、大会が終了した当日の夕方にはハッピーアワーイベントが行われ、地下のコミュニティスペースに設置されたフォトブースではフォトグラファーによる記念撮影が行われた。このイベントはマラソン参加者限定で、入り口ではマラソン大会の出場メダルの提示が求められた。そして、イベント最終日である月曜日にはショップとして通常営業していたほか、マラソン大会に参加したランナーの中には、完走した証のメダルを持ち記念撮影を行っている人も見かけた。
「Bandit」はブルックリンに店舗があるそうだが、今回、同ブランドがShopify New Yorkでイベントを開催したことで筆者がブランドのことを知ったように、ブランド認知拡大という面でも有効な機会となっている。
メンバーシッププログラムは、ブランドコミュニティをより深めるツール
「Bandit」公式サイト
余談だが、「Bandit」の公式サイトを是非チェックしてみて欲しい。ページをスクロールすると、その操作をまるで走った距離のように見立てて、ページのヘッダー右側にキロ数が表示される。店舗が買い物をするだけの場所でなくなったように、ECも買い物するだけの場所ではないのだ。オンライン上でも、他にない特別なエクスペリエンスを印象付けられることが可能だということが分かる仕掛けとなっている。
言うまでもないが、「Bandit」公式サイトのプラットフォームは「Shopify」を利用している。「Shopify」をECプラットフォームとして選択しているブランドであれば、テンプレートをそのまま使用するのではなく、是非「Bandit」のようにブランドのオリジナリティ溢れる工夫や仕掛けを盛り込んでもらいたい。
「Bandit」のメンバーシッププログラム(公式サイトより)
いわゆるコミュニティファーストのブランドとして、「Bandit」では有料のメンバーシッププログラム(125ドル)も用意されている。加入をすると、以下の特典が受けられる。
- 「MEMBER SOCKS(メンバー限定ソックス)」2足
- 「$50 BANDIT GIFT CARD(50ドルのギフトカード)」
- 「10% MEMBER DISCOUNT(毎回の注文が10%オフ)」
- 「FREE SHIPPING,EVERY ORDER(毎回の注文が送料無料)」
- 「SMALL BATCH LAB(毎月発売されるメンバー限定商品へのアクセス)」
- 「IG CLOSE FRIENDS(Instagramでの”親しい友達“設定)」
その他にも、新商品へのアーリーアクセス、カスタマーサービスの優先対応、ミートアップなど沢山の特典が含まれている。このメンバーシップからも、同イベントで筆者が目にした顧客とブランドとの間に友好な関係が築かれている様子が納得できる。
執筆者
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RINA Yoshikoshi
NYC在住ブランド、テクノロジー系ライター / コンサルタント
NYを拠点にブランド、リテール、ウェルネス、D2CのCPGブランドの現地市場を調査。店舗で導入される最新テクノロジーや米国での先進事例なども研究。執筆活動、リソースを元にしたマーケティング&ビジネスコンサルティングやアドバイザリーも行う。
関心: #テクノロジー #NFT #WEB3 #ウェルネス #未来の街作り